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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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201/764

201【投薬】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話連続投稿します(3話目)

 案内されたのは、ひとつの豪華な部屋。どうやら女の子の部屋らしい。子どもというのは、女の子だったか。

 ベッドには、ひとりの女性がついていた。母親か? いや、違う。メイドだろうか。

 ベッドに横たわるのは、幼稚園児くらいの歳の女の子。顔が真っ赤だ。かなり衰弱しているようで、ハァハァと浅い息をしている。

 オレは、ベッドの上に乗り、少女を抱き起こし、薬瓶のフタを開けて、少女の唇に少しずつ流す。

「飲んで。楽になるから」

 少女がゴクリッとノドを鳴らす。

 そこに、もう少し、と流す。いっぺんに流し込もうとすると、むせて、吐き出すから、ゆっくりと、少しずつ、と処方に指示があった。

 量は多くはない。栄養ドリンク程度だ。それでも少しずつ流す。

 むせることなく、すべてを飲み込んだ。

「よく飲めたね。あとはゆっくりとお休み。目が覚めたら、楽になっているからね」

 そっと寝かせる。

 すでに苦しみはないようで、顔の赤色も薄くなってきている。

「お休み」

 あとを頼みます、とそばにいたメイドに頼む。

 部屋を出る。後ろから執事も出てくる。

「あれで終わりかね?」

「あれは解熱鎮静剤です。本来の薬は、あとで、飲ませます」

「それだけ?」

「いっぺんには治らないそうです。ですから、これから八日ほど、処方の違う薬剤を飲ませます。そうしないと、体力のない身体には、毒なのだとか」

「そうですか……失礼ですが、薬師の方ですか?」

「いいえ。薬師シファーさんの友人です。緊急でしたので、私が従魔でやってきた次第です」

「そうでしたか。ありがとうございます」と深々と一礼してくれる。

「いいえ。間に合って、よかったです」


 彼に、リビングへと案内される。この屋敷に案内してくれた商業ギルドの女性スタッフが待っていた。

「間に合いましたか?」

「大丈夫。今は、鎮静剤が効いて、眠ったところだよ」

「そうですか。よかった」

 ソファーに座り、お茶をいただく。

「それで」と執事。「八日ほど、お薬を処方されるそうですが、そのあいだは? どこかに宿を取られるのですか?」

「到着早々にこちらに来ましたから。宿屋の手配も何も」

「でしたら、こちらにお泊りいただけますでしょうか?」

「いいのですか?」

「もちろんでございます」

「では、ありがたく」

 それを聞いた女性スタッフさんが、帰っていった。

「ちなみに、女性を連れ込んでもいいでしょうか?」と執事さんに尋ねる。

 怪訝な顔をする執事さん。

 まぁ、そうだよな。

「外にいる馬は、私の従魔でして」

「はい」首を捻る執事。

「実は、馬ではなく、ケルピーなんです」

「おや、ケルピーといえば、川の魔獣でしたか」

「ええ。しかも結構な年数を生きていましてね」

「はい」

「人化するんですよ」

「はい?」

「人になるんです。まぁ、見た方が早いですよね」

 オレは玄関を出て、そこにいるウーちゃんに話しかけた。

「ウーちゃん、しばらく、ここでお世話になることになったよ。だから、人化して」

『良いのか?』

「良いのよ」

 ウーちゃんが、馬の姿から人間の姿へと変身する。素っ裸だから、服を渡して、着てもらう。クツは……汚れるから、いいや。


 人化したウーちゃんを見た執事は、唖然呆然としていた。

 玄関を入る前に、ぬれタオルでウーちゃんの足を拭いてやる。さすがに、土足での入室は……あれ? 土足だったよねぇ、オレ。まぁ、いいや。

 それからクツを履かせた。

 彼女を伴い、リビングへ。ソファーに座らせた。

「別に」と執事に説明。「いかがわしいことはしませんよ?」

 執事は、驚き過ぎてか、言葉が見つからないようだ。

 代わりに、メイドのひとりが、オレたちふたりにお茶を淹れてくれる。彼女はウーちゃんが人化したのを見ていないからね。今も言葉の出ない執事を訝しげに見ている。

 あんまりにも呆然としている執事を小突く彼女。

 ようやく気付く執事。

「し、失礼いたしました。そちらの方は、なんとお呼びすればよろしいでしょうか?」

「ウーちゃん、と呼んでくれ」とウーちゃん。「しばらく世話になるぞ」

 ウーちゃんが言葉を発したことに、ようやく立ち直った執事はまた固まった。

「メイドさんもよろしくね」とオレは笑顔で、そう伝える。

「はい」と一礼してくれる。それからまた執事を小突く。

 それで、ハッとして、おのれの状態に気付く執事。

「失礼を。ウーちゃん様でございますね? お部屋をご用意いたします」

 メイドに命じる執事。

「いや、サブと同じ部屋が良い。独り寝はさみしいのでな」

 独り寝、って。余計に勘繰られる言い方なんだけど。

「ベッドふたつの部屋をお願いします」とオレ。言い訳しなくちゃな。「やはり、主人から離れるのが、さみしいようで」

 それで合点がいったようで、うなずいて、メイドに命じる執事。

「別にひとつでも良いぞ」とウーちゃん。火に油を注いでいる自覚は……ないんだろうな。うるうる。

「ふたつでお願いします」ときっちり言っておくよ。寝相の悪いウーちゃんと一緒のベッドなんて、御免こうむるよ。ホント、勘弁して。

 執事がメイドにうなずく。メイドも一礼して下がった。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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