期待の新人ライトパーティー!……マスターの同級生だよ!
「くそ!むかつく!!」
「またマンタティクスのこと〜?」
「うるせえ!」
キャンプ設営を終えたライトたちは、依頼対象である魔物“ミールワーム”の生息地に向かっていた。
「そんなに気にすることないと思うのに」
「うるせえって言ってんだろ!」
ライトのパーティーは三人。一人は牛の角を持つミノタウロスの男。そしてもう一人は、空から偵察を担う、腕に鳥の羽を持ったハーピーの女性だった。
「どうしてあんな落ちこぼれを気にするんだよ」
「気にしてねーっつの!」
「仲間に当たるのはやめてよ。本当に最近、ライトはイライラしすぎだよ」
「……ぐ」
マンタティクスは最近急成長中のテイマー。
一方、ライトたちは魔法学校を主席で卒業した精鋭だが、目立つことは少なかった。
「どうせテイマーなんて採取と釣りしかできないんだから。あいつなんか、どうせゴールド止まりよ」
「チッ! それよりさっさとミールワームを探してこい!」
「はいはい、わかりましたよーだ!」
ミールワームは砂浜に潜み、餌を待ち伏せしている中型魔物。空からの偵察で発見し、連携して狩る――それがいつもの手順だった。
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「まったく、なんであんなやつのことで……」
空を飛びながら偵察していたハーピーがふと吐き捨てた。
「ライトは昔からマンタティクスに甘いのよ、この前だって__」
だが、瞬間__
「――っ!?」
衝撃――腹部に重く鋭い痛みが走る。
彼女の視界がぐらつき、羽ばたこうとしてももうバランスが取れない。
「くっ、な、何……っ!」
視線を下げると、腹部にミールワームの巨大な顎が噛みついていた。
その身体は従来の倍、いや三倍以上……明らかに異常な個体だった。
ヌメついた肉と刃のような歯が、内臓まで食い込んでいる。
「いや……やめ……!」
もがく間もなく、彼女の体は空中で引きずられるようにして、砂浜へ――。
「ギ、ギルドに緊急れ――!」
その時だった。
「っ!?」
反対側の砂が盛り上がり、もう一匹――さらに巨大なミールワームが姿を現す。
そして、お互いに彼女の体を挟むように寄ってきた。
一体が腰を、もう一体が肩口を咥える。
「やめて……やめてぇぇぇっ!!」
刹那、両側から引っ張られる激痛。
骨がきしみ、肉が裂ける音が耳に響く。
絶叫は喉の奥で潰され、意識が薄れていく中で彼女が最後に見たのは、自分の体が二つに引き裂かれる光景だった。