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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
最終章 乱世の行く末
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乱世の終焉

「さて、皆さんお揃いですね。」


馬正が三人の英雄を前に立つ。

しかし馬正は横にいる皇帝に三人の処遇を任せる。


「陛下、お任せいたします。」


「貴様、これだけ我らを追い詰めておいて土壇場で責任逃れか!」


「そう思うならどうぞご勝手に。もっとも、それは自分たちが処罰される心当たりがあるからこそ出てきた言葉でしょうがね。」


馬正が冷たく突き放す。

そして項樊が戟を持って曹操、劉備の二人へ近づく。


瞬く間にその刃が二人の首の前を過ぎ、風圧で髪がなびく。

二人の首には傷一つつかず、頭と胴体は繋がったままであった。


「何の真似だ。殺すならすぐやれ。」


劉備が項樊へ言うが、項樊はそのまま戟を床へついた。

皇帝がゆっくりと口を開く。


「今お前たちは死んだ。そして新しく生まれ変わった。これからは漢の忠烈なる将として天下を守ってくれ。」


曹操、劉備は唖然とする。

そして孫権も何が起こったのかわからない様子だった。


「な、何を言っている。我らは皇帝に牙を剥いた。それならば処されるのが道理であろう。情けをかけて利用しようという魂胆か。」


劉備が皇帝へ食らいつくが、馬正がそれを止める。


「これは陛下の意向だ。お前たちはこんなに我らと拮抗した。そのような素晴らしい人材を殺すのは天下を治める者として失格であるとおっしゃられた。情けなどではない。適材適所だ。」


「しかしまた反旗を翻すやもしれんぞ。私は自治の許可を条件に和睦を結んだ。また支配しようとするならば抗戦するつもりだぞ。」


孫権が馬正へ反論する。

その意見はもっともであったが、馬正もはやそれを退けられる力を軍事、政治ともに持っていた。

力によって抑圧する独裁がまた始まる。

その予感を覚えていた三人の英雄は次の言葉に拍子抜けする。


「私と陛下はずっと話し合って決めたのです。あなたたちと手を取り合って天下を治めていこうと。曹操殿のように法を整備して、劉備殿のように人情に溢れ、孫権殿のように皆の意見を参考にして、私のように長く未来を見据える。そんな天下にしていこうと。私は争いたくありません。もう力も使いません。武力を撤廃して平和な天下にしましょう。」


そこで三人とも思い出す。

自分たちが目指した世の中はどのようなものであったかを。

黄巾の乱が起き、董卓が独裁した腐敗した政治を覆し、自分が天下を治めて戦のない世にしようと思っていたことを。


馬正が言った言葉は、すなわち全員の理想であった。

互いに手を取り合い、それぞれのやり方で目指す世を作る。


馬正は英雄四人が同等の立場につき、協力して天下を治めようとしたのだ。


「だが我らは実現できたとしても子孫はどうなる。上手くいくかはわからないぞ。」


曹操が馬正へ問う。


「そうならないための法でしょう。権力が固まらないようにしつつ、賞罰の基準をはっきりしましょう。遵守すべき法を制定し、その下に改定できる法を制定するという二重構造はどうでしょう?」


「それがいい。権力を分散させるならば法を司る機関の設立には気をつけねばなるまい。そこで不正が起こる可能性がある。」


「それならば人材の登用に面接を用いなければ。ただ成績のみでは人物像を把握できまい。」


「ならば家柄も考慮から外さねば。成績と人物像で登用するのが最適だ。」


馬正、曹操、劉備、孫権は夢中になって話し始める。

皇帝はそれを見て優しく微笑んでいた。

これこそが皇帝の目指した世の中。

戦争のことよりも内政について議論すべきだ。



長安の街を一人の男が歩いていた。

服装はだらしなく、大きなあくびをして飲み屋に入る。


「オヤジ、この店で一番いいやつくれ!」


「かしこまり!兄ちゃん豪快だねー!」


男は運ばれてきた酒を一口飲んで満足げに言った。


「あいつも天下人ってか。俺はその補佐を満足にできたのかな。」


「お前が一番だよ。俺様よりもずっとな。」


後ろから近づいてきた男が言う。

二人は向かい合って何も言わず碁を打ち始めた。



「私もこれで仕事が減るといいですけど。」


街中で老人がつぶやく。


「まだまだこれからですよ。後世にその医術を残さなければいけないのですから。」


派手な格好の男が老人に言う。


「この老骨にまだ働けと言うのですかな。」


「小生の家財を投げ打ってでもそうする価値はあります。さあ休む暇はありませんぞ!」


「戦が終わって治す人が減ったのに、なぜか前より忙しくなるとは…。」


老人は男に手を引かれて連れて行かれた。



鋭い目つきの男が長安の宮殿を眺める。

眼光は鋭いながらも、どこか安心しているようだった。


「何見てんだ?珍しい鳥でもいたのか?」


「いや、なんでもない。…これで借りは返せたか。」


「なんか言ったか?」


「いいや。さて、これからどうしようか。」


「いいもん食べ歩きなんてどうだ?こんだけ平和なんだからよ!」


「まあそれも一興か。たまには貸し借りなしの気楽な生活をしてみるか。」


二人の男が繁華街へ向かう。

その表情は未来の希望を感じていた。



その後、後漢は長きにわたって平穏を手にした。

功臣、馬正は後の世まで語り継がれる数々の功績を残し、その生涯に幕を閉じる。


次代はその子、孫らに引き継がれ、後漢は再び栄華を極める。


天下はここに一つとなった。

完結です。

長いこと拙い文章を読んでいただいてありがとうございました。

連載初期から読んでいただいた方、感想を書いてくださった方、ブックマーク登録してくれた方など、様々な読者の皆様に支えられて完走できました。

本当にありがとうございました。

初めての執筆ということで、支離滅裂な文章、矛盾や伏線の回収忘れなどあるかもしれませんが大目に見てください。

また別の作品でお会いできたらと思います。

読んでいただき、ありがとうございました。

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