25話
「………つまり君たちはボクの仲間である商業ギルド長デイニーを疑っていると言い訳か?」
キャプテンとリアは再びセンスに真偽を問いただしていた。
「…………彼女が何を考えているか、分からない。だけどボクは一応彼女のことを信じるよ?ただ疑うのも筋が通っている。」
センスは珍しく考え込むと机の紙に向かって何かを書き始める。
「ボクには分からないし、正常な判断が出来そうにない。だから……皇帝ルビア、教皇フィーデへの謁見する紹介状を書いた。」
リアはその紹介状を受け取るとポケットへとしまう。
「ボクが関われるのはここまでだ。ボクに出来ることはそんなに多くないからね。」
学園長室を出てキャプテンと共に教会へと向かう。
「リア、英雄である1人に疑いの目を向ける事がどれだけ怖いか分からないだろう?少なくとも俺は怖いさ。凡人なもんでな。」
自虐した様にキャプテンが言葉を吐くが、リアはそれをみて違和感を感じた。
「キャプテンは凡人かも知れない。でも僕も凡人でしょう?」
「無いな。お前は俺が保証する。アミと同じぐらいには異質な存在だ。……ただの直感だがな。」
「…………。」
2人は教会へ着き、門番に紹介状を見せると中へと案内してくれる。
大きな扉の前へと案内されると後はご自由にどうぞと言った感じで去ってしまった。
恐る恐るドアをノックするが返事が無いので、ドアを開けて見ると、そこには大きな象へと向かって祈り続ける教会フィーデの姿があった。
「…………?」
リアはその象を見て少しだけ違和感を感じたが、その違和感が何なのかハッキリする事は無かった。
「どうぞお入り下さい。センスの紹介でしょう?」
リアとキャプテンは恐る恐る入るとドアが勝手に閉まる。
「ええ、お久しぶりですね。フィーデ様。」
「はい。いつぶりでしょうかね?」
どうやらキャプテンと教会フィーデは会ったことがあるらしい。
「リア様もお久しぶりです。それで今日はどの様なご要件で?」
「実は……。」
リアは麻薬の事、革命軍の事、そして商業ギルド長であるデイニーを少し疑っているとハッキリと言い切った。
「……なるほど。デイニーが麻薬を売りさばいているのではないか?と考えているのですね?」
「はい。最も疑わしいのです。」
「無いでしょうね。」
フィーデは言い切る。
「何故でしょう?」
「…………あんまり私の口からは言いたくはありません。だからこそセンスは私だけではなく、皇帝ルビアの紹介状を書いたのでしょうね。」
「皇帝様に会えば解明すると?」
「だと思いますよ。」
フィーデは紅茶を1口飲み、言葉を紡いだ。
「私が教えるべき事は革命軍の事、そして魔族の事……ですね。」
「俺は魔族などは会ったこともありませんし……正直、何がそんなにいけないのかが分からないのです。」
「…………私が言えるのはただ1つ。人間側に都合が悪かった……のでしょう。」
フィーデは神を祀る象へと目を向ける。
「この考えは私以外……いえ、センスと私以外の認識でしょうね。」
「では魔族の事をフィーデ様はどう考えておられるのですか?」
「…………あの方達は、そうですね。とても精神的に強く、弱い種族だったのだと思います。私達は人間です……ですが、人間と1括りにして悪いことをした人間がいるから全てを滅ぼそう。と普通はならない。」
リアとキャプテンは頷く。
「しかし、魔族はそうだった。半分が私達目線から、人間目線から見たら邪悪な存在だと認識したのです。だからこそ『種族戦争』が起こった。」
「…………学園長は『ボクは英雄では無い。』と言っていました。先程も貴方と学園長は違う価値観を持っていると僕は考えます。なら……教皇フィーデ様。貴方は何者だと考えますか?」
フィーデは少し顎に手を当て、考える。
「…………私は『神の僕、そしてそれに殉じる方の下僕』とでも表現しましょうかね?ふふっ……教皇らしいでしょう?」
「……ええ、まったく。」
キャプテンが呆れた様に言う。
「私が何者であろうと、神は『平等』である。という事でしょうね。私達7人……いえ、9人を除いて。」




