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兎は残る 2

何が、起こった?



何も、わからない。



身体が、熱い。



腕が、足が、動かない。



あの瞬間、何が起こった?



車が、突っ込んできた?



信号は、青だった。



そんなことは、ありえない。



ありえるはずがない。



事故なんていう不吉な文字が頭に過ぎる。



小説とか、漫画とかの話で。



自分には、無縁なもののはずだ。



そうである、はずだった。



母さんは?



父さんは?



舞は?



「みん な?」



信じられないほどかすれた声が俺の喉から出る。



かろうじて、目を開けると。





目の前にあったのは、炎と鉄に押しつぶされた、家族だったものだけだった。

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