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北斗七星は困惑する 1
「なぁ、今日帰ったら何するよ」
「忘れたのかよ」
「何が?」
「今日先生の誕生日だろ」
「やっべその準備しなきゃなのか」
「---がみんなで歌おうって言ってただろ」
「なんて?車の音大きすぎて鼓膜消えたからもう一回言ってくれ」
「だから----」
前を見れば、施設の先生がいた。どうやら外で僕たちの帰りを待ってくれていたらしい。
僕たちの仲間の一人が駆け寄る。それにつられるようにして、僕も駆け寄る。
「おかえり」
そう言いながら先生がこっちに歩いてきてくれる。
仲間を通り過ぎて。
制服の中からきれいな包丁を取り出しながら
刹那。
僕のおなかは焼けるように熱くなり、
包丁の冷たさを感じ、
その腹と口からは赤い何かがあふれ出し、
そこで、僕は力を保てなくなった。