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〈表2章 勇者少年編 第1話〉

〈表2章 勇者少年編〉


「エリさーん、他に何かお手伝いする事ある?」


洗濯物を干し終わると赤毛の少年は明るい声で問いかけた。


前勇者バートとガーディアンのマチの間に産まれた現代の勇者ギルは10歳になっていた。


ギルが産まれた際、ギルの腕にあった黒い痣から影が飛び出し、勇者バートは息子のギルを庇って死亡。


気を失っていた母親のマチは、妹のエリが夜通しで看病をしていたが、翌日の早朝に謎の光の柱に包まれ、一瞬のうちに忽然と姿を消し、現在も行方不明のままとなっていた。


前勇者のパーティだったエリと、同じく前勇者のパーティであり、エリの夫のトンパが身寄りのないギルを引き取って育てていた。


「ありがとう、ギル。そしたら魔法の修行をしようか?ユキを呼んできてくれる?」


「わかった!」


ギルは緑の芝を飛び出し、赤と青の花壇を飛び越えると、木造の玄関の扉を開け、階段を駆け抜けて2階のユキ部屋の扉の前で立ち止まった。


「ユキー、魔法の修行するってー。」


ユキはエリとトンパの1人娘で、ギルより1年先に産まれ、ギルにとっては姉の様な存在だった。


「私はアンタと違って攻撃魔法はからっきしダメだから、お父さんの武術の修行がやりたいなぁ。」


ユキはちょっとふて腐れてそう言いながら部屋を出てきた。


「じゃあさ、オレが新しい攻撃魔法覚えたら防御魔法で防いでよ!ほら、行くよ!」


そう言ってギルがユキの手を引っ張ると、


「ちょっ、引っ張らないでよ」


と言って勢い良くギルが走り出すと、ユキはギルに掴まれた腕を支点に宙に舞った。


まるで風船を持つ少年の様にギルは階段と家の中を駆け抜け、ユキは薄い緑色の髪を揺らしながら無言で揺れていた。


家を飛び出し、玄関のドアを魔法で閉め、赤と青の花壇を再び飛び越し、エリの前で停止した。


「ギル、ありがとう。そんな超特急で走ってきて、ユキを防御魔法で覆ってこれたのかな?」


「うん、出来たよ。ふわふわ綿菓子みたいなイメージかな。」


ユキの身体は白い雲の様な物で全身を覆われ、まるで羊の様な姿になっていた。

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