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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
最終章 乱世の行く末
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次代の陽光

馬正が洛陽へ援軍を送った頃、劉備軍の攻勢は激しさを増していた。

諸葛亮らは相手に降将がいる以上、こちらの手の内は明かされていると踏んで出し惜しみをしなくなる。

次第に劣勢に追い込まれる朝廷軍へさらなる試練が襲いかかる。


疫病の蔓延。

糞便や腐乱死体を矢に仕込み衛生状態を悪化させる龐統の策により、ついに疫病が発生してしまった。


そしてさらに降伏を考え始める兵が出始める。

落城は目前かと思われた。


しかし魯粛は諦めなかった。


「こいつは反逆者だ!逆賊、劉備と組んで反旗を翻そうとした!高尚なる帝の護衛軍にはこのような者はいらない!」


降伏を考えていた兵を炙り出し、即刻捕らえて処刑する。


「恥じて死すか、誇って生きるか!己が心に今一度問え!」


魯粛は兵に檄を飛ばす。

まだ勝機はいくらでもある。

薄々降伏を感じていた兵らは腹を括る。


兵器は破壊できないわけでもない。

孟達が張飛を撃退していた。

徐庶も降伏してきてこちらには人材がある。


あとは兵の士気次第。

ここでやらねばいつやるのだ。


「お見事。一気に兵の心を掴みましたな。」


「ここが始まりです。ここで耐えて好機を窺わなければ。」


魯粛の演説により軍はまた一つとなる。

依然として劉備軍の攻勢は止まないが、孟達があちこち奔走してなんとか防いでいる。


徐庶が持ってきた情報によってなんとか兵器の弱点を突けて応戦しているが、やはり押し返すのは難しく、相手の兵糧が尽きるのを待つばかりであった。


だが劉備軍は独自の兵站能力の高さを発揮。

栄養価が高く、なおかつ保存が効く食料を開発したおかげで少量で大量の兵站を養うのを可能にしていた。


いくら将兵の心が合ったとしてもこの状況を押し返すのは難しかった。


しかしここで思わぬ救いの手が差し伸べられる。

城壁から遠くを眺めていた孟達は見慣れない軍を見つける。

劉備軍でもなければ長安からの援軍でもなさそうであった。

そもそも長安でも徐州でもない方向から向かってきていた。


「子敬殿!大変だ!敵か味方かわからねえ軍が近くにいるぞ!」


「なんですと。文和殿、徐庶殿、来てください。」


四人でその軍を見に行くと、目を疑う光景が広がっていた。


不明な軍と劉備軍が激突していた。


「あれはまさか…ならば赤壁は!」


「そういうことか…!そうなればもはや敗北の可能性はなくなったというわけか!」


「長きに渡り乱世に身を投じてきましたが、ここまで心が躍ったのは初めてです!」


軍師三人は喜び勇んで城内の兵に突撃命令を出す。

孟達は何も理解できなかった。


「え?え?どういうことだ?おい説明してくれよ!」


「赤壁で勝利したのです!いやおそらく和睦です!あの軍は孫権軍!この戦役を終わらせに援軍に来てくれたのです!」


魯粛が目を輝かせて孟達に応える。

それを聞いた孟達はまるで子どものように飛び上がって喜んだ。

そして自身も槍を持ち、先頭に立って城内から打って出る。


「進め!孫権軍に遅れをとるな!勝利は我らにあり!」


許昌から飛び出した軍は、劉備軍の櫓や雲梯を次々に破壊しつつ突進していく。


「おのれ孫権め!裏切りおって!この私が斬首してやる!」


関羽は感情に任せて孫権軍へ突撃する。

共に正面を攻撃していた趙雲は残された兵とともに孟達隊と戦う。


「趙雲殿、あなたに恨みはないが戦場で会えば私情は無用!いざ尋常に勝負!」


孟達の後方から徐庶が飛び出す。

裏切りのけじめとばかりに趙雲へ剣を向ける。

趙雲はそれを見て槍を構える。


元々仲間であった二人。

手出しは無用、孟達は兵を率いて趙雲隊と激突する。

対峙する二人とその周りで戦う兵。


徐庶と趙雲は剣と槍を交える。

その決闘を邪魔する者はいなかった。


その頃関羽は孫権へ向けて一直線に突撃を仕掛けていた。

そこへ呂蒙が立ち塞がる。


「おい関羽。これ以上は進ませんぞ。」


「そこを退け。お前に用はない。」


「ならば力づくでやってみたらどうだ?」


二人は睨み合う。

叫び声を上げながら関羽は呂蒙へ斬りかかる。

しかしその瞬間、関羽の後ろから矢が飛んできて関羽の腕を貫く。

関羽は落馬し、歩み寄った呂蒙が首に刃を突きつける。


「これがお前の積み上げたものだ。お前は劉備からの信頼を得たかも知れないが、同時に他者から恨みを買われていたんだぞ。」


「黙れ!貴様に何がわかる!お前たちも見てないで早くこいつを撃て!」


「ここで誰もお前を命懸けで助けようとしない。それが答えだ。」


「なぜだ…。なぜ私を裏切る!天下人たるは劉備殿ただお一人だけだ!」


「誰もが信条に則って動く。皆がお前と同じ心ではないのだ。これは、それをわかっていなかったから招いたのだ!」


呂蒙は関羽を斬った。

関羽が擁していた兵はそのまま呂蒙が得て戦力とした。


そして徐庶と趙雲の決闘も、勝負がついていた。

膝をついていたのは徐庶だった。


「やはり敵わないか。趙雲殿、お見事だった。」


「徐庶殿…なぜ裏切りなど…。私はあなたを斬るために出陣したのではありません。」


「関羽殿や張飛殿…いや、劉備殿に幻滅したんだ。自分の軍の調和を守れない劉備殿に、どうして天下が治められようか。」


「だとしても私は忠義を尽くさなければいけない。それが武人だ。」


「そう…だよな。趙雲殿、私を斬ってくれ。それがせめてもの…。」


「ああ。徐庶殿、その覚悟、承った!」


趙雲の槍が、徐庶の胸を貫いた。

どこか悲しそうに徐庶は倒れ、そのまま息絶えた。


孟達は声にならない叫びを上げ、劉備へまっしぐらに突撃する。

しかし関羽を失った劉備も、同じように孫権へ向かっていた。


趙雲は初めからわかっていた。

この戦、勝てないと。

槍を持ったまま怒り狂う孟達と劉備を見てただ呆然と立ち尽くすだけだった。


決着はすぐに来る。

我を失った劉備を孫権は的確に包囲。

孟達は劉備の周囲の護衛兵を蹴散らして劉備の前までたどり着く。


包囲された劉備はなすすべもなく捕縛された。

殴ろうとする孟達を陸遜が諌める。


「離せ。こいつは殴ってやらねえと気が済まねえ。」


「劉備は大事な捕虜です。曹操との交渉の材料になるのですよ。」


「あのムカデに驚いて小便を漏らしていた小物が私を殴ると?殴るどころか指一本も触れられないようだが。」


「てめえこの野郎!てめえのせいで徐庶が!わかってんのか!」


劉備の挑発により孟達は暴れる。

しかし孫権軍の必死の制止により劉備へは届かない。


「おいお前、陸遜とか言ったか?頼むから離してくれ。俺は…俺はこいつを一発でもいいから殴らねえと気が済まねえ!そうしねえと徐庶が…あいつだけじゃねえよ。この戦で死んでった奴らが浮かばれねえ!なあ頼むよ!なあ!」


「随分と必死だな。お前の自己満足の正当化に使われる徐庶や兵らが哀れだ。それとも本気でそう思っているのか?こんな言葉を知ってるか?死人に…。」


劉備が最後まで言い終わらないうちに孟達の拳は完璧に劉備の顔面を捉えていた。

吹き飛び気絶する劉備。

涙を流しながら拳を再度強く握り込む孟達。


「あー手が滑った。不慮の事故なら仕方ない。」


振り返った孟達にしらばっくれる陸遜は拳を突き出す。

何も言わずに孟達が陸遜に拳を合わせる。


「助かりました。立場上、私は手を出さないので。」


陸遜は孟達に耳打ちした。

劉備が捕縛されたことにより決着がつき、諸葛亮、龐統、趙雲も同じく捕縛された。

徐庶の亡骸は手厚く葬られた。


魯粛は劉備を裏切った孫権軍に礼を言い、馬正へ厚遇するように言うと約束する。

勝利し、長安へ凱旋する軍だったが、その雰囲気は重かった。


三方面の決着がついたことで馬正の天下が決定する。

赤壁、許昌、洛陽の順に長安へ帰還する。

それぞれの反乱軍を率いた孫権、劉備、曹操が馬正の前へと並べられた。


孫権は和睦を結んだので縄はなかったが、曹操と劉備は捕縛されて処刑を待つ身であった。


馬正が三人に向けてゆっくりと口を開く。

天下人は逆賊となった英雄に何を語るのか。

戦いは終わりです。

結構著名人が亡くなりました。

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