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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
第二章 躍進
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兗州の乱(前編)

曹操は兗州を本拠に徐州、青州を実質的に支配、その勢いのまま豫州の馬正へ兵を出す。


当然、勢いのある曹操が名声も実績もない者へ出兵したとなれば、その相手はどれほどの者なのかと天下の注目が集まる。


そしてそれは法正の耳にも入る。

しかもその人物がこちらへ向かってきているとの噂である。

しかし法正はそれを好機と捉える。

あの曹操の軍を、曹操不在とはいえ破った英傑。

今は曹操に追われる身であっても、それだけ実力が脅威であると判断された男。


そのような者がこちらへ向かっているとなれば自身の目的のために大いに利用する価値がある。

法正もまた、曹操が兗州を離れた隙に反乱が起きると予測していた者の一人であった。


豫州にて。

曹操が出兵したとの報が入った馬正はすぐさま仲間を集める。


「皆さん、曹操がこちらへ向けて進軍を始めたとのことです。なので私達はそろそろここを離れて荊州を経由しつつ長安へ向かいます。」


「それはいいけどよ、そろそろもったいぶらずにどう手を回したのか話してくれたらどうだ?」


禰衡が言った。

先に郭嘉が口を開く。


「反乱を扇動するとなれば、効果的な相手が呂布、劉備あたりだろうな。大穴で陳宮、張邈あたりか?だが俺らなんかが予測できるってことは荀彧の奴は既に手を打っているかもな。」


「そうですね。ですがその辺りの人たちは私が扇動せずとも、曹操に反意を持っているので放っておいても反乱を起こすでしょう。荀彧もおそらくそこには目を光らせているでしょうね。」


「なら誰を動かしたんだ?あのあたりには袁紹か孫策ぐらいしかいないぜ。袁紹はそもそも曹操の味方だし、孫策は袁術の指示がなければ動な…まさか…!」


「はい。袁術へ書状を送りました。彼は袁紹へ対しての敵意が強く、邪魔する者を排除して独立したいと考えているでしょう。そのため、袁紹の有力な配下である曹操を失脚させるのは袁術にとって大きな一手でしょう。また、袁術は自らが出向かずとも孫策というこれまた有力な部下がいるので、曹操がいない兗州の軍などにまず負けることはないでしょう。」


「お前が一番やべー奴じゃねえか。上手くいくと思ってんのか?」


「正直、私などが袁術へ意見したところで取り合うなど思っておりません。しかし袁術にそんな書状が届き、曹操の留守を狙っていると他の諸侯に知れ渡ったら?呂布などの外からの敵や、張邈、陳宮、捕虜ですが劉備などがその混乱に乗じて兗州を奪おうと画策するはずです。袁術へ書状を送るついでにその方々にも送っておきました。今頃荀彧や夏侯惇は緊張で眠れないことでしょう。」


「伯常殿、それでは曹操にも知れ渡り、すぐに引き返すでしょうから計画が失敗する恐れがあるのでは?」


「知れてもよいのです。それならば曹操を兗州に釘付けにでき、私達は安全に長安へ向かうことができるのですから。私達はあくまで曹操を除くのではなく、長安へ向かい暴政をやめさせることが目的なのですから。」


「なるほど…。ならばそろそろ向かいますかな。出立はいつのご予定で?」


「明日の夜明けとともに行く。皆、準備をお願いします。」


曹操の侵攻開始に合わせて馬正一行は豫州を出る。

そのまま西に向かい、荊州を目指す。


その頃袁術は悩みに悩んでいた。


「うーーーーむどうしたものか…。」


「殿、いかがされましたかな。蜂蜜入り牛乳をお持ちしました。」


「あの憎っくき袁紹を討つ最大の好機であると、名もなき若造から書状が届いたのじゃ。曹操がそやつを討つべく兵を挙げたので、曹操不在の兗州を急襲するべしとな。」


「な、なんと。殿の悲願、果たすときではございませんか。曹操を除けば袁紹など目ではありませぬぞ。」


「そうであろう。しかも曹操へ反乱を起こしそうな者たちへも同じようなことを吹聴して回っておるそうなのじゃ。ならばわしが反乱を扇動し兗州を奪い取ってやることも可能なのじゃ。」


「またとない好機!されど何をお悩みで?」


「いや、あの江東の若造のことよ。奴が首尾よくやるかどうかなのじゃよ。奴の父であれば上手くやったであろうが、今は内政も整えられぬ愚物よ。」


「孫策でありますか。それならば殿自らが出られては?名族の威光に、相手は平伏すでしょうな。」


「ほう、なかなか良いではないか。そうと決まれば出陣じゃ。もちろん、孫策にもついてくるように命じておけ。捨て駒程度にはなるであろう。」


「はっ!」


こうして、袁紹は自ら孫策軍も率いて兗州へと侵攻するとこを決める。


一方呂布はというと


「何?訳のわからん書状が来ただと?」


「はい。曹操不在の兗州、劉備、張邈と協力して奪い取るべしと。」


「ふん。言われずとも奪う気であったわ。協力などいらぬ。この武ひとつでやってやる。」


「呂布殿、もう一つ書状が。」


「よこせ。…陳宮?なぜ曹操の軍師がこちらに内応するんだ。謀反を手伝えと?」


「おそらく陳宮もこれを好機と捉えておるのでしょう。」


「既に張邈と劉備を引き入れたとあるな。あとは圧倒的な武が必要とあって俺に白羽の矢が当たったわけか。」


「そうなればまたとない好機ですぞ。上手くいけば兗州を手に入れ、袁紹や袁術にも対抗できるやも知れませぬ。」


「ならば行くか。張遼!赤兎を用意しろ!」


「ただ今!」


既に陳宮は劉備と張邈を引き入れており、呂布を兗州に招き入れて占領するつもりであった。

呂布はその報が入ってすぐ兗州へ向かう。


続々と兗州へ集まる群雄達。

荀彧は策を幾重にも張り巡らせて迎え撃つ。

袁術の軍10万、呂布の軍数百、反乱に呼応した者は兗州の8割。


荀彧と夏侯惇は曹操最大の危機を乗り越えられるか。

主人公以外の戦いって楽しいですよね。

完全に曹操が負けフラグですけど。

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