人間族への恨みの言葉
「これぞ混沌だな、おれとお前とでは見えているものの区別ができやしない。そしてニレンが何を見ているのか、おれたちには想像でしか語れない」
こうして勝手気ままにペラペラペラペラと、他人の悪口陰口暴言失言イライライライラ忙しい。この感情を制御できたら自由になれそうだよ。
「ニレンの戦争は殺すことが目的じゃないんだと思う。ヒトを殺すことでも土地を奪うことでも……セカイを救うことでもないんだと思う。アザミの言う想像で語っているわけだけどね」
「どうやらお前もニレンに憑かれちまったみたいだな」
「アザミは昔からニレンに憑かれているじゃない。真似っこ大好きアザミ君じゃない」
そりゃあ、結晶人でニレンを尊敬しない奴の方が珍しいだろ。ムカつく奴なのは確かだが、あいつよりも帝国領土を潤した結晶人はいない。そんな奴を見ないで誰を見るって言うんだ。
とおれは頭を冷やそうとガリガリ氷菓子を食らう。
「このぐらいでニレンの話を止めておくとしてだ――昨夜目にした百鬼夜行の魂の話を聞きたいだろ? すごい話だぞ」特にすごい話でもない、ただ単にリジーと話がしたい。
「うーん、聞かなくてもいいかな。どうせ顔を見てないでしょ」
「いや、うん、顔は見てないけど話くらい聞きたいだろ。帝国領土のあちこちに出没すると噂の、人間だけでなく結晶人までも消してしまう危ない奴の話だぞ。現にかつての支配層がほとんど消えてしまっているんだ、このまま野放しだと血筋が悪い頭も悪いそれどころかおれのような性格悪い奴が支配層になるぞ」
「確かに今までの支配層が消えていくのはかなり不安定だよね。でもさ、消えたら消えたで新しい人間が役割を持つのだから消えても問題はないし戦争も終わらない。わたしたちが何を言っても最終的な決定は人間様の仕事でしょ」
だから不安定なんだろ。仕事が増える戦争が増えているいろいろ増える、これじゃあこころの平穏がプレス機でペシャンコだ。ああ、潰すのが得意そうなカラダつきには文句も言えない。
では、口に出来ないからこそこのセカイの人間を紹介してあげよう。
「ハッキリ言わせてもらうと、今まで見てきた中流階級や上流階級は無能ばかりだった。まともなのは支配層の超上流階級と何を言われようと努力し続ける下流階級の者たちだ。超上流は源流だから流れが変わらない、しかし上や下は上ったり下ったりとせわしない。つまり命の水が湧き出る場所が完全に汚染されてしまえば終わりってことだ」
「だろうね、中間とやや上は調教済みの良い子ちゃんだからね。今の中流や上流なんて基本的に薄っぺらの紙芝居で出来ていて平坦な人生を送っていられる。まあ、それでも上も下も関係なく頑張って生きているでしょ、健気な人間様だから」
確かに人間なんざどいつもこいつも変わらないだろうけど、その人間が頑張っていたら結晶人は苦労してないんだぞ。金があってもなくても学があってもなくても、おれたち結晶人は階級外の生き物だ。異名持つ結晶人あれど、勲章やら階級を持つ結晶人なんざニレンだけだろ。




