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二人の願望と苦悩  作者: 夜
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33話

アリアの白い髪が儚く揺れ、豪快な一撃が繰り出される。

なんとかヴィノの避け、大斧で迎え撃つがアリアの力に圧倒されていた。


「………!!」


アリアの剣戟は速く、強い。

もう既に目で追える地点は過ぎ去っていた。

かと言ってアリアが有利かと言うとそうでも無い。

ヴィノの大斧は大きいが故に当たったら死んでしまう。

だからこそアリアも慎重に立ち回っていた。

ヴィノが豪快にアリアを弾き飛ばすが、追撃はしない。

呼吸を整え、ヴィノは喋り出す。

アリアもその時間を使って考えていた。


「警備隊長様よ。なんでアンタはこうも戦える?ここまで強くなれた?」

「愚直な質問ですね。私は尊敬する方の足でまといになりたくなっただけです。」

「いや?それだけじゃないだろ。アンタの剣はそういった感情で振るモンじゃない。」

「……?」

「お前ら英雄の中で1番英雄っぽいヤツだろうなお前は。」


アリアは押し黙るとヴィノを睨む。


「それがどうしたのですか。私は英雄です。英雄で無ければならない。」

「…………あぁ、その違和感だ。解決した。」


ヴィノが何を解決したのかアリアはさっぱり分からない。


「分からない……か。なら教えてやる。皇帝も、教皇も自身を英雄であると思っていない。まぁそこでの心の強さがアンタにあるとは思えないから正解だろうけどな。」

「…………勝手な事を。」

「勝手な事?事実だろ。俺も、お前も、皇帝も変わらない。人間だ。」


ヴィノは話は終わりとばかりに大斧を構える。


「さて、生きも整ったやろうか。」

「…………そうですね。」



激しい剣戟をいなしながらも隙を伺うヴィノと一心不乱に攻撃を行うアリア。

アリアにとってもヴィノのとってもこれは負けられない戦いである。


「《重撃》!」

「!?!?」


ヴィノが初めてスキルを使用し、大斧を力任せに叩きつける。

それまでは何とかいなしていたアリアは同じようにするが、今度は様子が違った。

攻撃の種類が全然違ったのだ。

受け止めた瞬間、体が悲鳴をあげる。


「終わりだ!」


そのまま力任せに叩きつける。

アリアの剣から嫌な音がし、地面に大斧が叩きつけられた。


「はぁはぁはぁ……。」


土煙の中周りが見えないヴィノは咄嗟に大斧を構え直す。

その行為が甲を制した。

土煙の中から1本の剣が飛んでくる。

なんとかその剣に反応し、はじき返すが周囲にアリアの姿が見当たらない。


「どこにいった?」


全神経を張り巡らせ、警戒する。

だからこそ反応が出来た。

虚空から剣が出現し、ヴィノの命を狩り取ろうとする攻撃が。


「ここまで強いと思いませんでした。ほとんど直感。天才と言えます。しかし。」


目の前に急にアリアが現れる。

その手には先程とは違った剣が握られていた。


「私はその上です。」


ヴィノは違和感を感じていた。

大斧を叩きつけた瞬間にも、アリアの手のひらを少し切った時も、違和感を。


「なんでしょうかその顔は。」

「お前、ほんとに人間か?」

「その聞き方、傷つきますね?ええ、人間です。」

「ならお前なんで『そんなにスキルを持っている?』」


アリアはらしくない笑い方をすると急に静かになった。


「あぁ……これで3人目です。私が全力で戦える相手は。」

「そりゃ光栄だ。ちなみにあとの2人を聞いてもいいかい?」

「皇帝様と英雄のリーダーですよ?」


ヴィノは豪快に笑う。


「ああ!俺は少し満足だ!残りの満足は英雄を殺した時に満ちるだろうな。」

「だといいですね。」


アリアが目の前から消えると同時にヴィノは大斧を目の前に持ってきてガードする。


「!!!」


アリアが放った剣戟は先程ヴィノが放った攻撃と同じだった。

とてつもない衝撃がヴィノを襲うが、構っている暇はない。アリアの攻撃が当たった瞬間ヴィノはひき肉となる。


アリアはスキル《瞬足》《身体強化》《剣術》《体術》《重撃》を使用しながらヴィノを追い詰めていく。


「う、ぉぉぉおおお!」


ヴィノが思いっきりアリアを弾き飛ばす。


「………英雄は企画違いだな。神様に愛されてあるとしか思えんよ。」

「いえ、それは違いますよ。私達は神に愛されてなどいない。これは私達の罪ですから。」

「……意味わからんねぇ事いいやがって。だがそのスキル。強すぎだろうよ。」

「…………これでも弱いのですよ。英雄の中では。」

「…………ふん。それが事実なら俺たちは終わったな。」

「ではヴィノさん。その休憩時間を私は理解していますが、乗ってあげましょう。」


ヴィノは舌打ちをすると大斧の構えを解く。


「質問しますのでこれに正解したら私は本当の全力で戦いましょう。間違ったら適当に倒します。」


その選択はヴィノにとって大きな意味を持っていた。

ヴィノは革命軍に所属しながらも皇帝などはどうでも良かった。

ただ所属すれば英雄と戦えると、そう思っていた。


「では問題。私のスキルはどの様なスキルでしょうね?」


アリアはにこやかに難題をヴィノにぶつけた。

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