34話
「無理難題を吹っかけやがるな。」
「そうでしょうか?簡単だとも思いますけど?」
アリアとヴィノは互いに武器を構えずに見合っていた。
「結構ヒントは戦闘中ありましたよ。ならどんなスキルか当てられます。」
ヴィノには1つの確信があった。
しかしこの確信はスキルと呼ぶにはあまりにも壊れている。
「ちょいと質問だ。お前はこの戦闘中にどれだけのスキルを使っていた?」
「…………1つですね。」
律儀に答えるアリアと顔を引つるヴィノは正反対であった。
これでヴィノの考えていた事が確信へと変わった。
しかしこのスキル相手では絶対に勝てない。
「お前のスキルは……『スキルを吸収するスキル』ってか?」
「ピンポーン!正解ね。よく分かったじゃない。」
ヴィノの青ざめる。
「しかしスキルは……!」
「ええ、性格に由来するスキルがある……でしょう?」
「…………。」
リアの両親の様に《高潔》や《愛》といった精神に左右するスキルが存在する。
それを取り込み続けた場合……普通ならば複数の人格が出来ても何らおかしくない。
しかしアリアはアリアとしてここに立っていた。
それがヴィノにとって恐ろしかった。
「お前のその精神。真似出来ねぇな。」
「この程度耐えられなくては英雄などと言われませんよ?」
そう言えばアリアは少し前に『私は英雄の中では弱い』と言っていた。
アリアのスキルはこれ以上なく強力だと思うが……これ以上とは……?
「さて、休憩も済んだでしょう?戦いましょうか。」
アリアは剣を構え直す。
ヴィノの大斧を構え直すがアリアを倒すビジョンが浮かばない。
急にアリアの姿が掻き消え、次の瞬間には横で剣を振るところだった。
辛うじて大斧で受けたがその威力はシャレにならない。
何とか大斧を振るがそこにはもうアリアはいなかった。
次々と放ってくる剣戟に呆然一方のヴィノは考える。
どうにかしてアリアの動きを止められないか?
ヴィノはアリアが来るであろう場所へ地面を蹴りあげ、目潰しを実行してみるが当たらなかった。
「ハズレ。」
右横から聞こえたと思ったその瞬間には蹴りあげられ、体が宙に浮いていた。
息ができない衝撃と下で待ち構えるアリアを見る。
何とか大斧を手放していなかったヴィノは両手で握り込むとアリアへ重力を利用して叩きつける。
これにはアリアも驚き、咄嗟に剣で防御するがその叩きつけ攻撃は絶大な威力が込められていた。
受けた瞬間にアリアの足が地面にめり込み、剣が悲鳴をあげる。
何とか流そうとするがその衝撃で手が痺れ、自由が効かない。
「ぉ、ぉぉおお!」
懇親の力を込めてヴィノは振り切る。
「…………。」
巻あがった土煙で周りが何も見えない。
アリアがどうなったのか確認しなければならないが、どうやら肋骨が数本折れているようで痛みに疼く。
「はぁはぁ……。」
土煙が晴れ、周りを見渡すと壁に項垂れてるアリアの姿があった。
その体から血が出ており、一目で重症だと理解出来る。
ヴィノはアリアへ近づいていく。
まだ息があるのか肩が上下していた。
警戒しながら近づいていくとアリアの白い髪の間から鋭い眼光が飛んできた。
足を止めるとアリアは言葉を紡ぐ。
「………私が、ここまで……やられるとは、思ってなかった……でしょうね。……ごめん、なさい……ルビア……様。」
それだけ言うとアリアの周りの空気がザワつく。
「なんだ!?」
明らかにヤバそうな気配を感じとり、急いで距離を取るヴィノだがその瞬間には吹き飛ばされていた。
起き上がり、アリアを見るとそこには人間の形をした何か別の生物がいるようだった。
「なんだ……ありゃぁ。」
呆然とするヴィノにアリアは無慈悲に言葉を送る。
「ちょっと遊びすぎました。真面目にやります。ルビア様から怒られたくは無いですから。」




