黄金期結晶人部隊
毎年恒例の結晶人部隊の同期会はこうして始まった。新創世紀元年生まれの黄金期結晶人部隊――【アルブレヒト】――。かつておれが所属していた部隊、それがニレンを筆頭とする最強のアルブレヒト部隊だった。つまりは過去のことだ。アルブレヒト部隊はすでに解散し、メンバーのほとんどが他の部隊の隊長に選ばれていたり、若い結晶人の教育者になっていたり、おれのように暇を持て余していたりする。
「いま気になったが、ここで一番の年寄りジジイは誰だ?」
「おれは一週間後に誕生日だ」とケント。
『おれは二カ月後』とアランとクルー。
ああ、つまりは、
「アザミが一番ジジイだな」「よちよち歩きのおじいちゃん、こどもかな? おとなかな? 答えはアザミ」「頑固なクソジジイには切れ痔が似合う硬いクソ。柔軟なクソジジイには下痢クソピッピー。アザミに似合うは硬クソ下痢クソFのクソ」
そうだろうな。まったく最高の隠居生活だ。これから暇な時間をどう過ごそうか……野菜を育てて腐らせるか、花を植えて枯れさせるか、動物を飼って死なせるか。まったく、隠居してもおれには向かない趣味ばかりで参ったぜ。
「そんじゃ、後のことは頼んだぞ若者たちよ」
『残念ながらお前も若者だ』
いやいや、そんなことはないぞ。おれを見てみろ。おれはこの歳で超健康体にも関わらずある意味で老介護されている身ではないか。つまりおれはお前らと同じ若者ではないのだよ。うむ、論理的思考の限界を超えてしまうと論理崩壊が始まるらしい。
そんなことを黙考していたおれは、
<「ムクリ元帥、今回のバベルの塔建設再開についてですけれども……」>と、垂れ流しにしてある情報番組から気になる言葉が出てきたので耳を傾けてみる。
<「えぇ、建設再開は皇帝様の意志でして、えぇ、我々も、えぇ、皇帝様に賛同した形です。えぇ、再開の理由については、えぇ、現在の結晶人の戦力がですね、えぇ」>
<「つまりは、聖戦の終止符に打って出るということですね? ――大英雄ニレンにその役目を与えるということですね?」>と、しびれを切らした結晶女は、先ほどから台本をチラチラ見る上流階級の人間を問い詰める。
<「そ、そうなりますね、えぇ」>
なるほどな。嘘つき人間の下っ端ファシスト野郎が。どうせお前らは【カライスクロスの血】を利用して聖戦を終わらせないようにニレンを脅すはずだ。流石、今でも戦争をビジネスにしているゴミクズ人間の血筋だな、いつの時代にも十億はいる醜いF野郎だぜ。
「バベルの塔建設再開って、皇帝様はいったい何を考えているんだろう。バベルの塔なんか無くてもニレンがいれば解決する話なのに」
「皇帝様は今すぐにでも神の王様の肉を食べたいんだよ。皇帝様は帝国の王様でい続けるのに飽きた、だからニレンを使って世界の皇帝に君臨しようって話だ」
アランとクルーは相当なお馬鹿だからおカバな会話をおれとケントに披露してくれるのだ。
「皇帝様と大元帥の方々がシミュレーションで今すぐにでも勝てると判断したんだろ。なんせ、おれたちの帝国には大神カオスを討ち取ったニレンがいる。傍観者面している神々の王には、バベルの塔の頂上で散ってもらうのが聖戦終了への最高の舞台構成なんだよ」
ケント、そういえばお前の頭は回転だけ速いお馬鹿ちゃんだったな。第五世代をシミュレーションに入れられるならおれも戦力として数えてくれよ。




