誕生日
聖戦を終わらせるために生まれたのに、戦えないおれは何のために生きているんだ……。
(お誕生日おめでとう――おれ)
今日もおれの空は曇っているが、現実の空は素晴らしいという感じの天気だ。
おれは何の予定もなくまたしてもお祭り騒ぎの街に出て、飯を食らい、暇を持て余し、暇だ暇だと気持ち悪い妄想を繰り返してから、いつものようにアッシリア大広場のベンチに座り、聞き飽きた新しい情報に聞き耳を立てていた。
//そして変な女に唐突に話しかけられたのだ。
「ねえ、あなたどこかで見たかも! うーん初めて見たのはどこだったかなー、戦国時代とかかなぁ? うーん、似ているけど最近のどの紀年でも会っていないような、創世代で会ったかな?」
おっと、これは野蛮な女に話しかけられてしまったようだ。今日おれは死ぬのか? やっと死ねるのか? この暇なき暇な人生に幕を閉じるのか。
「ああ、タイムスリップすれば戦国時代のどこかで見られただろうな。それとも聖戦時代の今が戦国時代とでも申すのですかなお嬢さん」
「完新世紀で会ったかな?」
うむ、ヒトのお話はちゃんと聴こうねお嬢さん。おれは無視されても構わないけど、無視されたのが人間共であれば罵詈雑言で威嚇の限りを尽くしてくるぞ。まさかとは思うが、大都会の人間社会を学ばないまま田舎から出てきたのかなお嬢さん。
「残念ながらおれは新創世紀元年生まれだ。植生代の地層に覆われ、顕生代の燃料のように隠居生活する、そういう今は亡きじっちばっぱと一緒にしないでくれ」
「あ、そういえばわたしも新創世紀生まれだったわ」
なんだよこの変女は、自分の生まれを忘れるとか今は亡きじっちばっぱと一緒じゃねぇか。
「それは気が合うね」
「わかった! あなたは〝こども〟だ!」
これまた唐突だ、こいつにはおれの何が分かったというのだ。いや、合っているかもしれないけど、おれの気に障るガキンチョだな。ほんと、戦国時代でも聖戦時代でもかなりの美人というのは頭蓋の中も狂い咲きした奴が多いようだ――ん、こいつどこかで会ったか?
「失礼だな。おれは結晶人だぞ、誰のこどもでもねぇよ」
「それでもこどもだよ。このセカイの戦国時代の子供たちはお父さんやお母さんを早くに亡くしちゃっていたんだよ。そんな苦しい時、血の繋がりが有っても無くても親代わりしてくれるヒトたちがいて、苦しくても貧しくても生きていたの。お互い様って言葉があるように、瑠璃の民は心を宿していたし、相手を思いやる心を持っていた。だからあなたはまだこどもなの」
どいつもこいつもおれをこども扱いかよ、しかも今回は会ったばかりの変女にこども扱いされるのか。これは問題だ、大問題だ、差別だ、力による征服行為だ。




