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令和の反三国志〜後漢のヤバい奴らを集めて王朝再興を目指す物語〜  作者: さきはるザメロンパン
第二章 躍進
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萌芽、鳴動

兗州を本拠とし、急速に勢力を強めつつある曹操。

その参謀として、あるときは戦略以外の相談も受ける、主従の関係を超えた存在。


荀彧。

名家荀家の出身で、王佐の才があると言われる天才。

彼は馬正の台頭に違和感を覚えていた。


富も名声もない、荊州の無名の子どもが名士を引き連れて、あろうことか夏侯淵率いる精鋭部隊を散々に打ち負かした。

それも民間人を入れた急造の軍で。


荀彧は自身の才能に驕ることはないが、自分と夏侯淵と許褚をもってしてそんなことが起こるなど絶対ありえないと思っていた。


しかし荀彧は負けた。

綿密な火計によりほとんどの兵を焼かれた。


ただ台頭してきただけの勢力なら警戒するだけで済む。

そのような者たちはいくらでも見てきた。

劉備や孫策、陶謙や孔融、張魯。


いずれも実践経験や地盤があっての台頭であったが、馬正は異例である。

聞いたところによると、用心棒を連れて二人だけで始めた旅が、何の実績もなく名士がついていき、現在に至っては徐州の民の信任を得て軍勢を連れている。


明らかな異常、世の理から外れた存在である。

いくら優れた人物であっても、実績と地盤がなければいきなり勢力を伸ばすのは不可能である。


いずれ曹操のみならず、天下の脅威となる存在。

今のうちに芽を摘んでおかなければならない。


荀彧の懸念は曹操もわかっていた。

徐州にて陶謙を討った曹操は兗州に戻ると間髪入れずに軍を再編成し、馬正が駐屯する豫州へと出兵する。


曹操も馬正の存在が脅威であると判断し、討伐の軍を自ら率いる。

兗州には荀彧、夏侯惇、捕虜の劉備を留守に置き、兵の大部分とともに豫州へ向かう。


しかしそれこそが馬正の狙いであった。

曹操が本拠である兗州を離れた頃が好機。

曹操に反感を持っている者はいくらでもいる。

少し離反を促すだけで兗州は混乱に包まれる。


だがそれは荀彧もわかっていた。

領主が本拠を離れた時が守将の本領である。

呂布、陳宮、劉備、張邈。曹操の留守を狙う者の見当はついている。

例え全員がこの留守を狙ってきたとしても必ず守り切る。


しかし馬正が手を回した者は誰も予想だにしない相手だった。


いや、荀彧と馬正のみが予想していた。

少しの可能性に賭けた馬正と、その可能性を見逃さない荀彧。


後漢建国以来の天下一の頭脳戦が幕を開ける。

登場人物が増えてきて賑やかになって参りました。

お気に入り人物の荀彧にも焦点を当てていこうと思います。

法正はダークヒーロー、荀彧は敵の参謀みたいな感じで。

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