カグヤ
と、話を戻すがどうだ変女よ? 饒舌なおれはクリティアス帝国一の情報屋なだけあるだろ。
「ふふっ、追うとき獅子、咲くとき花。台本なしの満点評価を聴かせてくれてありがとう」
「はぁ? 五点満点だったら四点の評価だろ。総合評価で見たら三・八くらいだ。感情の表現とか女心を分からねぇ鈍感なところとか、『大英雄ニレン様は表情筋を鍛えるよりも、こころを鍛えた方がより好感を持てる』、おれならそうレビューするね。それに、持つ者と持たざる者なんざ結晶人の場合は世代別で分かるんだよ」
本来であれば、第五世代のおれは持つ者のはずなんだけどな。とでも言葉にできたら、おれの気は少しでも楽になるのだろうか――うん、ならねぇな。
まったくこの精神操作系変女め、おれにニレンの評価を言わせるなよ。ニレンだけじゃなく結晶人は商品みたいなものだが商品じゃねぇ、それにおれも派遣会社の営業者じゃねぇんだよ、おれは評価するに値しない無色透明な無職だぞ。出直してこい精神病質変女。
「そうかもしれない、だからわたしとニレンはお似合いの愛の結晶なんだよ」
何がお似合いかさっぱりだ。頭がおかしい点か? それとも脳みそが愛の結晶に侵食されてしまった点か? 悪いが結晶に愛されたところでお似合いカップルにはなれないね。
「無理無理、お前みたいな変な女は……そういや、お前は何世代だ? 首都の所属じゃなさそうだし、言葉に古臭さが染みついているし」
「世代? 次世代? ハイネ?」
「わけわからんからおれが質問してやる――名前とコードは……」
「名前はカグヤ。コードっていうのは何?」
おやおや、これは偶然でしょうかカグヤ姫様。まさか、『わたしは人工子宮から生まれたのではなく光り輝く竹から生まれたのよ。コードなんて知らないわ』とか言いたいのか。
「お年寄りの意識朦朧ネタは聞き飽きたから真面目に答えろ、帝国兵士だったら自分の製法と製造番号を暗記しているだろ。それとも番無しを名乗れる功績でもあるのか……」
「帝国兵士じゃないもの。そんなの知らないよ」
「そんなはずねぇだろ、お前のカラダからは結晶因子の匂いがプンプンするぞ。まさかあれか? 帝国領の超ド田舎で生まれた忘れられた結晶人か? それともシークレットな部隊所属か?」
「どれも違うよ、わたしはカグヤ、何でもないカグヤ。それに忘れられたのはあなたでしょ、わたしはある意味で未来人だよ、超の付く田舎出身だけどね」
ははーん、なるほどなるほど。このおれを貶す術と電波系黒歴史製造術を熟知しているのはこの女で間違いないようだ。『愛の結晶』などと口走る古臭い女だが、ニレンより古臭くてイカレているとは驚きだ。
まあそれは置いといて。第一世代、いや二か、違うな、三と四も違う。じゃあこいつは何世代だ……不妊体質なら一世代から三世代までだから、『生理は来るか?』と訊けば解決する話だが、知り合いの女性にですら訊けるはずもない。感情表現も第四世代以上の反応なのは確かだし、こいつは何者だ。




