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トランスブレイク  作者: ホウ狼
第4章:血族 -後編-
27/39

情報はお大事に

 大食堂での戦闘が終了した。

 ここからは、ご褒美の報酬タイムである。


 ネオマが防音の魔術を効かせてくれているようで、増援が来る気配はない。

 外部に異変が知られるまで、いくらか時間は稼げそうだけど、余裕はそれほどなさそうだな。

 なんせ天井が崩れ落ちて、満天の星空がキレイに見えてしまっている。真上から見られたら1発でバレる。

 幸いガーゴイルには見つかっていない。戦闘途中で乱入してくることもなかったので、倒した吸血鬼の中には使役者はいなかったようだ。


 部屋の隅の方に、瓦礫に埋まった扉がある。

 そちらへ向かう前に、吸血鬼たちの装備を回収する……の前に?


『――――』


 自覚はないが、体の調子が変わっている、のだと思う。

 吸血鬼の身体(アバター)に慣れてきた影響か、成長直後でも違和感を感じなくなってきた。

 手首の内側を噛んで、血液を飲んで身体検査をする。


――――――――――――――――

 種族レベル:22→43 Up!

 種族能力 :〔凍結〕 New!

       〔飛行〕 New!


 対象:ピーチトゥナ・ミルクロワ [57]

 種族:真祖吸血鬼 [Lv:43]

 職業:プリンセスごっこ [Lv:14]

 HP: 584/ 584

 BP:14069/51400 [共有100%]

 血族:ミルクマ血族-盟主

 眷属:ルピス・エライ

 能力:〔吸血〕〔暗視〕〔念動〕〔状態異常耐性〕

    〔生命吸収〕〔凍結〕〔飛行〕

    <演技:プリンセス>

    <オーラ:プリンセス>

――――――――――――――――


『ハッコさん、半端ないなぁ……』

『? 主様?』


 種族レベルが21も上がった。1体の討伐でこれとは、さすがLv150……さすがハッコさん。

 そして職業レベルは()え置きだ。やはり職業に沿った行動を取らないとレベル上昇は難しいか。


 今回習得した能力は〔凍結〕と〔飛行〕の2つ。


 〔凍結〕は、BPを消費して直接触れている物を冷やす能力だ。

 分子レベルで対象の運動ベクトルに働きかける、念動の高精度版ともいえる。

 試運転で、指先が凍り付いてしまった。念動と同じく、自分自身を対象にできるようだが、他者を直接凍らせることは無理そうだな。

 そして凍らせられるだけで、溶かしたりはできない。デコピンで砕いて元通りに治癒再生させた。


 〔飛行〕は、翼を生やして空を飛行する能力だ。

 起動時にまとまったBPが消費されると同時に、心臓の裏側に、全く新しい器官が接続されような感覚が生えた。

 そして、体が浮いた。


(――おぉ?)


 翼にも念動の能力が内包されているのか、展開している間は翼を動かさなくても滞空ができる。

 長距離を飛ぶ場合は、念動を用いるよりBP効率が良さそうだ。

 ただ翼の形に強く影響されるので、これだけで空中戦闘を行うのは難しいかもしれない。

 自在に飛べるようになるまでには、結構な習熟時間が必要になりそうだ。


 そして、翼の色は……血のような真っ赤色だ。

 能力起動時に、背中の皮膚を突き破って高速展開されるので、ビジュアル含めて非常にグロテスクである。

 キマツルの翼は派手な金色だったので、あれよりはましだけど……うーん。

 パタパタと空を飛ぶのは新鮮で楽しい。なのでヨシとしておこう。


『主様。お召し物が燃えてしまったようなので、こちらを御使用ください』

『――んっ? ありがと』


 屋外の確認がてら低空を飛んでいたら、ルピスが並んで飛んで一枚の布を手渡してきた。

 現在の黒インナー姿はルピス的にアウトらしい。そして、同じく種族レベルが上がって〔飛行〕を習得したらしい。

 既に翼の扱いに慣れてるところ、ほんとうに彼女の吸血鬼適性は高いようだ。


『…………』『??』


 そしてルピスの翼は――天使の翼のような形状で、純白色だった。

 綺麗で、いいね? これとそれ、交換できない?



 ◆



 床に着地して〔飛行〕を終了。すると真っ赤な翼は、燃えて灰に変わって散った。

 ルピスの翼も、淡く発光して空気に溶けるようにして焼失。この違いよ。


――――――――――――――――

 対象:食堂用のテーブルクロス

 種類:布

 品質:B+

 付与:汚れ知らず

 info:これは汚れがつかない


 メモ:定期的に洗濯はしなさい

    食堂はこまめに掃除しなさい

    換気もしなさい

――――――――――――――――


 ルピスから受け取ったテーブルクロスを、適当な長さに折る。

 そして〔念動〕で首元の2ヵ所を留めて、腰元も調整して――完成。古代ギリシャのキトン風衣服である。

 布は深みのあるワインレッド色だ。中のメモは、綺麗好きな誰かのものだろうか。

 換気の心配は無くなったよー、などと教えられたら怒られそうだな。


 床に散らばる瓦礫の破片を〔念動〕で一ヵ所に集めて、軽く室内を掃除。

 そして武具を回収する。色々種類があるけど、とりあえず全部貰っていこうか。


『さて、肝心の目的。食料収集だけど――』


 部屋の奥にある扉を開けた。

 この先は、地下へ繋がる階段のようだ。


『匂うね?』

『美味しい血の香りがしますね?』

「…………」


 若干ネオマ君の反応は怪しいが、ここで行かないという選択肢はない。

 ぱぱっと階段を降りて、ご到着。


 城の地下には巨大な空間が広がっていた。

 大部分は自然石だ。構造には現代のコロニー建造にも通じる高度な技術が用いられている。

 どこかで屋外と繋がっているのか、乾燥した風が吹き抜けていた。ただ、爽やかな風とは言い難い。


 地下空間には、大量の樽と、牢獄と、拷問器具と、絞り機と……うん。

 まぁ、血液を得るための"物"が、沢山配置された調理場のようだ。


「ッ! ゥっぷ――すみません」

『上で待っててくれれば良かったのに……』


 案の定、ネオマ君が吐きかけた。

 一方でルピスは、ほわほわと頬を染めて、視線をあちこちに移動させていた。


 吸血鬼にとっては御馳走の香りだが、人間にとっては耐え難い異臭に満ちた空間なのだろう。

 ……この場所は、[No.2]で隅々まで探る気は起きないな。


「んっし、お肉ゲットだぜ」

『す、すごい数ですね……!』


 すぐに大量の肉を発見した。あれだけ山積みされてれば、探すまでもない。

 血液を絞り出された後の残骸。内臓を取り出されてカチコチに自然冷凍された干し肉だ。

 吸血鬼の食べ残しとはいえ、食べられそうな食料が残っていて良かった……が。


『? 人型の残骸は見当たらないな?』


 ベニバの私室に残った残り香から推測していた、大量の人骨が山積みにされているという、最悪の予想が外れた。


「向こうの小部屋に、下位アンデッド化の魔術陣がありました。遺体は再利用したのでしょう」


 少しだけ復活したネオマ君いわく。

 一定の知能を持つ生物は、命令をある程度理解できるアンデッドとして、扱いやすい戦力に変えられるとの事。


「外道戦法だなぁ。模様は記憶(コピー)しておこうか」

「……利用するつもりですか?」


 いやだって、魔術陣とかいう意味不明な情報群があったら、とりあえずメモるでしょ普通……?


「アンデッド作りは、禁忌扱いされてる感じ?」

「明確に禁止しているのはエルフ達――森帝国だけです。ですが他国においても表立っての使用は控えられてます」


 つまり、裏では利用されている可能性はあると。その辺りは現実世界と同じだな。

 なら手に入れない理由はなおさら無い。対策するためにも、情報は必要だ。


『情報は大事だぞネオマ君? そうだ、これは戦闘術には直接関わりはないけど、大量の情報を圧縮して記憶できる、量子式記憶術なんかを取得してみる気は――』

「――っ!?」


 薄桃色の髪を1束。通信波用のアンテナに見立てて直立させたら、羽を広げて大きく距離を取られた。

 吸血鬼ハッコとの終盤のやり取りを知っているからか、とても警戒している様子だった。

 きちんと学習しているようでなによりだ。


「……。んじゃ、これはルピスに覚えてもらうとして――というかルピスは、なに食べてるの?」

『ッ!? すみません主様っ! つい味が気になってしまって……』


 ルピスが、いち早く干し肉を齧っていた。

 というか瞳に涙を溜めながら、肉片を口いっぱいに含んでいた。


『実は――』


 どうやらルピスは、白離病の影響で、長い間通常の食事が消化できなかったらしい。

 そのため、こういった肉の味を想像しながら、毎晩食べられる日を夢見ていたという。


『幼い頃から読んでいた私の愛読書"超マモノ食伝"は、大人から子供まで楽しめる冒険グルメ本なんです。主人公は戦う料理人チュペトという少年で、生まれ育った村と幼馴染パピーが蒼竜ポキアスによって滅ぼされ、ドラゴン狩りを目指す壮大なお話です。物語としての完成度が高いのはもちろん、大陸の地理や食料の知識が身に着いたりと実用性が高くて、各国の冒険者や旅商人も愛読しているんですよ。主様はご存じありませんでしたか? 著者不明でシリーズは全5巻で完結済みなんですけれど、商業組合から手に入れた情報によりますと、後日談を記した幻の書物"食騎士チュペトン・ナイト"が存在しているらしく――』

『――ぉ、ぉぅ? ぉおぅ?!』


 なにやら熱く本の情報を垂れ流しだしたルピスさん。

 彼女の脳内でフルボイス付きで映像補完されたチュペト君の物語。あげく白離病で受けた当時の痛みや感情の記憶の生データまで送られてきた。

 軽い精神攻撃だし、ネタバレが酷い。情報は整理した上で圧縮して送って欲しいものである。


 ちなみに共有BPは増えていない。血の含まれていない肉では、BPの補給ができない模様。

 吸血鬼にとっては完全な趣向品のようである。


『……いや、何の肉なのか分かって食べてるのかって……あぁ、鑑定できたの?』

『こちらにあるのは全て魔物(モンスター)の肉ですね。7割が雪豚鬼(スノーオーク)。1割が雪熊(スノーベアー)。他は様々のようです』

『ン?』


 スノーベアーと言うと、ああ地下室で言ってた、シロクマのこと。

 シロクマのお肉ですますか?!


「キm……君たちはっ、食べられる、物?」

『もちろんです!』

「人肉以外でしたら何でも。これだけ質のいい肉が揃っているなんて思いませんでした。皆大喜びしますよ」


 久しぶりの食事ですと言って、ネオマはW型の特徴的な牙でオーク肉を噛み千切った。

 嘘偽りが全く籠っていない、澄んだ瞳だった。


『そっか……分かった。そんじゃオーク肉を運ぼうか』


 ここはODOで、食料は食料だ。好き嫌いなどせずに食べるべき、だろう。

 それでも現代人の常識が邪魔をしたので、オークの肉だけを持って帰ることにした。

 全部終わった後で供養に来ようかな……。



 ◆



 オーク5体分の肉に〔念動〕を掛ける。

 恐ろしくデカい豚肉だ。リアルのバイオ豚肉と味の違いが気になったが、残念ながら食欲のショの字も湧かなかった。

 このアバター体は、肉そのものを受け付けないらしい。ルピスが問題なく食べられていたのは、種族の違いだろうか?


『…………』


 試しに頭部が残っていた1体のオークの残骸に、こっそりと[No.3]でAIを植え付けてみたが……。

 何ら反応がない。冷えて凍ったオークの脳と肉体は、素材たりえないモノらしい。

 仮に成功したところで、動く食肉を見て食欲が湧くものは居ないだろう。

 素直に念動でプカプカと浮かべて運び出すこととなった。


 中庭の地下室に戻る道中で、ルピスに回収した武具の鑑定を頼んだ。


――――――――――――――――

 対象:噛みつき亀(ケリュドラ)

 種類:武器[近距離]-格闘-手甲

 品質:A

 付与:修復、裂傷

 info:これは魔力を与えると修復される

    これは魔力を消費して接触対象に裂傷を負わせる


 メモ:使用ごとに服が血で汚れてしまう

    選ぶ武器を間違えたやもしれぬ・・・

――――――――――――――――


 ハッコの眷属だった"ガリク"という名の男吸血鬼の武具だ。

 未知の金属繊維が織り込まれた、赤みの強い赤紫色の手甲(てっこう)である。

 ほんとうに吸血鬼か? と疑いたくなる内容のメモだった。


 柔軟性が高くて薄くて軽い。防御性能は期待できないな。どの程度の裂傷を負わせられるかで、評価が変わりそうだ。

 とはいえ接触が前提なのは、武器としては微妙だろう。ただでさえ背が低くて腕の長さも短いのだから、最低でも1m以上の射程は欲しい。


――――――――――――――――

 対象:ファボールサングレー

 種類:魔導補助具-魔導球

 品質:A

 付与:修復、魔蔵[血]

 MP:0/7500

 info:これは魔力を与えると修復される

    これは血液を魔力に変換して貯蔵する


 メモ:我が主ハッコ様の所有物です

    私が死んだら返却を宜しくお願いします

――――――――――――――――


 そして、バ・ターシッタという女吸血鬼が持っていた球体だ。

 大きさは直径30cmで、重さも結構ある。

 意味は"血を寄こせ"だろうか? 性能もそんな感じの代物だった。


『魔導……とは?』


 魔法でもなく魔術でもない【魔導】である。

 なんだそれは?


『――主様。私が説明、いたしましょうかっ?』

『え? はい、お願いします』


 魔導関係の品々に詳しいルピスさん (自己申告)に聞いた情報をまとめると――


・【魔術】と【魔導】は【魔法】が元になった派生技術である。

・属人的な固有能力である【魔法】を、汎用的な職業能力に落とし込んだ【魔術】

・【魔術】に含まれる汎用性を犠牲に、先鋭化して使いやすくしたのが【魔導】


・【魔導】のベースは魔力操作。行使のハードルが低くて、研究や開発が活発

・ただし強力な魔力操作や、道具を用いない身体強化には適性の有無が深く関わる

・魔石などを用いることで、魔法や種族能力を一部再現するなどの成果もでている


 とのことである。

 それぞれの位置づけとしては――


 【魔法】は王族や貴族が持つ兵器。個人の能力でバラつきが酷い。権力の象徴

 【魔術】は軍人や冒険者の武器。詠唱や陣などの手間がかかる。安定した主戦力

 【魔導】は大衆もろもろの便利能力・道具。効果は低めだが、量産ができる


 バ・ターシッタが持っていたこの球も、そんな便利グッズの一種のようだ。

 継戦能力を高める魔導具。キマツルが持っていたら脅威だったかもしれない。


『なるほどなるほど』


 おそらくそれぞれの行使に必要となる"魔力"は、ナノマシンに関わるリソースの一部なのだろう。

 ODO世界において、復活の魔法を標準で使えるプレイヤーが、贔屓されている事も分かった。

 それは追々調べていくとして――問題は次か。


 次は、吸血鬼ハッコが所有していた刀を調べてもらおうか。

 もはや刀と呼んでいいのか。刀身は身の丈を越える160cm。全長2mの大太刀。

 記録に無い作りの拵えは濡羽(ぬれば)色。刀身は乾いた血を思わせる朱殷(しゅあん)色。


 刀を手渡してしばらくすると、干し肉を噛んでいたルピスの口が止まった。


『…………』

『ん?』「……?」


 ルピスは、オレに丁寧に刀を返却しながら、ネオマの方を見た。

 瞳から光を消して、そして、ゴクリと肉を嚥下した。


――――――――――――――――

 対象:朽刀

 種類:武器[近距離]-刀-大太刀

 品質:A

 付与:吸血修復、分解

 info:これは生き血を吸わせると修復される

    これは魔力を消費して接触物を分解させる


 メモ:お礼(・・)に1つだけ情報を与えてやるのです

    コウモリ型の魔族は盟主エスマーガの"子孫"です

    さよなら吸血鬼。良い夜になると良いですね?

――――――――――――――――


「『『…………』』」


 まぁだいたい、思っていた通りの能力だったな。

 予想外なのは、ハッコの残した思念(メモ)か。


『鑑定ありがとうルピス。……やっぱりハッコは、そうだったか』


 オレはメモの内容を見て、ひとり納得した。

 ハッコの抱いていた思想が、ようやく理解できたのだ。

 そして、血族の主である盟主エスマーガの目的も一部――ぅ?


「ネオマさん。貴方は敵ですか?」

「ッ…………」


 振り返ると、ルピスとネオマが対峙していた。


 ネオマの瞳から、わずかな罪悪感を見抜いたルピスは、落胆のため息を1つ。そして、即座に行動した。

 数分前とは比較にすらならない速度で、引き抜かれたレイピアが、正確無比な軌道で、ネオマの首に吸い込まれ――。


『はい、ストップだよルピス』


 ハッコさんの刀を使って、振るわれたレイピアの根元を、居合斬り。

 いつものフル強化に加えて、鞘の内側に掛かった摩擦抵抗も〔念動〕で倍化&反転させて加速に利用。

 レイピアの剣身が床の石畳ごとスッパリと斬れた。プラズマブレード以上の、とんでも兵器だコレ。


『ッ! ――主様!?』


 ルピスは狼狽して、動きを止めた。

 彼女は、これまでの見せていた関係も何もかも、一切の躊躇なく切り捨てようとした。

 その合理化された思考は恐ろしいが、素晴らしくもある。極めて理想的な眷属と言える。


 オレが信用できる数少ないAI……いいや。吸血鬼だろう。


 とはいえ、彼は敵ではないのだ。

 なのでここは、冗談の一つでも飛ばして、場を和ませてみようか。


『なんだ。子供に化けたエスマーガ本人じゃなかったのかー……っちぇ』

「――ハッ、ハぁああアア?!?!」


 そしてネオマは、吸血鬼よりも鬼らしい鬼の形相で吠えた。

 ここにきて初めて、完全にキレた表情を見せた。

 ふざけるな。と無言の心の叫びすら聞こえてくるようだ。こわい。


『『…………』』


 うん。やっぱり彼は、エスマーガ血族のスパイじゃないよな?

 それどころか彼は――その逆だ。


「ッ…………」


 彼は、1人だけだった。

 一人だけ、あの子供達の中で唯一、最初から逃げる事を放棄していた人物だ。

 逃げようとする子供達を押しとどめて、戦いの場に、吸血鬼達の餌場に、駆り立たせようともしていた。

 一見それらは裏切り者のような行為だが、そうではない。彼は本気だっただけだ。


 オレもルピスも。子供たちの命も。自分の命すらも。使えるものは全て使おうとした。

 そうしてネオマは本気で、吸血鬼エスマーガを滅ぼすつもりでいたのだ。己の祖先を。

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