冒険者階級!……ラストは魔王!?
「フッ……」
みなさんいかがお過ごしだろうか。
「行けー!ネバーさん!」
僕は女神様から授かった最強の力を使い、
「そいや!」
最強の腕力で網を投げ、川の魔物を捕まえている。
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「すごいですね! これで依頼は達成です!」
「あぁ」
川に棲む魔物――『イシイオサーモン』。
一見すると普通の巨大サーモンだが、背中と両側に生えた三枚のヒレが特徴的で、それぞれがまるで刃物のように鋭い。下手に触れれば指なんて簡単に持っていかれる。
捕まえるには、ギルドから支給される“魔網”という特別な網が必要だ。
「危ないからマスターは下がっていろ」
「うん」
僕は特別な手袋をつけ、一匹ずつ水槽へ丁寧に移していく。
「しかしマスター……これだけ働いても階級はまだ上がらないのか?」
魔族の冒険者には階級が存在する。
シルバー → ブロンズ → ゴールド → プラチナ → ダイヤモンド
さらにダイヤモンド昇格後は、魔王への推薦資格も得られる。
……まぁ、その時点で冒険者というよりは領主や管理職みたいなものだけど。
ちなみにマスターはいまだ最下位の“シルバー”だ。
「そりゃそうですよ。階級が一つ上がるのに普通は一年はかかりますし、上に行けば行くほど時間も伸びますしね」
「私たちの力なら、飛び級でも問題ないと思うが?」
「それを判断するのはギルドです。でも注目はされてますよ、僕たち」
「お、そうなのか?」
「はい。『採取依頼を頼めば三日以内に納品される』って、噂になってます」
「……なるほど、採取専門で有名に……」
悪くはないが、やはり少し地味に感じる。
「自分から採取以外の依頼を選ぶことはできないのか?」
「……できるにはできるんですけど」
「?」
「その……やっぱり“ソロよりパーティーの方が安定する”って思われてるので」
「それは……そうだな」
依頼人は成果を求める。安定性重視なら、実績ある複数人に依頼するのが普通だ。
「さて、作業は終わったぞ、マスター」
「うん、納品分より多く採れましたね。これなら少し分けてもらって、今晩のご飯にもできます」
「楽しみにしている」
「じゃあ、ネバーさんは先に帰っ__」
そのとき、マスターの顔から血の気が引いた。
「? どうした」
彼は、こちらを真っ直ぐに見て呟いた。
「……魔王様から連絡が来た」