表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/103

力試し!……魔王と戦闘!?もうラスボス!?



 「……?」


 「ご機嫌麗しゅう、えーっと……」


 「……ネバー」


 名前、確かに言ってなかったけど……これ、なんて状況?


 「ネバーさん、突然ですが今から私と戦ってもらいます」


 「へ?」


 戦う? 魔王と?


 「意味がわからないんだけど」


 いやいや、何言ってんのこの人?

 「勇者よ、旅立つのだ!」って、レベル1の時に魔王が乗り込んでくるやつじゃん。


 「フィールドに移動しながら話します」


 「……」


 言われるがままについていく僕。


 「マスター」


 「?」


 「何かあったのか?」


 「何も?」


 「違和感を感じても無駄ですよ。彼は今、私を完全に信用していますから」


 「?」


 「その話もしましょう。隠す必要もないですしね」


 相変わらずファンタジー要素の薄い世界だな……エレベーターのボタンを押され、乗り込む。


 「それで、どういうことだ?」


 「彼は私と“奴隷契約”をしました」


 え? 奴隷? って、あの木の車輪をぐるぐる回すやつ?


 「その反応からして、そちらの世界にも“奴隷”は存在したようですね」


 「……」


 なんか勝手に誤解されてる気がする。


 「こちらの世界では“奴隷契約”をすると、常識の一部が書き換えられ、主従関係の中で“疑いなく命令を実行する”ようになるんです。もちろん、テイマーに使役されているあなたにも、その影響は及んでいますよ」


 ……確かに、マスターの言うことには疑問を抱いたことがないな。

 エロ漫画の“常識改変タグ”みたいな感じか?


 「これからあなた達は、冒険者の仕事と並行して、私の依頼もこなしてもらいます。

 その実力を見極めるために――」


 エレベーターのアナウンスとともに扉が開く。


 「ここで私と戦っていただきます」


 観衆のいない円形闘技場。広すぎるほどの空間に、響くのは足音と鼓動だけ。ここは“見られるため”ではなく、“試されるため”の場所だった。


 「マンタティクスさんは、あそこで待機を」


 「はい」


 「ネバーさんは、こちらへ」


 「……」


 いやいやいやいや!? 結局バトルじゃん!? てか魔王戦!?

 誰かこの足を止めてくれ!


 「質問いいか?」


 「はい?」


 「今の君、普通の服だろう? 殺し合いでないとはいえ、その状態に攻撃するのは抵抗がある」


 「あぁ、なるほど……私に攻撃が当たるとは思ってませんが、本気を出していただかないと困りますしね」


 「では、お言葉に甘えて」


 「…………」



 挿絵(By みてみん)


 

 

 一瞬で黒いシスター服に早変わり。お尻も胸も強調されすぎ! ファンタジー特有の即装備かよ!


 「あぁ、これで心置きなくやれる」


 「……」


 えええ!? 何構えちゃってんの僕!


 「あら? 本気を出せと言うわりに、あの武器は使わないのですか?」


 ……あぁ、そういえば見てたんだよな、あのときの戦いも。

 でもなぁ、あれは――


 (グロかった……)


 「あれはもう俺のマスターの物だ。手放したのだから、今さら取り返すのもカッコ悪い」


 「ふふ、それもそうですね……でも」


 「!?」


 危険を察して、腕をクロスして防御――直後、衝撃が走った。


 「普通の人なら吹っ飛ぶ威力でしたけど……耐えましたね」


 「不意打ちとは卑怯だな」


 「あなたがグズグズしてたからですよ」


 ブネェ!? いきなりパンチかよ!

 でも……思ったより痛くない。サッカーボールが当たったくらい?


 「いいだろう、少し付き合ってやる」


 「その言葉は私と同レベル以上なら言ってくださいね」


 ――尻尾で足元を狙ってきたが、見えてる。


 飛んで回避。いける……!


 「魔王に褒められるとは光栄だ」


 「では次は、少し本気を出します」


 ――一気に速くなった! だが……


 (考えられてる……!)


 身体が勝手に動く。転ぶとき反射的に手が出る、あの感じに近い。

 ヤバい、安心感がある。


 「ふん!」


 「……」


 ……おっ、パンツ見えた。黒か……刺激が強すぎるって!


 「……」


 「……どうした? もう終わりか?」


 「……本当にさっきから……」


 「?」


 「ふざけてるんですか!!?」


 「うおっ!?」


 今のはヤバかった!


 「戦闘中に何を考えてるんですか!」


 「ん? え?」


 パンツ見てたのバレてた!?


 「私の目は戦闘中、微細な動きも見逃しません。あなたが何度も私の胸や太ももに視線を向けていたことくらい……見えてますよ」


 「ぐ……」


 終わった……。


 「しかし何ですかそれは!」


 ……はい、股間です。盛り上がってます。絶望です。


 「失礼した。あまりにも美しすぎたのでな」


 「うえっ!?」


 お? まさかの照れ顔?


 「な、なに言ってるんですか!」


 うん、これがイケメン補正か。異世界すげぇ。


 「だが、勘違いしないでほしい。恋心を抱いてるわけではない」


 ……キッパリ言っとくのは大事だって、ラノベで学んだ!


 「……」


 「うおっ!?」


 今の一撃は強烈だった! でもギリ耐えた!


 「つまりあなたは、恋心もなく私をジロジロ見ていた、と……? 最初に戻りましたね」


 (し、しまったぁぁぁあ!)


 こうなったら!


 「フン!」


 その場で地面を踏みつけると、轟音と共に砂煙が立ち込めた。


 「今度はこちらから行くぞ」


 「やっとやる気になりましたか。来なさい」


 ――よし、流れ変わったな。


 でもどうしよ。

 本気で殴るのはなぁ……魔王だけど、そこまで極悪って感じでもないし。


 ……あ、そうだ! よくある寸止めで決着するやつ!


 「その場から動くなよ」


 「なにを――」


 一瞬で背後へ。


 「!」


 ギリギリ当たらない位置から、拳を突き出す!


 拳が止まった瞬間、風圧が爆発。

 ウジーザスの白髪が激しく揺れ、シスター装備は破け、

 後方の地面は抉れ、壁に風穴が開いた――


 「……」


 「……」


 女神様……さすがにこの身体……やりすぎじゃない?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ