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ハレルヤ

「ハイリスクハイリターンで今まで来たのに、次は神の国……競争しない安定した国なんて神ですら造らないのに人が神の国を造るのね」


「ああ、そのうち帝国の首都と三大都市を中心にして他の土地は管理下に置かれるだろう」


「神様がいるのに、神の国をねぇ。神々が黙っていないね」


「だからバベルの塔を建設するんだ」


 帝国は七匹の敗残神を選ぶつもりなんだ。『バベルの塔に飾る神々をどれにするか』と、人間たちは選ばれた七大神に新たな第一から第六までの根源種を創造させる気だ。


「神の王を黙らせて生き残った神々を人間たちが利用する……バベルの塔で神殺しか、その神を殺せるのはニレンだけってことなら歴史は繰り返しそう」


 神殺し……いいや、あいつはもっと違う何かだ。そうでなければ闘争で神が笑うはずない。


「繰り返すだろうよ。ニレンは大神カオスを殺すくらいの未来人ジョン・タイターだ、すべての神が絶滅した後は結晶人ニレンが新たな神になる。そうなれば次に絶滅するのは人間かもしれん――人間共の態度次第だけどな」


 今現在、この植生代新創世紀こそが聖戦記と結晶史の黄金の歴史。勉強嫌いな結晶人のこどもが自ら進んで聖戦記を勉強したがり、そしていつの間にかニレンを追いかける。このような時代を築き上げたのは、ニレンの鉱石だか功績だかが要因なのは間違いない。


 ほんと、ニレンという男の話をすると切りがなくて勉強どころではなくなってしまう。


ffff一つ、神アレスを殺したのはニレン。

ffff二つ、堕天使ベリアルを殺したのもニレン。

ffff三つ、悪魔リヴァイアサンを殺したのもニレン。

ffff四つ、大天使ガブリエルを殺したのもニレン。

ffff五つ、それで、大英雄になるきっかけは大神カオスを殺したことだ。神生国エンルルの第六根源神種(エルダー)――帝国が現時点までに捕捉した最高クラスの神――その神々(ハリストス)の第六階級神を討ったとなれば、ニレンの異名が【我が主を賛美します(ハレルヤ)】になるのも頷ける。


p六つ、面白い落ちも驚きの落ちもないので、ニレンの最後は己を己で殺すのだろう。


 第五世代(フロイデ)の結晶人ニレンは一代で新世界ともいえる結晶セカイを築き上げた。新創世紀の紀年に書かれた聖戦記にはニレンの名前がぎっしりで、その時代の問題のほとんどはニレンの名前を書けば正解してしまうほど単純なものになっている。


<(人は一代、名は末代。皮肉なことに、このセカイは<名>ではなく<人>だ。人は一代、ニレンを造ってしまったが故にセカイは取り返しのつかない崩壊をする。恥を曝すのはいつの時代も人間と神だが、結晶人ニレンもまた人間と神のような恥曝し、<名>として未だ語り継がれるシィェンファナ――帝国三大都市の一つ――の帝辛(最後の王)と同じく、恥だらけの末代よ。我が主に聖杯を(ハレルヤ)我が主に刀を(ハレルヤ)我が主に歓喜を(ハレルヤ)我が主に呪いを(ハレルヤ)我が主に文法を(ハレルヤ))>


 こうして唯一暇な結晶人はセカイについて考えている。何もできないおれは妄想することに一生懸命で、未来に何が待っているのか楽しみで仕方ない。


 英雄譚はかつての物語を大袈裟に書いたものであって、事実はちっぽけな出来事だ。しかしニレンの物語といえば、事実は小説よりも奇なりと言える英雄譚だ。


「かつての英雄(結晶人)を称える花火もフィナーレ」


 フィナーレに打ち上る数々の花火は、さながら昼間のエーテルを照らす太陽のようだ。大英雄のように語られなかった英雄たちは、一発の花火のようにすぐ消えてしまうが、何発も立て続けに打ち上れば聖戦の歴史の長さも、数多くの英雄が散ったという事実も再確認できる。


「寝させてくれない都、まさに絶景都市エーテルだね。この光景がピッタリだよ」


 と、おれに返事をしてくれる彼女は眠たそうにあくびをしていた。この国のフィナーレには早いだろうけど、ピッタリと言えばピッタリな光景だ。観ているかニレン、百鬼夜行の魂は聖戦の終わりを祈っているぞ。


「帰るか」


「だね。じゃあ、明日と明後日もここに集合ということで、よろしく!」


「ああ、分かってる」(それが約束だからな)


「約束……わたしの方が先に破るかもしれないけど、アザミは守ってよね」


 かつて人間と結晶人の約束があった。そちらの約束は果たせそうにないが、リジーとの約束だけは守らなくてはならないようだ。


</birthday>


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