遮断マント!……新しい目的?
「どうですか、夢にまで見た冒険者生活は」
社長室のように高級感のある応接室。ふかふかのソファに僕たちは腰を下ろしていた。
「最高です!お金にも困らなくなりましたし!実は今度、アパートを引っ越そうかと! 2人暮らしだと少し狭くて……ネバーさんにも部屋、あった方がいいかなって!」
「……」
「……」
「あ、すいません。僕ばっかり喋って……」
「「いや、いい(ぞ)」んですよ」
マスターは今日も微笑ましい。
「さて、あなた達に渡したいものがあります」
ウジーザスが静かに手をかざすと、机の上に淡く輝く魔法陣が浮かび上がる。
その中心から、ゆっくりと黒いマントが現れた。
フード付きで、裾には銀糸の刺繍が施された重厚な布地――ただのマントではないと一目で分かる。
「これは……?」
「“第六感遮断マント”です。つい先日、私が直々に試作した特別製です」
ウジーザスは指先で軽くマントを摘まみながら続ける。
「私たち魔族は、人間や他種族を“感覚”で察知します。五感を超えた“第六感”――気配、殺気、魔力の揺らぎ、存在の輪郭すら掴む力。それをこのマントは完全に遮断します」
「「第六感?」」
「……ネバーさんはともかく、マンタティクスさんまで知らないのは問題ですね」
「てへへ」
「これは保健体育で習うことですよ、マンタティクスさん」
「え、あ、うん……思い出しました」
「私に嘘は通じません」
「う……」
「……つまり、俺の正体が感知されずに済むということか」
キターーー! 神アイテム!!
ウジーザス様、マジ女神! マジでそのおっぱいナイス!!
「フッ……ちょうど外でも情報収集したいと思っていたところだ」
うっわぁぁああ!異世界の街を思いっきり散策できるじゃん!!
「喜んでもらえて光栄です」
やばい、顔に出てた!? この人ほんとに目がいいな。
「さて、それともう一つ、お願いがあります。やってくれますよね?」
――飴と鞭、ってやつか。
「はい」
「断る理由もない」
「とある冒険者の救出依頼です」