表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/103

謎の人物!……黒幕の存在!?

 「落ち着きましたか?」


 「……はい」


 「何を勘違いしているのか知りませんが、私は他の魔王とは違います。意味もなく誰かを殺すようなことはしません。――私が知りたいのは、ただ“真実”だけです」


 「……」


 「私の異能の目は、日々さまざまなものを映しています。見ると決めれば、一人ではなく、複数同時に、です」


 ウジーザスはそう言いながら、静かに紅茶を口に運んだ。

 自分で淹れたものらしい。優雅な手つきだった。


 「ですが、私も神ではありません。見えない人もいます。ですが――長年見ていれば、異常な動きをする者は自然と浮き彫りになるものです」


 「っ……」


 「ですから“ある日、突然そういう動きを始めた”あなたのことを、私は観察していました」


 「……」


 「ここまで言えば分かりますね?」


 魔王の声に揺らぎはない。


 「ざっくり言えば、あなたのことは――すでに調べ済みです」


 「……」


 「正直に言って、あなたの成績は凡人未満。魔力適性も、戦闘技能も、生活魔法に至るまで基礎レベルにすら到達していません。単純な記憶力や思考速度も平均を下回り、実技試験では毎回下位3割以内に低迷。いわゆる――落ちこぼれ中の落ちこぼれです」


 「!?」


「ついでに言えば、協調性はなく、報連相もできず、努力の跡も見えません。環境のせいにして、自分の無能から目を背けてきた、典型的な“夢見がちな失敗者”ですね」


 ズバリと断言された。


 「ぐはっ!」


 「ですが、そんなあなたが……ギルドから支給された“契約の鎖”を使用せずに、そもそも触れることすら禁じられている召喚魔法――それも、複雑極まりない異界召喚魔術を、ほぼ独力で発動させた」


「しかも、召喚対象は“人間”――既にこの世界からは存在が消えた、討伐対象中の討伐対象。召喚経路も、魔素圧も、術式の枠組みすら通常の理論とは異なる特殊構造でした」


「それを、魔法理論の基礎すら理解していないあなたが、知識も経験もなしに成し得たというのですか? ――そんな話、信じろという方が無理です」


「常識的に考えても、背後に何らかの介入者、もしくは導いた存在がいたとしか考えられない」


 魔王は紅茶のカップをソーサーに戻し、

 そのままの口調で、静かに言った。


 「……教えてもらえますよね?」


 口調はあくまで穏やか。

 けれど、その目だけは――氷のように冷たかった。


 


 ――もはや、マンタティクスに拒否権など存在しない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ