3話
以前来た白髪の警備隊の女性が尋ねてきた。
「リアさん、お父さんは居ますか?」
どうやらお父さんに用があるみたいだ。
「うん、いますよ?呼びますか?」
「……うん。お願いしていいかな?」
リアはノティスを呼びに家の奥へと走っていく。
「…………。」
しばらくするとノティスが現れ、少し険しそうな顔をしていた。
「……ここで話すのも少し私にとっても、貴方にとっても都合が悪いでしょう。着いてきてください。」
「分かりました。」
ノティスは靴を履くと少し悲しそうにリアの頭を撫でる。
「ではいってくる。」
ノティスが帰ってきた時、その顔は僕が見たことない感情の様だった。
「おかえりなさい。」
エーテルが玄関から迎えに行くとエーテルもノティスの顔を見て少し驚いた様だった。
「あぁ……ただいま。」
ノティスは泣きそうになりながらもエーテルに近づく。
「あぁ、少しだけこう居させてくれ。」
エーテルの手を握るとその手を抱えて蹲った。
「ええ……。幾らでもいいですよ。私は貴方の妻なんですから。」
リアはその光景を見て全身がざわついた。
「おはよう。」
いつもよりもキチンとした格好でノティスは現れた。
「ええ、おはようございます。」
エーテルも普段しない髪飾りをしてその桃色の髪を結っている。
「2人とも今日はどうしたの?」
いつもと違う2人を見て疑問に思ったが2人は微笑むだけで答えようとしない。
「リアも今日は少し付き合ってくれ。」
「うん、わかった。」
ご飯を食べ、外に出る支度をし、行き先を言わないノティスにくっついて歩く。
「…………。」
2人は終始無言で街の中心へと向かっていた。
「今日予約をしていたセリ=ノティスとその妻と子です。」
門兵にそう言うと門を開いてくれる。
ここへ来たのは2回目か、覚えている限りではそのはずだ。
「よくぞ来たなノティスとその妻エーテル。そしてリア。」
玉座に座る人はこの国の皇帝、グロッサム=ルビア皇帝。
7人の英雄の1人。
「……。今日はお手を煩わせてしまい申し訳なく思っております。」
「良い。これは余の業務だと判断した。それだけだ。」
皇帝の目色は灰色で何処か優しげさを感じるまでに不思議な感覚だった。
「では早速始めるとする。宰相。」
「了解しました。」
そう言うと手に持っていた本を皇帝に渡す。
そしてリアは決定的な言葉を耳にした。
「この国の法に背いたとしてセリ=ノティス、セリ=エーテルの両名を死刑とする。」
2人に死への恐怖は無く、ただただ悔しそうであった。
しかし同時に誇らしげでもあったのだ。
皇帝は自ら剣を手に取ると周りの兵が僕の腕を引っ張り、皇室から出させようとする。
僕は精一杯反抗するが力では叶うはずが無く、扉へと近づく。
扉が閉まる瞬間エーテルとノティスは、お母さんとお父さんは僕に何か言おうとしたが僕には聞こえなかった。
「……………。」
再び皇室へと連れていかれるとそこには血痕こそあるものの2人の体は無かった。
「…………すまぬな。」
それだけ言うと皇帝は部屋の奥へと足を運ぶ。
「1つだけ聞いても良いでしょうか?」
僕の口から意識とは関係なく言葉が飛び出していた。
「2人は貴方にとってどの様な存在でしたか?」
「2人は余にとって誇らしい存在であったよ。最大の敬意を示そう。」
手に持っていた剣を床に刺すと柄に手を置く。
「2人はこの国の英雄であると。余が証明する。」
そのまま部屋へと行く。
「……そうですか。ありがとうございます。」
この声は聞こえていないだろうが僕は皇帝に感謝した。
それからの記憶は曖昧だ。
気がついたら孤児院にいたし、気がついたら孤児院も卒業となっていた。
ただこの間考えていた事は「何故お父さんとお母さんは処刑されたのか。」だった。
あの処刑が公にされることも無ければ首が晒されることも無かった。
まるで闇に葬られたかのように情報が一切無かった。
しかし、あの皇帝だ。
何か重大な理由があるのだろうが……僕はそれを知りたい。
そのために学園へと入学する事に決めていた。
学園に入学すれば7人の英雄のうち1人がいる。
僕は歩き慣れた道を新たな気持ちで歩く。
それはリアにとって一種のーー。




