5話
「そう、そんな事があったの。」
「はい。その少女が私達が求める人かと思いますが……どうしましょうか?」
「…………まだ手を出さないで。学園には今年あの子も入ったと聞いたわ。それなら慎重に動かなければね。」
「解りました。」
白い服を着た男は部屋から出ていく。
窓際に座る女性はその白い髪をかきあげると綺麗な紫色の目が覗く。
「あぁ、私は英雄などでは無い。罪に汚れた醜い人間。その罪を贖おうと努力したけれども……。ついぞ叶わなかった。」
女性は立ち上がるとドアの前に立つ。
「私に変化をもたらすならば会う必要がある。」
ドアを開け、少し歩くと白い服の女性がお辞儀をする。
「こんにちは。教皇様。」
昨日は入学式だった。
学園長はその場に現れることなく式は終わりを迎え、学生の何名かは少し落胆したようだった。
クラスも振り分けられ、そこに見た事のある顔があった。
「あ、リアさん。同じクラスですね。1年間よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げるのは昨日いざこざを起こされたアミだった。
「おはよう。……それにしてもなんかザワついてないか?」
「ええ、どうやら今日は学園に教皇様が来ていらっしゃる様で。」
「7人の英雄の1人の……。」
「学園長。教皇様をお連れしました。」
ドアをノックするが返事はない。
「ええ、案内ありがとうございます。」
部屋の中へはいるとそこは室内の様ではなく、緑が生い茂る森のようだった。
その中心部に大きなベッドが置かれている。
「起きて学園長センス。」
ベッドに近づくと寝息がする。
そのベッドには妖精かと思うような人物が寝ている。
「起きなさい。」
頬を摘むとセンスは薄目を開ける。
「…………なんか用?ボクはまだ眠いんだけど。」
「いい加減起きなさい。もう昼だと言うのに怠けて。」
「……しょうがないでしょ。で?何の用?」
センスはその緑の長い髪を弄りながら起き上がる。
「新入生に私が望む……いえ、私達が望む子がいたと思うのだけどーー。」
「渡さないよ?」
センスにしては珍しくハッキリとものを言った。
「この学園の生徒であればボクの庇護下にいる。それはボクを侮辱するに等しい。」
「……そう言うと思った。渡して欲しいなど最初から思っていないわ。」
「なら何?」
「面会の場を設けたいの。……2人と。」
「…………それならボクの許容範囲だ。好きにするといいよ。」
再びベッドへと倒れ込むと寝てしまった。




