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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
最終章 乱世の行く末
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無双と囮

洛陽防衛隊の兵站は底をつこうとしていた。

禰衡と法正の策が冴え渡り曹操軍の戦力を削ってはいたが、そろそろはったりが効かなくなってきた。

長い期間一進一退を繰り返してきたが、曹操軍は物量にものを言わせて次第に馬正軍を追い詰めていく。


「奴らもこれ以上の策はなさそうですね。戦力も徐々に削っているので、そろそろ総攻撃といきましょうか。」


荀彧は曹操へ提案する。

曹操軍は遠征軍なので兵糧は貴重である。

お互いに兵糧が尽きかけていたので、曹操軍はここで勝負を決めようとする。


「そうしよう。しかし手負いの獣は何をしでかすかわからん。慎重に攻めるぞ。」


「はい。全軍、大楯を構えて前進!」


荀彧の号令で曹操軍が一気に進軍する。

曹操は以前の禰衡の挑発に対して憤り、ここを落とすまで絶対に撤退しないと決めていた。

曹操の怒りが兵の闘志となり、行軍の足音が洛陽へ響き渡る。


「ひゃーやべえぞ。あいつら一気に落としにくるつもりだぞ。」


「もはや爆弾も早々に尽きた。城壁の上から応戦しながら時間を稼ぐしかないな。」


万策尽きた禰衡と法正は悪あがきと言わんばかりの抵抗をする。

しかし曹操軍は慌てず大楯を構えつつ遠距離から矢を放って攻撃する。


「いやーな感じだな。城から出ても包囲されてやられるだけだしな。こうなりゃいっそ…。」


「いっそなんだ?特攻でもして少しでも長安に到達する敵を減らそうと?」


「ちげーよ。奴らが城門を破るまで待つかってことだよ。中で迎え撃って決戦にしようかってな。」


「それは無謀だ。お前の挑発のおかげで曹操は怒り心頭だ。俺らを根絶やしにするまで攻め続けるだろうさ。」


「だからあいつは人の上に立つ素質はねえんだよ。いくら俺様が天才だからって、挑発に乗って兵を危機に晒すなんて愚の骨頂だぜ。」


「今はそんなことよりこの現状を打破しないといけない。お前の待ち伏せ作戦が最後の策になろうな。」


「私をお使いください。」


二人の後ろから声がする。

そちらを向くと項樊が立っていた。


「よう寝ぼすけ。長かったな。」


「おかげさまで体調は万全です。正門を開き、私がそこで曹操軍を足止めします。その間に城壁から矢を射掛けてください。」


「却下だ。だがお前が復活したとなれば実現できる策がある。」


法正は二人に策を伝える。

それはここまで戦が長引いて、なおかつ相手にとって項樊が脅威であると知らしめた今でこそ発揮できる策だった。


「武運を祈るぜ。お前が鍵だ。」


「痛み入る。項樊が武、ご覧にいれましょう。」


正門が開き、項樊がそこでただ一人仁王立ちする。

曹操軍はその光景に呆気に取られる。

しかし直後、荀彧の司令で我に帰る。


「奴を討て!周囲に兵はいない!あの爆発する兵器も尽きた!攻めるのみだ!」


曹操軍が気炎を上げて突撃する。

しかし天下無双の武は、少し休んだ程度では衰えなかった。

正に鬼神がごとく、突撃してくる曹操軍をちぎっては投げちぎっては投げ。

曹操軍は一歩たりとも正門をくぐることはできなかった。


「ひるむな!奴も人間、攻め続ければ必ずボロが出る!」


荀彧がまた号令を出す。

再び気勢をあげて曹操軍が突撃する。

後方から弓矢で狙撃しつつ兵が項樊へ次々ぶつかっていく。

しかし項樊も一歩も引かず、手にした戟で敵を薙ぎ倒していく。


大軍の苛烈な突撃は長きに及んだ。

さすがの無双の剛勇にも疲れが見え始める。


「今だ!仕留めろ!」


曹操が一声。

張郃、于禁、張遼、楽進、名だたる武将が項樊へ突撃する。

天下に武名を轟かせたその四人を持ってしても、疲労困憊の項樊と互角に戦うのが精一杯であった。


しかしついに項樊は膝をつく。

戟を握り、構えるまでが限界であった。


「勝負は決したな。素晴らしい武人でござった。」


張遼は項樊の首を刎ねた。


と思われたが、なんと項樊は一目散に城内へ走っていた。


唖然とする一同。

しかし一瞬で気を取り直し、項樊を追う。


「逃がすな!ここで討ち取れ!」


曹操軍全軍が項樊を追っていた。


「待ってください!これでは相手の思う壺です!」


荀彧の叫びは無情にも兵の声にかき消され、将に届かなかった。


「まずい、このままでは!」


曹操も事の重大さに気づき、必死に突撃している将へ撤退命令を出すが、時すでに遅し。

項樊は洛陽で姿をくらまし、曹操軍は包囲されていた。


「おい馬鹿共が釣れたぜ。法正、さすがだな。」


「名付けて釣り野伏せってのどうだ。項樊、よくやったな。」


「はぁ、はぁ。一言宜しいか…。人使いが荒いですぞ。」


曹操軍は見事に誘い出されて包囲される。

周囲から一気に襲い掛かられたことにより、またもや兵は混乱に陥る。


「何をしているんだ!同じ手に引っかかってどうする!」


荀彧が地団駄を踏む。

長時間の戦闘によって項樊の人間離れした武力に恐怖を覚え、だからこそ討ち取る好機が来たならば正常な判断を失い深追いしてしまう。

法正の策にまんまと嵌められた。


ここで法正はわざと正門の方に逃げ道を開ける。

孫子曰く、全方位を囲むより、逃げ道を残しておけば敵兵はそちらめがけて逃走する。

ならば敗走する兵を後ろから攻撃するのは全方位を囲んで死に物狂いとなった兵と戦うよりも何倍も楽に追撃できる。


法正の読み通り兵は正門から次々と逃走していく。


そして最高の鉢合わせ。

援軍として到来した劉璋が逃走する曹操軍をそのまま馬で蹂躙。

荀彧と曹操は愕然とする。


「なんとなんと援軍として来てみれば絶好の機会だったではありませんか。さあ反撃開始です!」


長きに続いた洛陽攻防戦、ついに馬正軍は反撃開始となる!

釣り野伏せって天才的な戦術ですよね。

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