<裏1章 魔王誕生編 第1話>
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西に人類、東にモンスターと世界は2分されており、その時代の「勇者」と「魔王」の強さによって人類とモンスターの勢力分布が変動するこの世界。
先の大戦によって「勇者」が「魔王」を討伐し、人類にとって安息の時代が訪れていた。
そんな時代において今、新たな世代の魔王が誕生しようとしていた。
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〈裏1章 魔王誕生編〉
ここは魔物が住む東の国の深い深い山奥。
深い緑色の沼が広がりボコボコと鈍い音をたてて弾ける泡の音が静かに木魂していた。
「早く贄をこの沼に捧げるのだ。」
沼にやってきたのは魔王護衛軍の1人、魔導師ラビ。
生贄の人間と家臣を引き連れ沼にやってきた。
連れてこられた人間は口を塞がれ手足を縛られてていた。
「これで魔王様が復活なさる。早く贄を沼に放れ!」
うーっ、と声をあげ必死に抵抗している人間を尻目に、家臣の魔導士達は人間を淡々と沼に放り込んでいった。
空は黒い雲で覆われ、静寂に包まれた沼に大粒の雨が落ちていった。
強くなった雨が水面を揺らし、雷鳴と共に強い光が沼に向かって降り注ぐと、衝撃で沼の水は全て枯れ果てたが、沼に広がる霧の中に黒い影が薄ら見えた。
黒い影は沼から霧の中をゆっくりと進み、頭を深く垂れた魔導師の元で立ち止まった。