363【美味しい素材と料理】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
2話連続投稿します(2話目)
翌日。
魔導具作りは、まだ工程があるのだが、朝食のときに、別の要請が来た。
「ジネンなんとかは、どうしたね?」
「ジネン? あぁ、“自然薯”ね。ありますよ」
「採りに行く、って言って、そのままじゃないか」
「いや、そのあと、みなさんを集めての魔導具紹介になったでしょう。それで昨日一日、ずっと作っていたんですよ。その作業だって、まだ終わっていませんし」
「そうだったね。なら、今日は休みな」
「えっ?」
「だから、そのジネンジョ?を採りに行きな、って言っているんだよ」
「なんで?」
「食べたいからに決まっているだろう」
「わかりました。でも大変なんですよ。どこまで掘らなきゃいけないのか、わからないから」
「ん?」
「昨日も説明しましたけど、長いんですよ。知っているのは、人の背丈ほどなんですよ。でもこのあたりのが、どれほどの長さかわからないから」
「少し掘って、びっこ抜けばいいじゃないか」
「そんなの、簡単に折れちゃいますよ。だから、全体を掘り出すまでは抜けないんです」
ふぅん、と彼女。
まぁ、お取り寄せしてもいいんだけどね。でも、やはり労力掛けての方がいいかな、と思ってね。
「掘るのに、人手が必要かい?」
「いや、まぁ、ひとりでも、時間を掛ければ、なんとか」
「ふたりは、連れて行かないのかい?」
ウーちゃんが抱きついてきた。
「儂も一緒に行くぞっ!」
あぁ、残りたくないのね。
「はいはい。ラーナはどうする?」
「作り置きのお料理を習いたいと思います。いいですか?」とラーナは女性に聞く。
「いいよ。しかし、ウーちゃんが役に立つのかい?」と訝しげな顔付き。
「立つのじゃぁ!」と抱きつきの力が増す。
「まぁ、それなりに」とウーちゃんの頭をポンポンする。
「わかったよ」
んで、ウーちゃん連れて、村外れの森に来た。
森とはいうが、鬱蒼とした森ではなく、手入れのされた森だ。だが、落葉樹が多く、落ち葉が堆積していて、足場がフワフワだ。
索敵さんの案内で、自然薯の場所に来た。蔦が生えていて、すぐにわかった。その蔦も枯れていて、もう秋なのだとわかる。
鑑定さんで調べてみると、やはり長い。二メートル越え。
自然薯なんて、料理屋で食べるだけで、掘るなんて、やったことはないからな。
「ウーちゃん」
「なんじゃ?」
シートを敷いて、その上に、調理のあれこれを出す。
「調理の準備、しておいて。オレ、ここを掘るから」
「作るのか?」
「うん。お昼にね。オレが作ったものでも食べるだろう?」
「もちろんじゃ。サブの料理も美味いのじゃ」
「ありがとう。さてと」
「ところで、サブよ」
「ん?」
「掘る、とは聞いたが、どういう風に掘るつもりなのじゃ?」
そこで説明。まずは、蔦の根元を掘っていく。で、太さをチェック。まわりを掘り進める。こんな感じ。
「どのくらい掘るのじゃ?」
オレが右腕を上げたぐらい、と教える。
「儂が掘ろうか?」
「ん?」
「まずは、風魔法で」
ウーちゃんが手をかざすと、蔦の根元の落ち葉が吹き散らされた。あぁあ、調理のあれこれの上に散らばったよ。
「ウーちゃん、片すから、シートの上をきれいに吹いてよ」
ホイホイ、と風魔法で吹き飛ばすウーちゃん。
シートの上の道具類をしまう。もちろん、シートも。
「いいよ」
「うむ」
剥き出しになった地面に両手を付くウーちゃん。
地面が蠢きはじめた。根元の自然薯の頭が出てきた。ゆっくりと土が自然薯から退いていく。
「それ、土魔法?」
「いや。水じゃ。土の中の水を操っておる。土魔法はあまりうまくないのじゃ」
「へぇ。ということは、ここの土には、水分が豊富なんだね」
「染み出すほどではないな。それでも朽ちた落ち葉が積もっておるからな。そこに水が入っておるのじゃ」
「なるほどねぇ」
鑑定さんに、ウーちゃんの魔力量の推移だけを見せてもらった。魔力不足で倒れられたら、困るから。でも、魔力量が半端じゃないので、心配はいらなそう。見るのをやめた。
「ウーちゃんは、何魔法を使えるの? 水は得意だよね。土もうまくないだけで使えるでしょ」
「うむ。火も風も使える。だが、得意とは言えぬな」
「やっぱり水中で生活するから、得意なのかな?」
「そうかもしれぬな」
「光や闇は?」
「知らぬな。光とは、マナミの治癒魔法だったか?」
「うん」
ちょっと時間が掛かるので、ウーちゃんが飽き出す。自然薯は三分の一ほどが露出。直径一メートルほどの穴になった。
ウーちゃんにお茶をあげる。
「大丈夫?」
「うむ。少し休ませてくれぬか」
「もちろん、いいよ。オレが掘ってたら、ここまで掘れなかったからね」
「そうか? なぁ、サブ、水を入れてくれぬか?」
「お茶は?」と器を指す。
「違う違う違うのじゃ。穴の中に、という意味じゃ」
「あぁ、水分を増やして、操りやすくするのか」
「そうじゃ。それならば、少しは早く掘れるはずじゃ」
「了解」
ポットで水を注ぎ入れる。何度も満タンにして。
土に染み込んでしまうが、まぁ、いいや。
ふたたび、掘りはじめるウーちゃん。
オレは、ちょっと考えて、また水を注ぐ。
「おお、サブ、良いぞ良いぞ」
どんどんと掘れていく土。
やはり、水自体を操るので、土が削れやすい。
水が汚れていくが、うまく泥を制御して、排出していく。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




