244【君を✘✘しちゃうぞ】
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少し長いため、2話連続投稿します(1話目)
解毒ポーションを飲んだ。ダルトンやランドルフが二日酔いでよく飲んでいた。今も飲んでいる。
「まいったわぁ」とダルトン。「ここまで酷い二日酔い、ないわぁ」
「オレもだ」とランドルフ。「サブ、さっきの話は聞いていたが、本当にこの町全体がそうなのか?」
「少なくとも、このギルドは全員、麻薬成分を体内に取り込んでいる。冒険者もだ。《龍蛇の咆哮》もみんな、麻薬に侵されていた。……今、確認した。町民のほぼすべてだ。違うのは、寝たきりの人間だけだ」
「ひとつ聞きたいんだけどさ」ダルトンを見ると、なんか食べてる。よく食べられるな。「そんなことをして、どうするんだろうね」
「オレに聞かれても」
あっ、そうだ。
「君を鑑定しちゃうぞ」とカウンターの男を指差す。鑑定。ありゃ。「エルゲン国の工作員が、何してるの?」
「工作員? エルゲン国の? あそこと麻薬と工作員? バグラールだけじゃなく、ゴウヨークも侵攻対象にするつもりかよ」
「どういうこと?」
「麻薬の供給を止めたら、どうなる?」
「暴れる」
「その矛先が、王都方向に向かったら?」
ダルトンの気付きが、わかった。
「そういうことか。後ろから、エルゲン国の軍隊が、誰にも邪魔されることなく、侵攻する」
「そう。うまくいけば、王都を混乱に陥れ、そのまま、王都を落とすかもしれない」
「ちょっと極端だが」とランドルフ。「可能性はあるな」
「街道さえ、確保すれば、充分な可能性が出てくるよ。物資補給も村や町に到着すれば、得られるしね」
「タイミングは? あぁ、彼ら工作員か」
「そゆこと。おそらく、冒険者ギルドの通信網を使うつもりだろうね。連絡が来たら、供給を止めて、王都に向かえば救済があるよ、とか言って、庶民を煽る」
そこへハルキとキヨミが戻ってきた。
「全員、拘束しました。そろそろ、こっちの拘束が解けますけど」
「わかった。まずは、冒険者たちを解いてやってくれ」
「はい」
「ハルキは、この男と向こうのスタッフさんを縄でふん縛って。猿ぐつわも忘れるな」
「了解」
「ダルトンとランドルフは、王都にこのことを知らせて、対応を相談してくれ」
「「了解」」
自由になった冒険者たちに手伝ってもらって、スタッフのみなさんを受け付けカウンター前に座らせる。
「だいたいのことは、聞こえたかと思います。現在、この町は、麻薬に汚染された状態です。エルゲン国の工作員によってです。ここにはこのふたりがいました。おそらくほかにもいるのではないかと思われます」
「彼らは三ヶ月ほど前に入りました」とスタッフのひとり。「怪しい人ではありません」
「工作員ですから、怪しかったら困ります。でもご安心を。自分から喋りたくなりますから。みなさん、これが何かわかりますか?」と像を出して、見せる。ふたりには見せないようにして。
誰もが首を捻っている。
「これは、美味しいお菓子だそうです」
ふたりに見えるように、屈んで見せる。
ふたりの目が驚きで、見開かれる。女性スタッフの方は、震えはじめた。
「あなたの方が、欲しそうですね。食べますか?」
ブルブルと首を振る彼女。
「おや、美味しいんでしょう? それとも洗いざらい、話してくれるかな?」
うなずく彼女。
「あぁ、やっぱり食べたいんですね」
絶対拒否だと首を振る彼女。
「では、話してくれるんですね?」
うなずく彼女。
そこで、猿ぐつわを外す。
彼女は、舌舐めずりした。
「では、まず、この像はなんですか?」
「麻薬です。高純度の麻薬です。国を跨いで、運べるように、その像の形にしたのです」
「では、これの使用方法は? 誰に使うつもりでしたか?」
「捕虜にしたバグラールの兵士を麻薬依存症にして、その像を持たせ、バグラールに戻し、内部紛争を起こさせるのです」
「すでに使っている?」
「はい。我らの土地を取り戻しています」
「では、君たちの使命を教えてください」
「あなた方が、さきほど話していたとおりです。村や町を汚染し、我が軍の行軍を阻む障害を排除し、王都まで攻め上がるのです」
「なるほど。最終的にゴウヨークを我が手に、ということですか」
「そうです」
「ちなみに、純度の低いものは、どうやって運ぶのかな?」
「その像の背中の円盤がないのが、それです。彫刻も荒い」
「ありがとう」と言ってから、猿ぐつわをする。彼女は抵抗しなかった。
今度は、男。
「補足することはあるかね?」
彼は、戸惑い、それからうなずいた。
「口が自由になったからって、舌を噛み切らないように。こちらには、エリクサー並みの回復ポーションがある。試してみる?」
首を振る男。
猿ぐつわを外す。
舌舐めずり。
「その像は、どこで手に入れた?」
「あれ? それが喋るのに、必要な質問なの?」
うなずく男。
「オレが運び屋に選ばれたんだよ」
納得顔。
「それは、ゴウヨークで使う予定はなかった」
「でも、オレたちに使った」
うなずく。
「危険な存在だった。だから使った。使ったら、確実に死ぬ。なのに、おまえたち、生きている。どうしてだ?」
「神様に守られているのさ。ほかには?」
「ひとつ。すでに計画は、実行に移された」
「えっ? つまり、行軍している、ということか?」
「そうだ」
索敵を広げて、エルゲン国軍を探す。
いた。確かに、街道をこちらに向かって移動している。
「あらら。情報提供に感謝する」
猿ぐつわをしようとして、止める。
「あの銅貨消し、教えてくれない?」
彼が笑った。
「手品師がネタをバラすと思うか?」
「ないねぇ。ありがとう」と猿ぐつわ。彼も抵抗しなかった。
サブ、と声がかかる。そちらを見ると、ダルトンが降りてきた。
「王城に知らせるって」
「戻って、伝えろ! すでに実行に移されていた、と」
「はぁ!?」
「現在、エルゲン国軍は、ミッシュ町まで、進んでいる」
「了解!」と階段を駆け上がるダルトン。
「どうするんですか?」とマナミ。
「どうしようかねぇ。本来、オレたち冒険者の出る幕じゃないんだけど。国境を突破されている時点で、軍隊が頼りにならないわけだからなぁ」
「バキュームは?」
「すでに侵攻しているから、武器防具がなくなっても、そこらへんから調達しそうだし」ひとつ、案が浮かぶ。「ええぇ、ウーちゃんで、スタンピードを起こすの?」
冒険者たちが、スタンピードと聞いて、ビビる。
「ダメなんですか?」
「コントロールできないじゃん。起こしたはいいけど、納め方が、ねぇ」
「そっか」
「すまん、いいか?」と冒険者のひとり。
「ああ」
「街道を進んでくるんだから、街道を封鎖したらどうだ?」
「封鎖か。いい案だが、どうやって? 街道脇から行かれたら、意味ないぜ」
「街道脇から攻めれば――」
「つまり、軍隊相手に喧嘩するのか? いただけないな。うちらは冒険者だぞ。戦争は範疇にございません」
「まぁ、そうなんだが」
「別にオレらがやる必要はねぇだろ?」と黙っていたひとり。「オレたちは、冒険者だ。魔獣をけしかければよくねぇ?」
「魔獣と言うが、何を?」
「この先に、ケルガン村がある。その周辺には、オークやオーガが集落を作っている。エサが豊富だから人間を襲わねぇ。だから、討伐依頼が出てこねぇんだ。でもそこに軍隊さんが来たら?」
「闘いになる、か」
「そういうこった」
「悪くない。あとは、そちらへと誘導する方法か」
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