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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
第二章 躍進
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鄴城の戦い

時は195年。

中華にとって大きな出来事が二つ同時に起こる。


一つ。

最高の力を持っている二大巨頭、袁紹と袁術の華北での直接的な武力衝突。

二つ。

都長安において実権を握っていた李傕、郭汜の暗殺。


これらは全て一人の男によって引き起こされたものであった。


冀州・鄴城。

その前には大地を埋め尽くすほどの大軍勢がひしめいていた。

その数およそ30万。

名だたる将を従えた袁術の軍であった。


「袁紹!貴様は完全に包囲されている!無駄な抵抗はやめて出てこい!今ならわしの手で葬ってやってもいいのだぞ!」


「ええい袁術め。調子付きおって。」


城内で袁紹が悔しそうに地団駄を踏む。

しかしその横で曹操は高笑いをする。


「はっはっは。おぬしともあろう者が道化を演じるとはな。」


「後で嫌というほど優越感に浸れるのだ。今のうちに悔しがっておいてやろうと思ってな。」


そこへ田豊が入ってくる。

手には軍配と竹簡が握られていた。


「そろそろ定刻でございます。お二方、号令をお願いします。」


「ああ!全軍、不届き者を成敗せよ!作戦開始じゃ!」


連合軍による反乱軍討伐作戦が始まる。

この時、城内には袁紹、曹操、田豊と、最低限の兵しかいなかった。


「ふむ、もはや猶予はない。全軍、あの愚か者に真の名族はどちらか、思い知らせてやれ!」


袁術が反乱軍に命じる。

袁術軍が梯子や衝車を引いて突撃する。


しかし進軍路の横から騎馬隊が現れ、突撃を防いだ。

顔良、文醜が率いる精鋭の騎馬隊であった。


「ここから先は通さん!この袁紹軍一の剛力がお相手しよう!」


槍を振り回し兵を薙ぎ倒していく。

しかし圧倒的物量差により、それも長く持たないのは目に見えていた。


「命を捨てに来たのだな。望み通り散らしてやろう!」


袁術が更なる兵を投入する。

するとどこからともなく矢が飛んでくる。

その矢は劉備軍の兵に当たり、その兵は倒れた。


「袁紹め!卑劣な!」


反乱軍が矢が放たれた方を見ると信じられないものが目に映る。


袁術軍の鎧を身につけた兵が足早に去っていくのが見えたのである。


「袁術…貴様この争乱に紛れて私を討つつもりであったのか!」


劉備が袁術へ叫ぶ。


「な、なんのことじゃ!誰か!奴をひっとらえい!」


しかし誰も袁術の命を聞いていなかった。

それどころか同士討ちを始める。


「お、お前まさか…!」


「ち、違う!お前こそ!」


袁術軍はもはや戦どころではなくなる。


「何が起こっておるんじゃ!おい、そこのお前!どういうことだ!」


「袁術様、我らの軍に扮した何者かがこの中に潜み、次々と我らを殺していっております!」


「なんじゃと!皆の者!落ち着いて侵入者を探せい!!」


しかし袁術の言葉も虚しく兵は同士討ちをやめない。

それどころか怒れる劉備がまっすぐこちらへと向かってきている。


「やはりか…。呂布殿、張邈殿。死なないうちに私たちだけでも離脱するとしましょう。」


「そうだな陳宮。どうせただ飯ただ酒だけの男だったな。」


陳宮は呂布、張邈とともに戦線を離脱。


「やっぱり袁術なんかに頼ろうとした俺が間違ってたぜ。お前ら、江東に帰るぞ。俺たちはこれから独立する。」


孫策軍も離脱し江東へまっすぐ帰っていく。


残ったのは袁術と劉備のみ。

しかも劉備は敵意剥き出しで袁術へ一直線。


「ぜ、全軍撤退!!わしの号令を聞けい!」


もはやその声は誰にも届いていなかった。

周囲の小城に伏していた荀彧らは逆に呆気に取られていた。


「こんなに簡単にいくものなのか?あちらの軍は私たちが思っていた以上に脆かったようだな。」


「これでは私たちが用意した策も無駄になりましたな、文若殿。」


幾重にも張り巡らせた策の中の二つを使うだけでこんなに簡単に瓦解するということは、初めから反乱軍は軍としての形をなしていなかったに等しい。


ついに劉備軍は袁術へ辿り着く。

袁術軍はほとんどが同士討ちによって壊滅していた。


「やっと捕まえた。さあもう終わりだ。」


「お、お助け…」


劉備軍は袁術を捕縛。

劉備は顔良と文醜に言う。


「大将首をそちらに渡そう。これでこの戦は終わりだ。」


こうして中華最大規模の大戦はあっけなく終わった。

30万あった軍はほとんど壊滅、袁紹軍はほとんど無傷で戦を終えた。


袁術は袁紹の前へ引き渡された。


「無様だな、袁術。お前とこうも差があるとは思わなかったぞ。」


「袁紹!こんなことをしてただで済むと思うな!」


「よくその格好で吠えられるものだ。曹操、こやつはどうすべきだと思う?」


袁紹は答えがわかっていながら曹操に問う。


「そのあたりにしておけ、袁紹。既に死んでいるも同然の者に対して酷であるぞ。」


「そうだな!全く、道化はどちらであったのだろうな。」


「末代まで祟ってやるぞ!袁紹!曹操!この恨み忘れぬぞ!」


「連れて行け!」


袁術は処刑台まで送られ、断首された。


袁術が死んだことで大きく天下の情勢は変わる。


袁紹、曹操、劉備、孫策、呂布。

力の均衡が破れた今、再び群雄は割拠する。

第二章クライマックスです。

お楽しみに。

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