41話
ホルテが声がした方に振り向くとトーナメントで出会った少女が立っていた。
少女はムスッとしているようだ。
しかしその目はホルテ達では無く、エストに向けられていた。
「私のお家は半壊してるけど……それでも黙って居候は許さないわよ?」
どうやらここで戦うことについて怒っている訳ではなく、勝手に住み着いていることに怒っているらしい。
「お家だと?……あれか?」
「なに?廃墟だから家じゃないってこと?」
「いや、そうじゃない。あれが家と言うことは……アンタが魔王と言うことを意味するぞ?」
「何も間違ってないわよ。……忘れているのね。アイツのせいで。」
目の前に立っている少女は魔王であると話す。
その目は嘘をついているようには見えない。
その証拠に英雄と少ししか知らない記憶の曖昧さについて知っていた。
「仲間がまだ家にいるのかしら?」
「あ、ああ。最上階に登っているはずだ。」
警戒しながらもホルテは答える。
「そう。じゃあ私は止めなきゃ。」
「最上階に何かあるのですか?」
アリアがホルテに並びながら質問する。
「ええ、私の大事な人達が生き延びているわ。」
「………魔族ですか。」
「そうね。」
まだ魔族が存在する事に少し驚く。
革命軍が人間である事は英雄達に共有されてきた。
だからこそ魔族は絶滅したと考えていた。
「そこで《運動》してるだけなら気にもしないわ。好きになさい。」
コルから見れば英雄達の戦いなど《運動》に過ぎない。
それほどに隔絶した力があるのだろう。
ホルテ達は城へと入っていくコルを見守っていた。
「お前……バケモンか……?」
「女性に失礼だな。」
軍隊長ミセリーは手を開いたり閉じたりしながら目の前に横たわる男性を見ていた。
「………特別な力は……感じない。なぜ、なぜ……そんなに強い。」
「そうね?あなたが優秀だからでしょうね?」
ミセリーは日々魔物と戦い、勝ってきた。
これはミセリーだからこそルビアも任せたのだ。
ミセリーは相手が強ければ強いほど力が増す。
スキルに差があればあるほど身体能力が上昇していた。
ミセリーは罪のスキル。
それは全てのスキルの中でも最下位のスキルであった。
「………そうか。」
「………。」
事切れた男性をミセリーは数秒見つめていたがやがて上へと登り始めた。
すると後ろから声が聞こえる。
「あなたは待っていてくれないかしら?」
「………なんでかしら?」
「私の部屋に用があるの。それを見られたくない。」
「あなた、名前は?」
「コルよ?ここの主。」
「そう。なら私はここで待っているわ。」
「聞き分けがいいのね。」
「私ではあなたに瞬殺される。」
「賢明ね。」
何も言わずにコルは上がっていく。
ミセリーは階段に腰掛けると感慨にふけっていた。




