12話
僕は先程声をかけてきたコルの試合の前に売店に寄って食べ物を買い、観戦しようかと思い露店に来ていた。
露店には様々な物がある。
トカゲの丸焼きや、ヘビのサンドイッチなど……。
他にもちゃんとした食べ物があるが、目立ちたい生徒の露店ほどおかしなモノが多い様だ。
少し歩いていると遠くから怒声が聞こえてくる。
少々気になったので近寄ってみると貴族が男性に怒っていた。
「どうしたんですか?アレ。」
近くにいた生徒に聞くと事の顛末を教えてくれた。
どうやら貴族が一方的に怒り出したらしい。
それは男性の身なりがどう見ても貧民街の住人だったから……だと生徒は言っていた。
「つまり……貧民街の人がこんな所に来るなって事ですかね?」
生徒は大きく頷くとため息を吐く。
「貴族の立場がああいう人によって悪くなるのが嫌だね。」
「……あぁ、なるほど。」
この生徒も所詮帰属なのだと感じたリアは今にも蹴られそうになっていた男性に近寄る。
「大丈夫ですか?」
「あぁ?なんだお前。」
どうやら男性を庇うのが気に触ったらしい。
「いえ、僕はただ公正じゃないと考えただけです。貴方こそ周りを見てくださいよ。」
貴族は周りを見渡すと少し冷静になった様だ。
「今の貴方を敬う人がいるのか僕には分かりませんが、敬う人が少ないのは事実でしょうね。」
「……ちっ。」
貴族は舌打ちだけするとどこかへ行ってしまった。
「た、助かった。ありがとう……。」
「なんで反撃しなかったんです?すれば…….。」
「すれば俺たち貧民街の住人の立場が悪くなる。」
ああ、とリアは納得する。
貴族は個、貧民街は集団なのだと考えた。
「キャプテン!大丈夫ですか!?」
少し応急処置をしていると仲間らしき男性が走ってくる。
「どこかへ行ったと思ったら。こんな所に……え?その怪我は!?」
「あぁ、申し訳ない。この怪我は……まぁ色々あった。」
「……分かりました。そこの貴方もありがとうございます。」
仲間の男性も察したのだろう。押し黙り、リアに感謝を言った。
「いえ、僕は僕の考えに従っただけです。」
「お前さんここの生徒だよな?探している人がいるんだが……。」
「僕の交友関係は浅いですけど……誰ですか?」
「アミってヤツなんだが……知ってるか?」
「あぁ……。知ってます。案内しますね。」
リアはキャプテンと呼ばれていた男性に肩を貸しながらアミが待っている場所まで向かった。
「キャプテン!?なんでまたそんなボロボロに……!?」
アミは珍しく取り乱したが直ぐに冷静になったようだ。
「そこに座ってね。私ができる限り回復する。」
アミは幸いにも《救国》の中に回復出来るスキルがあった。
「どうして貧民街のリーダーがこんな所に?」
「あぁ……アミが入学したからな。親代わりとしては来なきゃと思った。」
「…………それで私に看病されてちゃ。」
「…………うむ。面目ない。」
その後の話を要約すると、アミを道端で拾ったのがこの貧民街のリーダー。所謂キャプテンだったそうだ。
で、せっかく入学したのだから来なきゃいけないと思って学園へ入ったら絡まれた……、そんな所だった。
「ありがとうねリア。こんな不甲斐ないキャプテンだから……。」
「いや、平気だよ。それにあの場で助けたのは僕なりに打算的だったし。」
「打算的??」
アミは首を傾げる。
「うん、あの場にね今にも斬りかかりそうな警備隊長様がいた。せっかくの学園祭を血の海にされちゃったら……。」
「あぁ……なるほどね。」
「そんな怖い人が居たのか!?」
キャプテンはビックリした様で怯えていた。




