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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
最終章 乱世の行く末
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赤壁の戦い前日譚・馬正陣営

「いやーとんでもねえ大きさだなこりゃ。向こうの端が霞んじまってるぜ。これが河だなんて信じられねえ。」


白が長江を眺めて溢す。

その横に郭嘉が並んで言う。


「他の奴らとは違って俺らは船上だ。それに加えて相手は船上での戦いに慣れている。こいつは俺の智略にかかってるってわけだな。」


「期待しておりますぞ、郭嘉殿。恥ずかしながら、荊州を預かる身でありながらそのような智略は持ち合わせておらぬゆえ。」


「我らの騎馬部隊も船上では無用の長物。策を頼りとさせてもらおう。」


劉表と馬騰が並んで言う。

赤壁にて孫権を迎え撃つ諸将が並び立つ。

戦場となるは中華最大の河、長江。

孫権軍は、孫策の時代からその領土が長江流域にあったということもあり、船上での戦いに長けていた。


「さーてどうしたもんかね。間者でもいれば簡単だったと思ったんだが…。」


郭嘉は頭を捻る。

圧倒的不利、全員がわかっていた。

せめて船上での鍛錬をして慣れるように努力しているが、不安は拭い切れない。


「全員得意とする戦術が違えからなー。俺たちは奇襲、馬騰は騎馬、劉表は戦というより政治だもんな。まとまりがありゃあいいんだが。」


白の言葉で郭嘉が何かを思いつく。


「それだよ白。全員の得意分野が違うなら、全員違うことをすればいいじゃないか!猛虎団は単独行動を許すから奇襲を仕掛けてくれ。馬騰殿は騎馬で敵陣に強襲、劉表殿は俺と一緒に船団の指揮だ。」


「そんなバラバラで大丈夫なのか?将と兵の心と方針が一致するってのが兵法の定石だろ?確か孫子にも書いてあるって禰衡が言ってたぜ。」


「その通りだ。この場合の将とはお前や馬騰殿。方針は元よりここの守備で満場一致だ。つまり戦の定石にも反しておらず、俺たちは一体になってるってわけだ。」


郭嘉は自信を持って言うが、そこへ馬騰が疑問を投げかける。


「それに関してはわかった。しかし郭嘉殿、バラバラに攻めると言っても我らは騎馬隊、船上では上手く戦えない。しかも敵陣を強襲と言ってもどうすればいいんだ。」


「そいつは今俺の頭の中でできつつある。もう少し時間をくれ。」


「まあいいが、我らはいざとなれば身の安全を重視する。ここで命を散らすつもりは全くない。あくまで手伝いだぞ。」


「そんなのはわかってる。しかも俺はあんたらに死にに行けって言うつもりなんてさらさらない。全員揃って凱旋、これが前提だ。」


郭嘉の言葉に馬騰は安心する。

そして騎馬隊の鍛錬のためその場を後にする。

しかし馬騰とは違い、劉表はまだまだ不安ばかりであった。


「わ、私が船団の指揮ですか?そんな経験などありません。自身がありませんよ。」


劉表は郭嘉へ言うが、郭嘉もそれを既にわかっていた。


「わかってますって。今回、あなたはこの方面の総大将という位置付けになります。俺はあくまであなたの補佐。しかし荊州の兵や猛虎団の奴らは俺に命令されると反感を持つかもしれない。だからあなたに指揮をとってもらいたいんですよ。」


「ですが上手くいくでしょうか。」


「あなたは以前袁紹と手を組んでいた。袁紹の援護のために上手に手を回していたじゃないですか。俺にはわかりますよ。あなたは実は謀略がお好きな人だ。直接兵の指揮はできないでも、大局を見極めることができる。」


「そんな…過大評価ですよ。私はただ長いものに巻かれるだけです。」


「どうだろうか。とにかく、半分の指揮はお任せします。残りの半分は俺が担う。頼みますよ、荊州刺史。」


郭嘉は劉表の肩を叩いて去っていく。

白はずっと長江を眺めていた。


基地に戻った郭嘉が図面を広げる。

策を練るのは自分しかいない。

あとは武勇に任せる。


「俺の夢…必ず果たす。ここで立ち止まってる場合じゃねえんだよ。」


郭嘉は拳を握りしめ、卓上の駒を動かし始める。


馬騰は息子の馬超とその従兄の馬岱を呼びつける。

二人は涼州の中でも頭ひとつ抜けた武勇の持ち主であった。


「二人とも、大きな戦が始まろうとしている。我らが磨いてきた騎馬の武術は今回あまり活躍しないかもしれん。だがここで我らの武勇を見せつけておかねばならん。おぬしらの力、見せてくれるか?」


「今更何をおっしゃいます父上。この馬超、生きるも死ぬも武の中でと誓っております。騎馬でなくとも我らの武勇を振るう機会があるならば願ってもない好機であります!」


「私も若についていきます。大殿、覚悟はできております。」


馬超と馬岱は覚悟を示す。

その様子に馬騰は面食らう。


「はっはっは。教えられたのは父の方であったか。おかげで目が覚めた。自らの保身を考えるなど武人失格であったな。礼を言うぞ。」


馬騰はこの戦、何としても勝つと決意を固める。

ここで勝って涼州の武を天下に轟かせ、この先も自治の権利を得る。


白は手下とともに酒盛りをしていた。

気合を入れるにはいつもこうしていた。


全員思惑は違えど目的は同じ。

果たして不利を覆す策はなるのか。

この軍だけ全く出自が違う人たちです。

こういう組み合わせ結構好きです。

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