32話
魔王城内部は酷く静かで、まるで時が止まってるみたいだった。
英雄6人からすれば思い出の地ではあるが、それ以上に未練がある土地でもある。
「どうせ上にいるのだろう。上がるぞ。」
ホルテが吐き捨てるように言い、階段を上がろうとすると人影が見える。
「英雄サマはここで止まっててくれよ。我らが主に迷惑をかけたく無い。」
その声は明らかに敵意を持っていた。
階段上から1人の男性が降りてくる。
「さぁ、俺とは誰が戦うんだ?皇帝サマ?教皇サマ?」
「ルビア様や、フィーデ様が戦うまでも無いです。私がやりましょう。」
前に出たのは警備隊長アリアだった。
「ちっ……英雄の落ちこぼれかよ。」
「さぁ?落ちこぼれかどうかその身をもって確かめたらどうかしら?」
ルビア達は男性の横を通り過ぎ階段を上がる。
「お前を殺すのは俺の名前はヴィノ。覚えておけ。」
ヴィノのその大きな斧を担ぐ。
「あら、私はアリア。どうか瞬殺されないように足掻いてくださいな。」
「は、ほざけ。」
ヴィノはその大きな斧を力任せに叩きつけるが容易に躱される。
「そんな大ぶり、当たるわけないでしょう。」
「そうか?ならその手の切り傷は何だろうな?」
「………。」
アリアの手には少しではあるが確かに切り傷がはいっていた。
「舐め腐るのも大概にしろ。」
「あらら。それはごめんなさい?でもね。」
アリアは手をかざすとその切り傷が塞がっていく。
「このぐらいじゃ意味無いのよ。」
「楽しそうだ。」
ヴィノは大斧を思い切りスイングし、その力の流れを利用しアリアへと叩きつける。
それをアリアは剣で受けようとする。
「……!」
その馬鹿力は剣が悲鳴をあげ、今にも折れそうだった。
アリア1人の力では真っ向から抑える事が困難だと判断し、距離をとる。
「逃げてばっかりだな。」
「一応こちらも女性なのよ?根本的に叶うわけ無いじゃないの?」
「…………お前ら英雄はその枠に収まってねぇよ。」
ヴィノは自身の服を見てニヤリとした。
「ほらな。」
服が切り裂かれ、肌には届か無かったが当たっていたら勝負は決していた。
「やっぱこうじゃなきゃ。」




