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同期会

「ご予約のお客様ですね、どうぞ中へ」と結晶男店員。


 時は十八時現在、おれは店屋――ガーデンオブギルガメシュ――のドアを開けた。


 ここは『中庭の休息』というテーマでニレンが考案した飲食店だ。その店屋の中は開放的な空間になっていて、外にいるかのような青空を眺められたり夜は夜空の星々を眺められたり、庭に咲く花々を眺めたりできるようなニレン向けの内装になっている。


 そういえば、前回の集まりは天気が悪かったにも関わらずこの店を選んでいたな……どれだけ前から予約しているのだか訊いてみたいものだ。とまあ、今日はおれの気分と関係なく快晴なわけで、天気の良い今日は広い中庭でお食事やら話すこともない世間話が行われるだろう。


 おれはチラリとだけ店内を確認する。今は男だけしか見受けられない、インテリアの花はあっても文字通り花はなかったのでよしとしよう。


「どうかなさいましたか?」


 と、おれがいつまでも店に入らないでいるため、結晶男店員は不思議そうな顔で訊いてきた。


「いや、意外にも集まっていなかったから」


 集まっている連中の中におれの嫌いな奴はひとりもいなかった。そこで胸をなで下ろすおれは店の中に入って静かにドアを閉めるのだ。


 この場所はいつ立ち寄ってもピカピカしている。結晶で造ったからピカピカしているのではない、世話好きと言うかお節介と言うか、まぁそういう奴がいて花の世話や掃除をしているのだそうだ。ここで働いている結晶人に任せとけばいいのに、まったくスパルタ教師のこだわりには口出しできないねぇ。


「いつも思うが随分と減ったな、少人数の貸し切り状態じゃねぇか」


 最初に口を開いたのはおれだ。昔は空いている席が無いほどの窮屈さだったのに、今では花壇を踏み荒らす余裕がなくなってしまった。それがたった五年くらい前のことなのに……生き残った年寄りはニレンのようにお友達がいなくなるようだ。


「減ったのは減ったが、しぶとく生きている奴も多いぞ。来ないのは仕事で来られない奴とか感情が冷えている奴だ。女性陣も呼んではみたが来るか分からん、リジーは呼ばなくても来そうだから呼ばなかった」


 そりゃあ、『リジーが来るぞ』なんて知っていたら男達は行きたい会も行きたくなくなる。あいつが来たら無慈悲な言葉の暴力だけじゃ飽き足らず力比べでもボコボコにされちまう、そうなれば男としての自尊心が傷だらけになっておしまいだ。


「ニレンが来ないなら女はリジーくらいしか来ねぇよ。花がなくても花は花壇に生えているんだから、来年は乙女的なオヤジ会でいいだろ」


「ああ、おれもそう思った。だからリジーだけは別の場所に集合かけた。それでも今年の集まりは去年に比べて悪いな」


 ケントの野郎あっさり酷いことしやがるな。あとでリジーに何か言われてもおれは知らんぞ。


 とそこでおれは、第三世代結晶人の二人の男に言葉の挨拶代わりに手を上げてみせた。


「おひさでぇす」とアラン。


「ひさしぶり」とクルー。


 それだけの挨拶。たった四人ぽっちの同期会は別れを惜しむ会のように始まろうとしている。


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