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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
最終章 乱世の行く末
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空城の計

「曹休はどこだ?」


「そういえば姿が見えませぬな。曹休殿が集合の規律を乱すとは考えにくいですが。」


夏侯惇と于禁が曹休を探し始める。

出撃の直前になって現れない曹休に不信感を募らせる。

その騒動は荀彧の耳にも入る。

そしてついに曹操が重い腰を上げる。


「我らに隠して策を進めておるか、相手の策に嵌められて捕虜となっておるか。離反は考えられんな。それならば兵を連れてゆくはずだ。」


「策を進めているのは考えにくいでしょう。曹休殿は先の失敗で焦っているはずです。そんな状況でむしろ一人で挽回しそうなものですが、申し訳ないですがあの曹休殿が成功させられるとは思いません。およそ離間策を狙って、逆に捕らえられたと考えます。」


「むう、そうか。ならば救出せねばなるまい。項樊が出てきたならば生け捕りにしなければなるまい。」


「そうしましょう。もっとも、項樊が今回も出てくるとは限りません。もしくは奇襲してくるやもしれません。殿も警戒を切らされませぬよう。」


「ああ。おぬしもな、荀彧。」


曹操軍は曹休救出、項樊捕獲を狙って再び進軍する。

禰衡の秘密兵器、爆弾も対策されてしまっては効力が薄くなる。

音と未知の恐怖があってこその爆弾であった。


「おいおいまた来てるぜ。あいつら曹休を捕まえたこと知ってんのか。」


「さあな。どちらにしても戦わなければいけない。おそらく爆弾の対策もしてるだろう。援軍到着まで持ち堪えられるかどうか。」


「何弱気になってんだよ。俺様がいれば負けるなんてありえねえよ。」


曹操軍が到着し、早速洛陽の包囲を始める。

曹操が直々に軍を率いて正門へ立ちはだかった。


「城内の将兵に告ぐ!無駄な抵抗はやめて即刻降伏しろ!もはや容赦はせんぞ!」


曹操が叫ぶが返答はない。

前回兵が潜んでいた堀にも人の気配はない。

まるで誰もいないかのように洛陽は静まりかえっていた。


「梯子をかけろ。一気に攻め落とす。」


曹操は全軍へ指示する。

梯子を城壁にかけて兵が登っていく。

その間も朝廷軍は抵抗するような気配もなく、すんなりと曹操軍は城壁の上へと登った。

すると城壁の上から兵が慌てて叫ぶ。


「城内は誰もいません!どこもかしこももぬけの殻です!」


「なんだと?全軍、周囲を警戒せよ!」


曹操が報告を聞いた瞬間に司令を飛ばすが、それも無意味に終わる。

周りからの奇襲を予想したが、敵は現れなかった。


「妙だな。撤退したわけでもあるまい。」


荀彧が首を傾げる。

城の周囲は誰もおらず、城壁の上から見ても誰もいない。

内部に潜むにしても、それほどの規模の兵が全員屋内で息を潜められるわけもない。

朝廷軍は洛陽から忽然と姿を消した。


「斥候部隊、周囲を警戒しながら洛陽内部を調査せよ!怪しい部分があればすぐに報告!急げ!」


荀彧は城壁の兵に指示する。

兵らは慎重に内部に降り立ち、まず正門を開ける。

しかし真正面にいた曹操は内部へ軍を進めなかった。

曹操軍は全員が嫌な予感をしていた。

自ら城を放棄するなど前代未聞であった。


「ん?ここは…。」


一人の兵がとある建物の中に立ち入る。

そこには地下へ繋がる階段があった。


「これは…すぐさま報告を…!」


言い終わるより前に数人の兵に取り押さえられる。


「悪いな。ちょっとばかし鎧借りるぜ。」


頭を殴られて気を失う寸前、そんな声が聞こえた。


「さあ、反撃開始だ。」


禰衡が伸びて引きずられていく兵を後ろに鎧を着る。


「上手くやれよ。まあお前なら問題ないと思うが。」


「俺様を誰だと思ってんだ。禰正平様だぞ。あんな奴ら屁でもねえや。」


禰衡は曹操軍の兵に扮して颯爽と飛び出す。

そして他の兵を集める。


「おーい、こっちに怪しい物があったから来てくれ!」


すぐに数人が集まり、禰衡が建物の中へと誘いこみ次々に捕らえていく。

そして同じように身ぐるみを剥がされて、その鎧を着た兵が禰衡に続く。


「さあて見せ場だ。他のところの奴らも上手くやってるといいが。」


禰衡と法正の他にも兵はあらゆるところに潜んでおり、地下室を作っていた。

上からでは考えられないほどの収容量で兵は洛陽に潜んでいた。


「問題ありません!他の門も開くのでまずは正門からお入りください!」


禰衡が曹操へ叫ぶ。

曹操はそれを見て軍を進めようとする。

しかし荀彧が止める。


「まずは他の隊から入れてください。殿は最後に残ってください。あの者らが見落とした箇所もないとは言い切れません。」


「確かにな。荀彧、おぬしもここにいてくれ。」


「はい。殿をお守りいたしましょう。」


荀彧の危機察知能力によって曹操は難を逃れる。

そうとも知らない他の曹操軍は次々洛陽へ入っていく。


「あいつら馬鹿だな。一網打尽にしてやるぜ。」


二部隊ほど入った瞬間、城門が閉じる。

そして曹操軍に変装していた兵が本物の曹操軍の中に入って兵を倒しはじめる。


「やはり罠であったか!しかし戦力で見れば互角。いや、楽進将軍と張郃将軍ならばこちらが優勢!」


荀彧の嫌な予感が的中。

二部隊が孤立してしまう。

そしてあの時報告した兵が偽物ではという可能性が頭をよぎる。


「変装してこちらを撹乱しようとしている者がいるかもしれません!かつて我らがとった手段のように!」


「それはいかん。すぐさま梯子で内部に侵入し警告せよ!」


曹操軍は梯子を登り始める。

しかし内部から出撃した朝廷軍に梯子を倒されてしまう。

内部は大混乱。

外からの指示も届かず、誰が味方かもわからない状態。

加えて、いないと思っていた軍がどこからともなく出現し、逆に包囲されている。


楽進、張郃はこの場で戦闘を行うのは得策ではないと判断、正門へ真っ先に進んでいく。

司令を正常に書くことができるわずかな手勢とともに正門を開けて洛陽を脱出した。


内部に残留していた曹操軍はそれを見るなり正門へ雪崩込み、全員が命からがら抜け出した。

曹操軍が抜け出したのを見計らって禰衡は門を閉じるように指示。

残った兵はそのまま捕虜となった。


この惨状を見た曹操は激怒。

特に楽進と張郃か脱出してから、それに続いて抜け出した兵へ向けて。

楽進、張郃は正常な判断で脱出したためお咎めはなかったが、混乱していた兵に対しては烈火の如く怒った。


荀彧の仲裁がなければ処刑までしていたかもしれない。

加えて直後の禰衡の挑発が曹操に火をつける。


「曹操軍ってのはあれか、馬鹿の集まりか!まあ上が能無しだと下は苦労するよな!下も無能の極みだけどな!」


城壁から曹操へ向けて大胆な挑発。

洛陽は依然として曹操軍が優勢であったが、次第に戦力が削られていく。

兵糧も次第に減っていき、短期決戦が望まれる。


長安からの援軍はまもなく洛陽へ到着する頃だった。

長きに渡る籠城戦、その終止符が打たれる時は近い。

諸葛亮が行った策を自分なりにアレンジ。

知る人ぞ知る空城の計です。

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