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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
第三章 安帝将軍
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反抗の猛将

「あー暇だな。なあ、私と勝負をしないか?」


「……」


牢の劉備が看守の孟達に話しかける。

劉備の危険性を予期していた馬正は、劉備と話さないように孟達に厳命していた。


「知っているぞ。元々劉璋殿へ仕える予定だったとか。しかし法正に誘われて馬正へ仕えた。それは全くお前にとって不本意だったんだろう?自分より年下の小僧になぜ下手に出なければいけないのかと。」


「……」


劉備は孟達を唆す。

自分がすぐにここから出るためではなく、馬正軍の中で反乱の火種を作るために孟達を標的にしていた。


「お前も野心に溢れているのだろう?こんなところで止まっている男ではない。馬正を裏切れ。そうすればお前は一気に天下人だ。帝の威光を利用すれば馬正の取り巻きを処するなど容易い。」


孟達はずっと黙っている。


「まあどうするかはお前の勝手だ。私はお前に何もしない。そして何もしてもらおうとも思わない。ただ…。」


「うわぁ!びっくりしたなぁ!」


突然劉備の話を遮って孟達が叫ぶ。


「なんだよムカデかよ。あっちいけ。」


孟達が床を蹴り上を見上げる。


「ムカデが落ちてくるとはな。ここは気味悪いぜ。」


どうやら天井から落ちてきたムカデに驚いて声を上げたようである。


「まさかお前…。」


劉備が孟達を小窓から見る。

耳を注意深く見ると、なんと耳栓をしていた。


「考えやがったな。だがそんなに簡単にいくと思うなよ。」


劉備の計画は失敗、しかしこの男は全く諦めていなかった。


(馬正の言う通りだぜ。あいつは危険だ。これで揺さぶってこないといいが…。)


実は孟達は全て聞いていた。

耳栓は偽物で、劉備が孟達に反乱を起こさせようとしていることもわかっていた。

ちなみにムカデに驚いたのは演技ではない。


(あいつは鋭いな。確かに馬正に仕えたのは不本意だった。だが今は将軍の位ももらい、皇帝を守る誇り高き軍として働いている。反乱なんて起こすもんじゃねえよ。そもそもこいつは気に食わねえ!)


孟達は劉備の言葉によって、より馬正に仕えることを誇りに思う。

さらに劉備への敵対心を確固たるものとする。


(そういや魯粛殿と字が一緒だったな。仮にも馬正に仕える身であるならば、呼ばれる時にややこしくない方がいいな。)


孟達は避諱のために字を改めることを考える。


「孟達は劉備に惑わされないだろうか。」


皇帝が馬正に聞く。


「子敬殿なら大丈夫です。私に忠誠を誓ってくださってはないようですが、劉備に揺さぶられることによりむしろ私により友好的になると信じております。」


馬正は確信に満ちた返答をする。

皇帝はそれを見て寂しそうな眼差しをする。


「馬正は部下を心より信用しておるのだな。朕は誰も信用できない。帝という飾り物の権力の象徴を欲する者に利用される日々。その恐怖が朕の心に根付いておる。」


「私がついております。必ずや漢室を復興いたしましょう。安帝将軍の位を賜りましたこと、いつまでもこの心に刻んでおります。」


「おぬしすら心より信用できぬ朕がいる。すまぬが、気を悪くしないでくれ。」


「それは全て私の不明。陛下に信用されぬ要素がまだまだあるのでしょう。」


「すまぬ馬正。しかしおぬしは今までで最高の側近である。」


「もったいなきお言葉、痛み入ります。」


皇帝・劉協はまだまだ未熟。

今までの経験もあってなかなか他人を信用出来ずにいた。

しかし馬正はそれを正し、いずれ劉協を皇帝たる人物に押し上げるべく戦う。

孟達割と好きです。

書いていくうちにお気に入りキャラになりました。

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