30話
昨日運良く革命軍の1人を捕まえたおかげて様々な事が分かってきた。
革命軍の居城や、リーダーの存在。
そして裏で手を引いている者のアタリ。
「ルビア様!本当にいいのですか!?」
「不満があるのか?」
「いえ……ですがもし、革命軍の残党が皇国へと入ってきたら……!」
「そのためにセンスを残しておるのだ。」
「…………。」
イマイチ不安そうな兵士を見てルビアは少し笑う。
「心配するな。センスは強い。」
今回、今までさっぱりだった革命軍の居場所が分かった。
逆になぜ今まで分からなかったかと言うと革命軍は小さな拠点を転々と構えており、それをルビアや警備隊が潰していたが、本拠地は分からなかった。
しかし、今回捕まえた革命軍は運良くその場所を知っていた。
革命軍は魔王がいた場所に拠点を構えていた。
英雄が忌み嫌い、近づこうともしなかった場所である。
そのため分からなかったのだ。
そして裏で手を引いている存在はまた厄介な事に皇国の貴族の一派であった。
ただ、貴族はそれぞれの自由が皇帝の名の元に保証されている。
そして今回……ルビアはその貴族全員に軍隊への兵役を出した。
それはつまり、魔物に殺されてこいという勅命であったのだ。
貴族はその立場上拒否は出来ない。
拒否をしたら英雄に反逆者として殺されるだけである。
「しかしルビア様。私達まで集める必要があったのですか?過剰戦力では?」
「そんな事はなかろう。過剰であるが故に死人を増やさない。それが余の使命だ。」
魔王の元居城へと着々と進んでいるが、今回編成された人間はだれがどう見ても過剰戦力であり、そして国民のテンションが上がるものであった。
編成されたのはセンス以外の英雄6人だけ。
センスは英雄がいない間に国を守って貰っている。
「情報によると俺達はそれぞれが戦う相手がいるって話だ。気合いを入れていこうか。」
ホルテはそう言うと教皇フィーデは肩を落とす。
「貴方はいいでしょうけど……私やミセリーは苦戦するのでは無いですか?」
「そんな事無いだろう?十分お前らはバケモンだろうが。」
フィーデはホルテを殴り飛ばすと軍隊長ミセリーに近寄る。
「私達をバケモン扱いした悪者は退治しましたが……さて、ミセリー様。この中で1番苦戦するのは貴方だと思いますけど、怖くないのですか?」
「怖さなどもう『種族戦争』の時に忘れてしまったし、毎日不利な状況下で魔物と戦っているんだ。自信はあるさ。そういうフィーデとデイニーはアレ以来戦っていないだろう?どうなんだ?」
呼ばれたデイニーはキラキラした指輪やアクセサリーをこれでもかと言うほどつけているのでシャリシャリと音を鳴らしながら近づく。
「ワタクシは正味『種族戦争』の時よりも強いですよ?ほら、裕福になりましたので。」
「そうね?恐怖がモロに体のアクセサリーに出てるわよ?」
「怖いモノは怖いのですよ。そうでしょう、フィーデさん?」
「ええ。……ですが私の恐怖は戦う事ではなく、人を殺す事にあります。あまり殺し慣れていないもので。」
3人は物騒な話をしながら歩く。
それを盗み聞きしていた警備隊長アリアは少し落ち込んでいた。
仕事柄人間を殺すことに特化しているから仕方は無いが……それでも罪悪感は薄れてきてしまっている自分がいる。
それが少し怖かった。
すると横にいたルビアがアリアの頭をポンッと叩く。
「余の責任を分断しているにすぎん。気にするな。」
「………はい。」
「その通りさ。俺も人間が死ぬ事は慣れた。それでも殺すことに快楽を得ていないだろ。ならばそれで大丈夫だ。」
冒険者ギルド長であるホルテは毎日毎日……冒険者の死亡記録を管理しなければならない。そしてその遺族の元へと行き、謝罪と遺品の返還をする。
そんな仕事だからこそ、ホルテの言葉は重かった。




