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二人の願望と苦悩  作者: 夜
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閑話:皇帝ルビア

あれはまだ国が無かった時代。

かの時代は今考えると道徳も知性も無い時代であった。

生きるために殺す。

それが普通の時代。


まだ幼さが残っていたルビアは己の強さに疑問を感じていた。

幼いながらも所属していた集団では誰にも負けなかった。

それは一重にその戦闘スキルが強かったのだ。

しかし遠くには魔族という恐ろしい存在がいるというではないか。

その存在に自身の強さは通じるのか?


ルビアは考えに考えた結果安直な答えを出した。

『人類の中で1番強くなれば己の限界を知れるのでは?』

その為には強さを証明しなければならない。

両親に一方的に別れを告げ、歩く。


それからの日々は戦いの日々であった。

人間とも戦い、魔物とも戦った。

それでもルビアは負けなかった。

いつしかルビアは敵がいないと感じていた。



「ねぇ?貴方僕の作ったモノになんて事してるんだ?」


それはいきなり現れた。

ビックリしたルビアはその存在を注意深く見る。


「何してんだっていってるんだ。……正確には僕が作ったモノでは無いけれども、間接的に僕が作ったモノ。所有物だ。傷つけるんじゃない。」

「…………なんの事だ?何を言っているかオレにはわからない。」

「ああ……それは謝ろう。君は『僕の作った人間という存在をどうして叩きのめす』んだい?」

「…………は?頭がとち狂ってるんじゃないのか?人間を作った?妄想もいい加減にしろ。」

「…………見込みのある人間はこの世に7人しかいない。その1人になるかもしれない貴方には一応敬意を払おうと思ってる。だからさ。」


ルビアはその存在から放たれた威圧感に身震いし、初めて半歩だけ足を引いた。

しかしルビアにとってそれはとてつもなく嬉しかった。


「ああ、あんたは最高だ……!オレと戦えよ!」

「何言ってるんだ?僕は戦うために来たわけじゃ……。」

「ならこうしよう。オレに勝ったらもう人間にケンカを売るのは辞めよう。」


その存在はニヤリと笑う。


「それでいいだろう。僕が勝ったら少し『お願い』を聞いてもらえるかな?」

「いいだろう!」


開始の合図もなしにルビアは飛びかかる。

しかし、それを軽くいなされてしまう、

チラリとルビアは横を見ると木の枝が落ちていたのでそれを拾いながら距離を詰め、振りかぶる。


「おぉっ!」


全身全霊で叩き込んだ攻撃は当たりはしたが、いなされてしまった。


「おお、怖い怖い。」

「避けんじゃねぇ!」

「いや、避けるでしょうよ。」


まだ余裕がありそうな態度にムカつくルビアは再び力任せに叩きつける。

しかし、相手の手にはどこから出したのかわからない剣が握られていた。


「ほい。」


ルビアの木の枝を剣の腹で受け流し、距離をとる。


「ほら、使え。全力で来い。」


その剣をルビアに投げると地面に突き刺さる。


「ふん。」


不満ながらもその剣を引き抜くと多少重いが、不思議な剣であると感じる。

再びどこから出したのかわからない剣をもう一本取り出すと構えた。


「死なないようにしろ。」


相手の剣に白い光が集まっていく。

その光はとてつもなく綺麗であったがそれ故に恐ろしいパワーを秘めていた。


「じゃあ耐えて見せろ。」


剣を真上からただ落とすだけでそのスキルは完成してしまった。

暴力的な光がルビアを襲う。

それに対抗すべくルビアも持てる全ての力を使い、抗う。


「ぉぉおお!!」


光が終わった頃にはルビアは地面にころがっていたが、辛うじて生きていた。


「さて、決着がついた訳だが……。約束通りお願い事を聞いてもらえるかな?」

「…………いいぜ。」

「じゃあ君は君と同じく様な人外の力を持った残り6人を集めて、魔族を滅ぼしてもらおう。そのために国を作り、皇帝となれ。」

「…………なんのためにそんな事を?」

「僕の為だ。そうあることでしか僕を保てない。」

「どういうーー。」

「じゃあまた会う日まで。」


ルビアが当たりを見渡すともう居なくなっていた。

ルビアにとって初めての敗北だった。

しかし、どうにも嬉しかった。

この世には自分かそれ以外しかいないと思っていた。

それが間違いだっただけでも生きる理由が出来た気がする。



皇帝となったルビアはあの時の事を思い出す。

『種族戦争』を共に戦った7人。

そしてあの人を入れて8人で戦った記憶はどういう訳か薄れている。

もう顔も声も思い出せない。

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