024【貨幣】
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短いため、2話連続投稿します。(2話目)
馬車が動き出す。
荷台が軽くなったおかげで、馬車が軽快に走り出す。馬も楽そうだ。
その分、地面の凸凹に馬車が跳ねやすくなった。
こりゃ、尻が痛くなるな。荷台の四人からもうめき声。
「ランドルフ、停めて」
馬車が停止。
「どうした?」
オレはアイテムボックスから、クッションを取り出し、みんなに配る。オレも自分に使う。
「そういうことか。オレにもくれ」
ランドルフにも渡して、再出発。
多少はマシだ。
ときどき、オレの鑑定に魔獣がかかるが、距離もあるので、申告しない。
オレの鑑定スキルは、“探知”スキル同様の能力がある。
ときおり、薬草・毒草がヒットするので、バキュームしておく。これは自動だ。取り過ぎにはならないように抑えている。全部採取してしまうと、乱獲となり、絶滅の可能性も出てくるためだ。
お金の心配はないが、稼げるネタは欲しいところだ。
ちなみに、鑑定とバキュームの組み合わせは、レンちゃん先生直伝?だ。
「そういえば、エルゲン国で、この国の貨幣は使えるのか?」
エルゲン国は、これから向かうとなりの国だ。
「使える。物価も似たようなもんだ」
「そうか。変わる国もあるのか?」
「遠くのヤハラ国は変わるな。あそこは金属資源が少なくてな。貨幣に使うほどはないんだ」
「なるほどな。となると何を?」
「硬い木材があってな。それを加工して、貨幣にしている。真ん中に穴を空けて、ヒモで管理できるようにしてるんだ」
「へえ。似ていることをしている国が、オレたちの世界にもあったよ。金属だがな」
「そうか」
「オレたちの世界には、紙の貨幣もある」
「紙? 獣皮紙か?」
「いや。植物の繊維をうまく使って作るんだ」
「そんなので大丈夫なのか?」
「あぁ、結構、丈夫だし、ほら」
オレはアイテムボックスにしまってあった財布から千円札を取り出して、見せた。
「薄いな。それに人の顔か。よく描けてる。えっ? こんなのが金になるのか? どうやって何枚も描くんだ? 大変だろう?」
「封蝋はわかるか?」
「あぁ、貴族が書簡に蠟燭で封をするやつだろう?」
「封蝋に紋章とかあるよな」
「ある」
「あれと同じような技術だ。書くのではなく、押すって感じだな」
「それで何枚も?」
「そういうこと」
「こっちでできないのか?」
「かなり時間がかかるだろうな。試行錯誤を繰り返すしかないからな」
「そうか」
「それに普及させるのも大変だ」
「難しいんだな」
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ちなみに
※レンちゃん先生とは
小説家になろう あし 著
『よくわからないけれど異世界に転生していたようです』の主人公のこと。
同じ孤児院出の子どもたちに、勉強を教えて、こう呼ばれていました。




