ゴ、ゴメンナサイ!
最近【シャングリラフロンティア】と【正反対の君と僕】のアニメにハマってしまいまして。もう執筆どころではなくなってました。
短い冬休みが終わり、授業内容は二学期の復習もそこそこに、すぐに期末試験範囲の詰め込み期間に突入。どの授業でも、どの先生も口を揃えてこのセリフを言う。
「今黒板に書いたこの部分、テストに出すからな!」
「今日やった教科書10ページ分、確実にテストに出すからちゃんと復習するように。いいね!」
「はい!今先生が言った雑学、何言ったかちゃんと聴いてたかぁ?テストに出しまぁ〜す!」
「うわっ、やっべ、普通に聴き流してた!」
「ズルい先生。もっかい言って!」
"普通に真面目な"生徒たちは昼休みや放課後になると、予習復習の話をする。反対に"普通に真面目ではない"生徒もいるわけで。
「期末範囲マジきちぃ〜。現社の範囲広すぎるってぇ〜。眠いしぃ。国語も面倒くせぇよ。漢字とか?熟語とか?マジ無理だわ。眠いしぃ」
「眠いだけじゃん!」
「帰りマスド寄ってかない?ドーナツ食べながら勉強会しね?」
「今日枯渇した分の糖分とカロリーを取り戻そうではないか!ヨシ、あっちゃん行こう!」
「さや、お前それ、鞄の中何入ってる?」
「ん?弁当だよ?」
「……弁当だけか?」
「うん。そうだよ。どうかした?」
「どうかしたよ。勉強道具はどした?」
「……いる?」
「聞いた私がバカだったわ……」
「……ん?」
女子にも男子にも必ず一人や二人はこんなおバカがいる。
「秋人お疲れ!一緒に帰ろ」
「あぁ、ハル、悪い。俺今日図書室寄って行くわ」
「テスト勉強?」
「一応な」
「じゃあ僕も付き合うかな。というか〜……ノート見せて?」
「さては、寝てたな?」
「ち、違うよ!視覚情報だけに囚われずに聴覚に全集中してただけだよ!」
「ものは言いようだけど、ノートはちゃんと取れ」
「あ、はい。すいません」
放課後、秋人と図書室でテスト勉強をすることになった。でないとノート写せないし。
図書室に入ると、誰もいなかった。受付カウンターにも、部屋の奥にも、図書委員らしい生徒の姿も見当たらなかった。運動部の喧騒が微かに聴こえるだけの静かな図書室。
「家だと何だかんだと気が散るし、ゲームとか誘惑あるし、やっぱここがいいな。今日はまだ誰も人いないし」
誰もいない放課後の図書室で秋人と二人っきり。これがラブコメとかだったら、カップルがちょっとイチャつきそうな雰囲気になったところで邪魔が入ってワチャワチャする展開とかあるはずなんだろうけど……。正直僕はそのイチャつき方が分からない。恥ずかしいからとかだけじゃなくて、とにかく分からない。新鮮なカップルのノリみたいなことが。元は男同士で、幼馴染で親友で。そんな関係の二人が、まさか図書室なんかでそんな雰囲気になるわけがない。
そんなことを考えながらノートにペンを走らせる秋人を見る。真面目に勉強していた。
そんな芽吹の視線に気付いた秋人。
「ん、なんだ?何か分かんないとこでもあった?」
「ううん……。なんでもない」
「そうか?ハルもテスト頑張れよ」
「う、うん」
「春休み、心置きなくいっぱいデート出来るように」
「……つ!」
そんなことを言われて嬉しかったけど、やっぱりちょっと恥ずかしくなった。でも、見ると秋人もちょっとはにかみ笑いをしてた。なんだか少しだけ勉強にやる気が出て来た気がした。
翌日もテスト勉強のために秋人と図書室に行くと、
「はっ……!?あっ……!おぉっ……おつかれさまです!」
「ほぇ……!?」
今日は受付カウンターに人がいた。1年生の男子だった。入って目が合った途端何故か凄い慌てたように挨拶をされた。まるでコワい先輩に会ったみたいに。
「秋人、あの子になんかした?凄い怯えてたけど」
「なんでいきなり俺がイジメたみたいになってんだよ!?」
「だよね」
「どっちかって言えばお前を見て慌てたように見えたけど?」
「え、僕の方?」
「知らんけど」
その日はそれだけで、あまり気にせずテスト勉強に集中した。しかし、翌日も、
「……!あわわわわ……!い、い、いらっしゃーせぇ!」
「ラーメン屋か?」
そのまた次の日も、
「ど、ど、どうぞごゆっくりー!」
「カフェかホテルかな?」
その次の日。
芽吹は家の買い物を頼まれてたからと言って今日は先に帰った。だから今日は俺一人だけ。扉を開けて図書室に入ると、すぐに受付カウンターに座る男子生徒と目が合った。すると彼の目はすぐにもう一人の存在を探して始めた。そして、それがいないと分かると、少し残念そうに静かに俺にお辞儀だけした。それを見た俺は、
「……なるほど」
男子生徒の挙動の原因が確定した。
その翌日、秋人はとある実験をしてみることに。
秋人が先に図書室に入り、数分遅れで芽吹に入って来てもらう。その時の男子生徒の様子を見てみようということに。芽吹にはまだ何も言わずに
秋人は先に来て、図書室の棚の陰から様子を伺った。そして数分遅れで芽吹が来た。
「あっ……!はっ……たっ……おっ、おつかれさまでふっ」
噛んだ……。
「……ぷっ!」
思わず吹いてしまった芽吹。
それを見て顔を真っ赤にして慌てる男子生徒。ワタワタし過ぎて机に指をぶつけて痛がり、更にワタワタ。
「だ、大丈夫?」
心配する芽吹に声をかけられると、
「はぅすっ……!?」
明らかにズキューンされたリアクションになっていた。しかし、そんな挙動を疑問に思わない鈍感な芽吹。
「1年生?おつかれさまです」
優しく挨拶をしただけで終わった。
その日の帰り道。
「ハル、ちょっといいか?」
「?」
彼がいる図書室で話すわけにいかないので、帰り道で話すことに。
「図書室のあの男子生徒のこと、お前どう思う?」
「ほぇ……?どうって?」
「いや、待て。単刀直入で行こう。図書室のあの1年男子のことだけどな……」
「今日噛んだ人?」
「……そこは忘れてやれ。あいつたぶん……いや、確実に、ハルに気があるとみた」
「……へ?」
「あれは絶対お前に惚れてる挙動だ」
「……」
「ハル?」
「……」
「おい?どした?ハル?」
数秒間の無反応から、
「ほえええええええ!?」
顔を赤くして驚きの悲鳴を上げる芽吹だった。
「……というわけで、なんだが」
放課後、秋人は夕夏、八乙女さん、出島、京弥を図書室に呼んで、あとから遅れて来させた芽吹と、例の1年生の反応を直に見てもらった。
図書室に入ってきた芽吹に対して分かりすく顔を真っ赤にしてきょどる図書委員の1年生。
「ほぅほぅ……」
「なるほどね……」
「憂いやつじゃのぉ〜」
「どこの殿様だよお前は」
戦国武将風に渋い顔で言う出島に京弥がツッコミを入れる。
雑誌、新聞の閲覧棚からコッソリと覗いて状況を確認する秋人たち。
目の前の1年生が自分に好意を持っていると知らされた芽吹は、恥ずかしさを精一杯隠したつもりでとりあえず会釈をした。すると、まさか憧れの美少女な先輩と目が合って会釈までされるとは思っていなかったのか、慌てて立ち上がった勢いで椅子が吹き飛び、けたたましい音が図書室に響き渡ってしまった。
「だ、大丈夫……?」
「はっ、はひぃ!す、す、すみません。だ、だ、だ、大丈夫です大丈夫です!」
そこに更に優しく心配され、今度は顔から火が出る勢いで真っ赤になっていた。
「分かる!分かるぜ少年!1年の時の俺も初めて芽吹ちゃんを見た時はあんなんだったぜ」
「嘘つけ。お前があんなウブな挙動してるとこ見たことないぞ」
「芽吹ちゃんにルパンダイブしようとして秋奈っちに速攻でのされてたよね〜」
「そんな俺も今や恋に悩める思春期男子たちの愛の伝道師、出島ックス!」
「なんか急に訳わからんキャラ憑依したぞ?」
その日の放課後は、期末試験の勉強会ではなく、芽吹に惚れている図書委員の男子生徒にどう真実を伝えるかという議論になった。
「やっぱりシンプルに一度告白のチャンスを与えてあげるべきじゃない?」
「もう秋人という彼氏がいて、フラれると分かった上でか?」
「それはあくまでウチらの認識でしょ?彼はそれを知らないんだよ。ダメ元で告白して、芽吹ちゃんがキッパリ断る。これが一番シンプルだし、彼も想いは伝えられてキリも良いはず!京弥はどう思う?」
「なんで俺に振る?」
「シンプルに男子として」
「……確かにその方がシンプルだな。第三者の俺らが余計な気回してもややこしくなるかもだしな」
「じゃああとは問題なのは、彼がハルに告白出来るチャンスを与えるにはどうするか……だな」
「誰かが背中を押してあげないとだよねぇ〜?」
「あ〜、愛の伝道師だっけ?」
「任せたぞ。出島ックス」
夕夏、秋人、京弥の視線は出島に向いた。八乙女さんは一人呆れて頭を抱えていた。
「あれぇ〜……?ギャグのつもりだったんだけどなぁ〜……。マジで?俺がやるの?」
「出島、貴様の男気とやらを私に見せてくれ。信じているぞ」
八乙女さんが出島に激励の言葉を送った。嘲笑の笑みを浮かべながら。
「あれれぇ〜?八乙女さん、言葉とは裏腹に笑みが怖いんですけど……?」
それから数日後の放課後。芽吹は出島経由で学校の裏庭に呼び出された。
例の図書委員の1年生男子と芽吹の様子を、2階の理科室の窓から覗き見る秋人たち。
「ちょっとこれ遠くない?」
「なんで2階の理科室なんだよ!?下の家庭科室の方が良くねーか?」
「いや、あんま近いとハルが恥ずかしくて死ぬって言うから……」
「それは確かにダメだな」
「相手にバレてもダメだしな」
遠くて声が聴こえないからと今更窓を開ける訳にもいかず、秋人たちは黙って守ることにした。とは言え、芽吹が彼の告白を断る結果は変わらないのだが。
1年生男子の決死の告白に、
「……ゴ、ゴメンナサイ!」
フルスイングで腰を折る芽吹。それから数秒遅れて、
「ありがとうございました!」
彼もまた、フルスイングで腰を折った。
全てが終わり、帰りにファミレスに寄った芽吹たち。気持ちを勉強会に切り替えることに。そこで芽吹はさっきの告白の後のことを振り返って、少しだけ嬉しそうにみんなに話た。
「お、俺……、本当は春風先輩と柊先輩が付き合ってることは知ってました。でも、好きになった気持ちはどうしても誤魔化せなくて……。図書室で合う度にキモいキョドり方してすいませんでした。今日、この気持ちを伝えることが出来て……良かったです。なんか、スッキリしました」
「そんなっ……キモいとか全然思ったことないですよ」
「あ、あの……!」
「は、はい!?」
「先輩が良かったら、これからも普通に、いつでもまた、気兼ね無く図書室に来て下さい。俺はもう大丈夫なので」
2階の理科室からでは分からなかった会話。あとからそれを聞いた秋人たちは、
「後味良い意外にサッパリした性格のイケメンじゃん彼。やるねぇ。好感度高いよ?」
「ふむ……。振った振られたの間柄のせいで芽吹ちゃんが図書室に行きづらくならないようにする気遣い。普通振られた直後でなかなか言えるものじゃない。イケメンだ」
八乙女さんが満足そうに頷いた。
「僕も、なんて言うか……、断った手前、今後図書室には行きづらくなっちゃうな〜って思ってたから。気不味くならずに済むよ。僕もあれはイケメンだと思う。いい子だと思う。うん!」
「俺、ハルにイケメンって言われたこと無い気がするんだが……、嫉妬していいか?」
「ええええええ、なんでぇ!?」
向いの席からしょんぼりと芽吹を見詰める秋人にワタワタする芽吹だった。
「どうだ!これが愛の伝道師出島ックスの手解きのおかげだぜ。俺の純情でテクニシャルなセンスにかかれば恋に悩める男子はみんなイケメンになれるのだ!どーだぁ!」
「純情……?」
「……テクニシャル?」
「今ここにいる誰もお前にそんなセンス一度も感じたことないと思うぞ?」
「フッ……。4Kのテレビ画面と一緒さ。離れて見るから良いんだよ」
「いや、ちょっと意味分からんけど」
続く……
【正反対の君と僕】あれは良いですねぇ〜。面白い!ラブコメ好きとしては近年稀に見る憧れと理想の猫写が山積みのような作品だと思ってます。パクリにならない程度で見習いたいお気に入りの作品です!




