44話
あぁ、思い出した。
どうして忘れていたのだろうか?
いや、理由は明確だ。
………だが今現在、魔族を憎む気持ちも、コルを憎む気持ちも消えた。
なぜあれ程までに憎んでいたのだろうか?
「英雄達か。」
あの7人は己の罪と向き合った。
だからこそ僕の中から憎む気持ちも消えたのだろう。
「今度こそ神に感謝しないといけないな。」
リアは歩き始めた。
その1歩は魔王城へと、コルへと向いているが未来へと進む偉大な1歩であった。
「なんなんだ、その剣は……。」
イノはルビアの剣を見て言葉をなくしていた。
それほどまでにその剣は強大だと理解出来る。
「遊ぶなフィーデ。」
「………本当に嫌ですけど?」
「ここに魔王がいる事を考えろ。リア様の記憶がもしかしたら……。」
「感がいいのね。どこまで戻っているかわからないけどあなたたちの成長と共に記憶が蘇るでしょうね。」
フィーデはため息を吐く。
「遊ぶなだと?もう2割ほどしか力が無いくせに何を言っている?」
「2割あれば十分でしょう。」
フィーデの剣が光り輝く。
「私の手から零れた命を憂いましょう。その罪故に。」
「ふん、余よりも余程傲慢だと思うがな。」
「いえ、私はあの時、私らしくない事をしました。それが罪でしょう。」
「お前の価値観など知らぬ。」
イノは突然大声を出す。
「セード!伏せろ!!」
その突然の指示に反応が遅れるセード。
フィーデは軽く剣の切っ先を横に振る。
すると斬撃がイノの真上を通過した。
「………。」
セードのいた場所を見るとそこにはセードだったものが転がっていた。
確かに2割ほどしか無いとセードは言っていた。
ならばこれが2割。
しかも軽く振っただけであった。
「ふむ?戦意喪失か。仕方があるまい。」
「ええ、そうですね。」
イノは膝立ちになりボーッと床を見つめていた。
この英雄達は人間ではない。
そう思え、そして満足してしまった。
イノの目には次の瞬間の映像が流れていた。
それは地面に転がり、体を見上げるあたまであった。




