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フラット

「力で屈服させてきたお前が吐く言葉か? 憎悪の表現はお前の方が専売特許だろ」


「誰かに認められようとか、同じ考えを持つ者と繋がろうとか、小さいところから変えようとか、そうやって結晶人はいろいろ想って発言するけど、君の扱う言葉は暴力でしかないし酷く落ちぶれた人間の想いだ」


「人間の命令に従っている奴が人間的なんだよ! 人間共の扱う言葉は暴力なんだよ!」


 おれは根っから落ちぶれている。根が腐っていて、もう死を待つ他に救いはないほど大地を汚染している。それでも、最低最悪な根を持つおれでも、「生きていたい」と願った。その結果が三年寝太郎を驚かせる生涯寝太郎だった。おれという存在にはほんと笑えるよ。


「ニレン! 結晶人をよく見てみろよ、まるでおれたちは力に屈した動物じゃねぇか……人間共の都合で毒殺されたり、餓死させられたりする、持つには重く背負うには軽い命だ」


 少なくともおれは動物だ。帝国民が噂する戦場の負け犬だったり、お前の言う獅子の子だったり、おれは力に屈した動物だ。狭い家畜小屋でしか自由を許されない動物だ。


「いつ帝国の人間が結晶人を殺したんだ」


「殺されているようなものだろ」


 戦場で死ぬのが結晶人だ、戦争を始めたのは人間共だ。いつだって死ぬのを強要するのが人間共だろ。なのに、どうしてお前は結晶人族(シシ)を死なせるんだ。


「お前に殺されたリジーは何か言ってたか、何かお前に願ったか……」


「『わたしは懸けている』と言っていた、なのにいつまで経っても君が来ないから悲しんでいた」


 嘘つき野郎が、悲しませるのはいつもお前だろ。ヒトの感情も考えないでペラペラと嘘を並べて裏で嘲笑うんだろ。おれはそれが許せないんだ。


「ああ、失敗作はお前だったな。感情の表現すら偽るお前だよニレン」


「だろうね。アザミは視聴覚障害を患っているヒトよりも見えたり聴こえたりしていないからね――そこで一つ訊くけど、アザミは本気で見たり聴いたりしているのかい。何不自由なく過ごして、妄言すら判断できず怒りに感情を預け、託された剣すら引き抜きもせず。アザミは本当に見えているのか? 聴こえているのか?」


「人間に操られている人形野郎の言葉なんざ誰がまともに聴くんだ……」


 何も見えねぇし何も聴こえねぇ、おまけに鼻も利かない程だ。おれはお前が嫌いだ、口を開けば意味不明な言い回しばかり、見ても見ても追いつけないその背中、嗅げば懐かしいと思ってしまう一族の匂い。偽物のくせしておれに近寄るんじゃねぇよ。


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