閑話:デイニー、ホルテ
ある日ルビアの部屋にデイニーとホルテは呼ばれていた。
「何ですか今日は?」
「いや、2人は余と出会う前どうしていたのかと気になってな。」
「……………。」
「ホルテと出会ったのは森の中。デイニーと出会ったのは貧民街であろう?その状況下ならば何か面白いことを聞けるかもしれぬと思ってな。」
ホルテは頭を掻くとポツポツと話し始める。
「ここで何をしておる?」
「…………。」
ルビアの目の前には身体中に泥を塗り、魔物を食べている青年がいた。
どうやら話す事が出来ないらしく、ただ唸っている。
「ふむ、森に住んでおるのか……。健康な生活とは……行かんようだな。」
ルビアはぐるりと見渡すとそこらじゅうに骨が転がっている。
その骨は大小様々だがこの青年がその魔物を素手で倒しているということが解る。
それは凄まじい能力であった。
「ほら、これでも食べておれ。そんなものよりは良いと思うぞ。」
ルビアは地面に干し肉を置いて下がる。
そうすると恐る恐る干し肉を手に持つ、匂いを嗅ぎ、少しだけ食べてみると段々と食べていった。
それをにこやかにルビアは見ていた。
「お前はどこからきたのだ?言葉はわかるか?」
「……………は、はなれた。」
「ふむ?遭難か。」
今度はルビアが近づいても唸らなくなった。
「共に来い。」
「それがルビアとの出会いだったよな。」
「そうだな。そんなだった。」
「ワタクシと少し違うのね?ホルテもなかなか悲惨だけど。」
ルビアは黙って頷くと次はデイニーが喋りだした。
「また漁ってんのか!?このガキが。」
ゴミ箱を漁る少女の腹を蹴り飛ばすと満足したのか店に帰っていく。
「……………。」
この貧民街で生き残るには持てる全てを持って生き延びなければならない。
いうなれば誰よりも生に執着していた。
少し成長した少女は女性となっていた。
ここまで様々な事をしてきた。
しかし少女は1つだけ心に決めてある。
犯罪だけはしない……と。
「お頭!コイツがこんなモンを!」
「……………ワタクシの庇護下から外れなさい。」
それは貧民街からの追放である。
貧民街から追放されたらもう行く場所がない。
「そ、それだけは!」
デイニーは左手と右手の指輪を外すと机に置く。
「お頭!危ねぇ!?」
それまで捕まっていた男性は気が狂った様にデイニーへとナイフを突き立てた。
デイニーの腹から血が溢れ、膝から崩れ落ちる。
「これまでの恩だ。これをつけておくと良い。」
何か声が聞こえる。
うっすらと目を開けると男性が立っていた。
男性も気がついたようでデイニーへと近づく。
「恩を返しに来た。貧民街からの反感を買わなかったのはお主のおかげだ。」
男性はデイニーに5個の装飾品を付ける。
「お主は余と同じだけの力をもっている。その能力を買おう。これからは装飾品に困ることはない。それはお主の力だ。」
「よく知っているのね……。どこでそれを?」
「どこであろうと良い。事実だけを見つめろ。」
「それがルビアだったのよね。」
「ルビアそんな事をしていたのか?」
「………していたな。」
ルビアは恥ずかしそうに俯く。
「でもどこでワタクシのスキルを知ったのか未だに謎なのよ。」
「それは簡単だ。毎日監視していたからな。その時に装飾品が多くなるほど余の本能が危ないと叫んでおったのでな。」
「………原始的ね。」
「全くだ。」




