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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
第三章 安帝将軍
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虎の子

それは誰にも想像できない形で訪れた。

呂布が徐州を占拠して数ヶ月、ついに曹操と袁紹が動き始める。


徐州は元より曹操の領土、そこが奪われたとなれば黙っているわけにはいかない。

荀彧は迅速な徐州の占拠に影の英雄の存在を感じ取っていたが、現在劉備は捕縛され、馬正は都から動けない。

ならば呂布は恐るるに足らず。

大軍勢をもってして押しつぶすのみ。


馬正は積極的に攻撃を仕掛けてこないと考え、冀州に僅かな手勢を残して袁紹と曹操は徐州へ進軍する。


州ごと城塞化した徐州を目の当たりにして荀彧は頭を捻る。

どこから崩したものかと。


意外にも防備には穴がなく、下邳城を中心に市街地を要塞として臨戦態勢を敷いていた。


「孟徳殿、この防備を破るのは難しいと思われます。」


「いくら我らが大軍といえど、ここまで広大な要害を攻めるには兵がいくらあっても足りんな。なれば策があるのであろう?」


「兵を一箇所に集めて攻撃を集中させ、攻め手を緩めずに下邳城まで進軍するのはいかがでしょうか。おそらく外側は警戒していても、下邳の者らはここまで来ないと油断しているでしょう。」


「なるほど。その策、採用しよう。」


曹操は戦略方針を決定する。

あまり策に頼ろうとしない袁紹は、曹操らによる献策を快く思わなかったが、自軍と徐州の防備を見比べて力押しでは攻略不可能と理解して策を承諾する。


そして今まさに突貫、という時であった。


「将軍!あちらから大軍が…!」


物見の張郃が袁紹の元へ大急ぎで走り込んできた。

なんと南から武装した兵が、こちらとおよそ同数向かってきていた。


「あちらの方向はまさか…孫権!?」


「ありえない!孫策の暗殺から全然経っていないではないか!」


袁紹と曹操は戦慄する。

荀彧は明らかに動揺し、しかしそれが孫権の軍であることを確信していた。


「この世に英雄は四人いたのか…!」


孫権は兄・孫策の死後、速やかに異民族と和睦。

分裂した家臣は、反異民族派の者達と親異民族派の者達との穏便な話し合いの場を定期的に設け、協議の上で方針を少しずつ変えていく形を取る。

今すぐ対処するのではなく、共存しつつお互いの妥協案を模索する民主主義のような形をとった。

絶対王政が続いた世にとっては画期的な政治方針であった。


孫権は政治的手腕ですぐさま領内の反乱を鎮圧。

そのまま徐州へ出兵し、呂布の兵力と徐州の土地を併呑する狙いだった。


「曹操はもう来ていたようだな。では少し脅してやるか。」


孫権は配下の韓当に指示する。

韓当の部隊はすぐさま突撃の陣形をとる。

それを見た荀彧は敵意を感じ取り、曹操へ進言する。


「あちらはこちらと手を組む様子はない模様です。孫権もこちらを狙っているとなれば徐州を奪い返すのは不可能です。ここは冀州へ引き返して策を練り直しましょう。」


「おぬしの言う通りだな。袁紹!ここは引き返して態勢を整えよう!」


「仕方ないな。全軍、退却だ!」


袁紹率いる大軍は徐州を取り返せずに冀州へ退却していく。

一方呂布軍は脅威が去ったと思い警戒を解く。

そこで孫権はすかさず呂布へ使者を送る。

孫権は、呂布が劉備に唆されて徐州を占拠していたことは知らなかったが、朝廷や袁紹らに反意を持っていることはわかっていた。

領土の拡張よりも領土の安全に注力する孫権は、徐州以外への攻撃をしようとせず徐州を得ることのみ考えていたので、呂布と盟を結び対袁紹に備える。


「孫権からの使者だと?孫策が死んで、自分が狙われることを心配して俺と同盟を結びにきたか。」


「そのようですな。いかがいたしましょうか。」


「まあいい。通せ。」


下邳城へ着いた孫権の使者は呂布の元へと通される。


「失礼いたします。我が主、孫権の命により参りました、張昭と申します。この度は呂布殿にお力添えいただきたく参りました。」


「俺の軍が脅威だから、地盤が固まっていない領へ攻め込まれたくないんだろう?俺と仲良くしていれば袁紹や曹操、馬正にも対抗できるしな。だが俺が丁原や董卓を裏切ったことをわかっていないようだな。」


「呂布殿はその武勇で次々と悪逆の徒を斬り伏せてこられました。そして今回もその武勇を振われることを私たちはお待ちしております。呂布殿を恐れているというのは事実でございます。ですが、なればこそ我らが手を組めば天下を取ることなど容易いことなのです。」


「ならば俺たちの覇業を支えるとでも?」


「ええ。援助は惜しみなくさせていただきます。ただ一つ、我らの領土さえ安全に保っていただけるのならば、いかなる協力もさせていただきましょう。」


「ならばお互いに手出しは無しだ。その代わり俺が要請したならすぐに援軍を寄越せ。」


「もちろんそのつもりでございます。互いに良き関係でありましょう。」


孫権の筆頭家臣、張昭は見事に呂布と同盟をこぎつける。

こうして中華の東は、北の袁紹、曹操と南の孫権、呂布という構図になる。


孫権の思い描く徐州併呑は少しずつ進んでいた。

そしてまた大きな武力衝突が起こる。

それは長い戦いとなり、東方は荒れ始めることとなる。

孫策を軽んじてるつもりはないのですが、孫堅と孫権がすごすぎてなんとなく影に隠れてる気がします。

短期間で南方平定は凄すぎるんですけどね。

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