37話
デイニーとエストが向かい合う中上から破壊音がする。
「………はぁ?」
デイニーの頭に血管が浮き出ていた。
「おう、デイニー。どうしたそんなに怒って?」
「…………。」
敵を壁に叩きつけたのかホルテは無傷で城から降りてくる。
「あのイフとか言う弓師。俺と相性が悪いんだ。お前が戦ってくれねぇか?」
「………。」
イフと呼ばれた女性は森から出てくるとエストの隣に立つ。
「エスト、あのホルテとか言う英雄強いわよ。」
「こっちもだ。ここは共闘といこうや。」
デイニーに屈託のない笑顔を浮かべるホルテにデイニーが拳を顔に叩きつけた。
丁寧に飛ばす方向が敵の方だ。
「う、ぉぉぉ!?」
「なんだ!?」
イフはひらりと躱すが、エストは真正面から当たった。
「何すんだデイニー!?」
ホルテは何も無かったかのように起き上がりデイニーに抗議するが、冷え凍った目で睨んでいた。
「ルビアさんが大事にしてる城を壊して……。」
「………。」
ヤバいと本能で感ずいたのかホルテは真剣な顔になった。
デイニーは有無も言わさずにホルテへ一瞬で近づくとそれまで全力で振るう事が無かった剣を全力で振った。
「う、ぉぉ!死ぬ!死ぬ!」
辛うじてホルテは避けるが近くにいたエストが何故かダメージを受けていた。
剣を振った後の地面が抉れ、巨大な亀裂が生まれた。
「お前!俺を本気で殺しに来てるだろ!?」
「当たり前でしょう。敵などどうでもいいです。アンタを再起不能まですればワタクシは満足ですよ。」
ホルテの冷や汗が止まらない。
英雄同士の戦いはかつて1回だけしかなかった。
その時は近くの地形が変わっていた。
「もしかして無くても俺たちヤバいかもなイフ?」
「やっとですか?バカですかエスト。」
「お前はいいよな!隠れるの上手いだろ!?」
「ここまで来たら変わらないわよ!」
確かに隠れるとか関係無さそうではあった。
デイニーの剣が1回振るわれると地面が抉れ、森が消し飛ぶ可能性すらある。
ホルテも同様にまだ反撃していないが反撃し出したらここら一帯が無くなる。
「怒んなってデイニー!俺はただ!」
「黙りなさいな。」
デイニーの剣が再びホルテへと襲いかかる。
今度は準備していたのか軽々と避けるが、デイニーもそれを追撃する。
「くそっ!」
もう無理だと判断したのかホルテも剣を抜き、迎え撃った。
そうすると衝撃だけでイフとエストが吹き飛んだ。
「イフ!どうすんだこれ!?」
「私に聞かないで!分からないわよ!?」
英雄の戦いに巻き込まれた2人は流れ弾を貰わない為に死ぬ気で生き延びる方法を考えていた。




