23話
リアとコルは学園長室へと呼び出されていた。
「…………よく来たね。そこら辺に座って。」
センスの長い緑の髪がベッドから零れ落ちる。
「君たちを呼んだのは他でもない。いや、君たちと言うよりリア……君だけどもね。」
リアはなんの事か解らずに首を傾げる。
それを見てセンスは微笑んだ。
「コルにはボクの今から言う事の証明をして欲しいんだ。」
「ええ、私に出来るならばしましょう?」
「頼むよ。」
センスは一息つくと再び話し始める。
「少し前に英雄達の集まりがあった。そこでボクはおかしい事に気がついた。」
「…………?」
「ボクは英雄と呼ばれはしているけれども厳密には違う。英雄では無い。」
「……?ですが、あなたの事は誰もが英雄であると言いますが?」
「ああ、その通り。その通りすぎるのさ。ここまで来て違和感に気がついたのはボクが外に出なさすぎるのが原因ではある。が、今回は明確に違和感を覚えた。」
センスは俯く。
「英雄は7人。でもボクは7人の中の1人じゃない。皆、勘違いをしている。まるで記憶を弄られたかのように。」
「…………今まで黙って聞いているけれど私になんの証明をして欲しいの?」
「ああ、君は。コルは知っているはずだよ。この国の事も、全て。」
「……全てなんて大それたモノ知っていないわ。大まかな事しかね。」
話に置いてけぼりのリアを尻目にセンスは再び話し始める。
「だからボクは英雄では無い。だけどボクはこの国が、今の待遇が好きだ。そして今の現状を打破できる突破方法を知っている。」
「それの証明かしら?」
「うん。その通り。」
センスは大きく頷き、同調する。
「この国では革命軍がいる。魔族だと、されている。」
「……ええ。間違いないわね?」
「本題はそこじゃない。あの組織のことについて皇帝ルビアは隠し事をしている筈だ。」
「…………何かしらね?」
「これまで革命軍は散々と運動をしてきた。だけど……その資金はどこから出た?」
「それが本題かしら?」
「うん、そうだよ。これがリア、君が動けるだけの理由に、そして問題を解決する糸口になる。」
センスは微笑み、こちらを見た。
「さて、コル。その資金源はどこから?そして革命軍とは何なのか……知っているだろう?」
「ええ、知っているわね。」
「ボクは間違いを間違いのままで終わらせたくはないし、コル……君も同じだろう?」
「…………ええ。」
コルは渋々頷く。
「この国の革命軍の資金源は……麻薬による売買。それを皇帝ルビアは隠している……しかし」
「しかし、癒着はしていない。」
コルの言葉を遮りセンスが言葉を繋げる。
「そこは大丈夫。ルビアを疑うなど考えていないさ。」
「…………皇帝ルビアは直属の警備隊に司令を出した。」
初めてリアの中で点と点が繋がった感覚がした。
「つまり貴方の、リアの両親は麻薬によって処刑された……これを言わせたかったのでしょう?学園長センス?」
「ああ。ボクの推測が間違ってなくて良かったよ。」
「そして麻薬により処刑された者はその証拠を残さない。しかしその子供がリアだった……。」
コルは頭を抱えると思い出す様に言葉を紡ぐ。
「だからこそどうしようもなかったのね。らしくないわね皇帝ルビア。」
「そう言ってあげないでくれ。気持ちは解るし、ね。」
「…………さて、リア?これが真実だけれど、貴方が追い求めていた真実。どうかしら?」
「…………コル。知っていたらでいいけど……麻薬の服用した際の症状はわかる?」
「まず、そうね。心拍数の増加、口が乾いたり、吐き気がするわね。それと依存性が高いから禁断症状が出る。」
「……他には?」
「…………そうね?後見てわかるのは目の充血かしら?」
リアはエーテルの目が充血していた事を思い出す。
当時は疲れているから……として考えていなかったが……?
「…………皇帝ルビアは直属の部下に麻薬成分の分析をお願いしていたはずね。なら……。」
「ならばリアの父親。ノティスにも依頼をしていたと考える事は無理ない。」
ゆっくりとセンスが立ち上がる。
「コルの言うことはボクの全部をかけて信じてもらってもいい。それが真実だからね。」
リアは冷静に整理をすると、1つの疑問が湧き上がる。
「……コル。貴方は何者だ?」
「…………そうね?何者か貴方がよく分かっているんじゃない?ねぇ、リア?」




