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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
第三章 安帝将軍
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それぞれの思惑

禰衡は服を上半身だけ脱ぎ、両手に木の棒を持った。

精神を集中させ、力強く目の前の太鼓を叩き始める。

ただ一心に脇目も振らず太鼓を叩くその姿は美しくすらあった。


そこへ一人の男が訪れる。

しかし禰衡はそれに気づかず一心不乱に太鼓を叩き始める。


しばらくして演奏がひと段落し、禰衡がその場に座り込む。

そこへ入ってきた男が話しかける。


「見事な演奏だな。天才はなんでもできるってか?」


「てめえ…見てやがったのか。今のは全部忘れろ。」


「見られたくなかったのか?天才を自称しながら、地道な努力をしているのを知られたくなかったのか?」


「それ以上喋るな。今すぐここから立ち去れ。」


「まあ待てよ。俺も秘密を話す。それならおあいこだろう。」


法正が禰衡の隣に座った。


「何の真似だ。今更ご機嫌取りか。」


「賈詡に言われた。俺はどうやらやりすぎる節があるらしい。報復としては済んでいたはずなのに腹いせに言いすぎたかもしれん。」


「詫びているのか?お前らしくもない。お前は俺様に叩き潰されるのをぼーっと待っとけばいいんだよ。」


「お前のその態度も問題があるんだ。謙虚に、とは言わない。少しだけその傲慢をやめたらいいだけだ。」


「うるせえよさっさと出てけ。」


全く聞く耳を持たない禰衡へ法正は何かを渡す。

それを受け取った禰衡は何かを企むような笑みを浮かべた。


宮殿の中で項樊が警備に当たっていた。

そこに魯粛が来てとある問いを投げかける。


「子達殿は伯常殿の用心棒ということでしたが、今やお互いに将軍となり用心棒としての責務があまり果たせない状況にあります。これについていかがお思いか?」


「私は立場が変わろうとも伯常殿をお守りするのみ。用心棒とは常に側におらずとも果たせる責務であります。」


「なるほど…。あまり昇進するといった野心はないと申されるか?」


「私のような戦でしか役に立たない者は地位など無意味でございます。」


「さすがでございます。しかし伯常殿に反感を持っている者も少なからずおられるはず。私はそれを憂いておるのです。」


「ならばそれを未然に防ぐまで。あなたのような知者がいればそれも成るでしょう。」


「ではそのことで少しお力添えいただけますかな?私の杞憂ならよろしいのですが。」


「私でよければ。」


魯粛は項樊を連れて都へ繰り出す。

都は不穏な雰囲気に包まれていた。


「帝のお力を復活させましょう。漢室の権力を今こそ見せつけるのです。」


馬正が皇帝へ力説する。

しかし皇帝は気分が乗らないといった様子である。


「朕もそうであればいいと思うのだが…。帝が傀儡となった期間が長すぎた。もはやそれぞれが独立して動いておる。あの袁術は生前、独立して国を持つつもりであったそうではないか。」


「そうですが…。しかしここでまた陛下が天下へ号令を出し、各地の群雄を従わせることができたなら漢室も安泰となりましょう。今こそ立て直すべき時でございます。」


「近隣の者たちと同盟を結ぶのが精一杯じゃ。孫策も反乱を起こそうとしておるし、西涼は初めから従おうとはせん。全てを平らにするには中華は広すぎる。」


「ならばまずは国力の増強といきましょう。呂布や劉備は今放浪の身です。そして劉備は高祖の子孫を自称しております。ならば漢室の復興にも喜んで手を貸してくれると思われます。呂布は主君殺しでありますが、安帝将軍の名にかけて私が陛下をお守りいたします。」


「うーん少し考えさせてくれ。理想だけでは天下を治めるのは難しい。」


帝はまだ馬正よりも幼く、決断力がなかった。

また、幼少期を董卓に支配されていたため、現実は残酷であるとその心に刻まれていた。


その夜、都のとある場所で男たちが集会を開く。

彼らは都で略奪を行なっていた賊の残党。

馬正政権に激しく反発していた。

孟達らがある程度は掃討したとはいえ、完全にその火種は消えることはなかった。


彼らは以前馬正らが行ったように宮殿襲撃作戦を開始する。

その中にはとある英雄の姿があった。

都は戦続きで大変ですね。

帝の身柄もこうも狙われたら可哀想です。

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