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トランスブレイク  作者: ホウ狼
第3章:血族 -中編-
25/39

カチコミをかける王女

 〔念動〕によって渦巻いた鞭がしなり、弾かれるようにして伸びる。

 同時に、魔力の代わりに消費されたBPによって、発生した衝撃波が鞭の延長線上に収束。

 鋭利な圧力波の刃になって、放出される。


『――――ッ』


 吸血鬼の能力によってもたらされた鞭の先端速度は、約1500[m/s]。

 旧式の対物ライフルと同程度の速度にあたり、衝撃波の速度も、それに準じた超音速になる。

 予備動作も省いた奇襲攻撃。現実世界の強化歩兵であろうと、見てからの回避は難しいはずだった。


『良い奇襲です。褒めてあげるのです』

『――抜かせっ!』


 予想通りに避けられた。対象が瞬間的に消失(ロスト)

 吸血鬼の出現地点は――背後か。

 刀による左薙ぎ。無駄のない首を斬り落とす動作が、速過ぎる!?


『ゥごっ?!』


 〔念動〕の力を受けて、自身の身体を直角に折る。骨も折れる。

 キマツルから学んだ、人体の構造を無視した回避法だ。返す鞭で背後を攻撃する。

 横に居たルピスも――ギリギリ避けたか。距離を取らないと、巻き込むなこれ。


『フフあっ! ははあ!』


 嗤う吸血鬼が再び消失。今度は――正面からの打ち下ろし!?

 ぽんぽん消えるなぁ?! 素直に受け止めろよ!!


『ルピス、上に跳べ!』


 片腕をガードに回して、刀の刃が当たる地点を計算。

 〔念動〕によって皮膚の内側から外側に向けて、最小領域・最大出力のベクトルを発生させる。

 情報の上では[念動鎧]と認識されていた、反応装甲――偽りの外骨格だ。


『その程度の護りで、私の刀を受けきれるとお思いです?』

『思ってない!』


 後に繋げるための行動は、すでに何百何千通りも演算済みだ。

 刀に斬り飛ばされた自身の腕めがけて、鞭を叩きつける。

 グルリと周回する鞭の先端は、円状の衝撃波をいくつも発生させた。


『ッ!! 見境なしです、ねっ! とっても良いです楽しいです!!』


 吸血鬼ハッコは、空中で回避した。

 念動による急制動と、瞬間的に年齢を若返らせて体型を縮めるという、常識外の回避法。

 室内に"かまいたち"が襲い、家具が切り刻まれ、城壁が抉れ、石片が舞う。

 ルピスも忠告通りに回避して、ハッコの眷属が数体巻き込まれた。結果は上々か?


『腕は使い物にならないか』


 しかし鞭で手繰り寄せたオレの腕は、すでに切断面が崩壊しており、繋ぎ直すことが困難になっていた。

 あの刀。乗ってる効果が厄介だな。1度斬られたら……新たに生やした方が早いか。

 ――[No.7]起動。傷を高速治癒する。


「な、なんですぅ? その再生速度……おまえ少し気持ちが悪いです……」

「……吸血鬼が引くなよ。傷の治癒には多少自信があるんだよ」


 傷の修復を待つ余裕まで見せるとは、重ね重ね失礼な奴だ。

 オレを易々と殺せるのは、太陽さんだけだぞ。舐めてもらっては困る。


「ほおほお。ならピンクのお肉は、食べ放題なのです?」

「――純粋な食料として見られたのは、生まれて初めてだ。不愉快な感覚だな?」

「ふふあっ、骨の髄までしゃぶってあげます!!」


 涎まみれの舌で、ぺろぺろと刀を舐める。ばっちい。

 どの口で、気持ちが悪いとか抜かすんだ、この吸血鬼(へんたい)は!

 やはりここで滅ぼすしかないな!



 ◆



 窓の外に待機していた魔族の少年ネオマは、唖然としてそれらを見ていた。


 吸血鬼たちが立ち上がったかと思えば、直後に部屋が崩壊した。

 何が起きたのか正しく認識する前に、一瞬で室内が戦場に変化したのである。


(……怪物の、戦いだな。巻き込まれたらひとたまりもない)


 黒髪の吸血鬼は、短距離の転移を繰り返し、振るう手も姿すらも見せずに、獲物を殺そうと襲い掛かる。

 薄桃髪の吸血鬼は、人外の理で鞭を操り、異常な速度で再生を繰り返し、縦横無尽に破壊をまき散らす。


(俺が1人加わった所で無意味だ。援護するなら、向こうだな)


 ネオマは参戦を諦めて、もう一方の戦場を見た。

 そちらで行われているのは、吸血鬼ルピスと、ハッコ直属の眷属たちとの戦いだった。


(……眷属同士で高度に連携できる吸血鬼たちがいたのか)


 吸血鬼という種族は、ハッコが言う通りに、主従の関係が強い種族。

 ただし、同世代の眷属同士ではいがみ合うのが普通で、慣れ合う事はできない種族と知られていた。

 それがネオマの知る常識で、吸血鬼に対する一般的な印象でもある。


 しかし、ハッコの眷属達は互いに連携を密にとり、組織的な動きでルピスを相手取っていた。

 そして、その集団にルピスは食いついている。正確無比な剣捌きで応戦していた。

 カウンターを主体とした戦法だった。攻撃を受けつつも、囲まれないように立ち回り、心臓を一撃で穿つ余力を常に手元に残している。


(あの元猫人も、怪物だな……。だが……)


 上級吸血鬼8体を1人で相手取れている少女は、ネオマにも信じがたい怪物だ。

 しかし、全員を倒しきるのは難しいようだ。

 そう判断したネオマは、全体を観察しつつ、介入する機会を狙い始めた。



 ◆



 吸血鬼ルピスは、攻めあぐねていた。

 身に付けた戦闘術で応戦してはいたものの、やはり頭数と手数は重要だ。

 どうしても越えられない壁が、彼女の前に立ちはだかっていた。


 なのでルピスは、戦い方を切り替えた。

 周囲の状況を、最大限に利用することにしたのである。


 彼女は、主達の戦闘を意識の端に収める。

 そして、鞭から放たれる無数の衝撃波を知覚して――。


(好機です!)


 ルピスは動いた。


 衝撃波の刃は、室内をことごとく破壊して、状況を一変させた。

 それに対応する術は、すでに彼女は持っていた。


 ルピスの持つ職業能力<シミュレート>。

 ODOの多くのNPCにとっては、市場の変動などを予測するための模擬計算ツールとして使われている技能。

 彼女はそれを、戦場全体の変動を予測するための能力として運用した。


 崩れる床を壁を瓦礫を、天井を空中を、滑るような動作で踏み越えて移動。

 最小限の剣捌きで、まるで魔法じみた動きで、獲物の目の前に辿り着く。

 分厚い手甲を振るう1体の吸血鬼の心臓に、紅色のレイピアの刃を突き立てた。


『ガァアァアア"ア"ア"!!!!』

(まず1人!)


 差し込んだ刃を捻り、首と両腕を斬り落とす。追い打ちで斬り刻んだ傷口から、血液が噴出した。

 血流はレイピアの効果に従って、ルピスの唇に吸い込まれていく。


『皆さんの血を頂戴しますね?』

『……我らの血肉は、主様だけのもの。成りたての小娘が頭に乗るな』

『いいえ。もう私のものです。――あっ、半分は血族のものでした。ごめんなさい間違えました』


 不遜な少女の物言いに、吸血鬼たちは静かな怒りを(たぎ)らせる。

 そしてルピスは頬を高揚させ、金色の瞳を爛々と血色に輝かせた。



 ◆



 Q. 0.25秒毎に瞬間移動する未確認生物の討伐方法を述べよ。

 A. あらかじめ出現予測した全ての空間に向けて、同時に攻撃すればよい。


 鞭を乱舞させ、瓦礫を巻き込み、投げ飛ばし、念動で軌道を捻じ曲げ、射出する。

 BPが鬼のように減っていく。そして室内がゴミの山に変わっていく。

 あっという間にゴミ屋敷の出来上がりだ。ちくしょう!


『……はて? その鞭は、そうまで長く扱える強力な武器でしたか?』

前の所有者(ヌテーレクス)は、使い方が雑だったんだろッ!!』


 打っても撃っても当たらない。そして幾つか予測が的中しても刀で弾かれる。

 フラストレーションだけが積み重なっていく。


 大昔の創作物には、吸血鬼退治に鞭が用いられていたという情報があった。

 なぜ吸血鬼を相手に鞭を用いたのか? と知った当時は意味が分からなかったが……。

 なるほど、こうした高性能な鞭なら、吸血鬼にも有効なのだろう。


 刀で斬り取られた鞭を魔力(BP)で修復。

 即座に元の10mの長さに戻す。


『気軽に瞬間移動するなよなぁ! その技オレにも使わせろッ!』

『……気軽ではないです。盟主殿にも行使できない特殊能力ですよ?』


 盟主にも? 種族違い――こいつも種族が違うのか?


『アタリです。私は吸血鬼ではないのです。その一種ではありますよ?』

『……微妙なヒントをどうもッ!』


 吸血鬼は正解のご褒美だ、と言わんばかりにテレポートを繰り返して、苛烈に攻撃を仕掛けてきた。

 Nプログラムを切り替えつつ対応。特に思考加速は、もはや常時維持しなければ、戦いの場にすら立てない。


 奴の動きに規則性はほとんどない。その場その場で判断して、気分で攻撃を仕掛けてくる。

 その上、オレの動きを学習している。それも驚異的な速度と精度で。

 鞭の扱いにもそこそこ慣れてはきたが、やはり鞭というのは予備動作が長くて動きが単調だ。

 懐に入られると、ほとんど何もできなくなる。


『ピンク頭。お前が先ほどから考えてる"エヌプログラム"とは如何なる能力です?』

『……知りたいか?』


 なにより、思考を読んでくるのが一番厄介だ。対応するための行動すら先読みされる。

 しかし――それが、どうした!


『ラ、ァアぁあッ!!』


 吸血鬼の膂力と念動による加速。そして最適な身体動作と、Nプログラムによってフル強化された力技。

 振るわれた鞭の先端速度は――極超音速。膨大なBPが消費される感覚。

 断熱圧縮された圧力波の刃は、吸血鬼ハッコの腕に傷を深手を負わせて、城の一角を断ち割った。


『――ようやく1撃か。傷つくのは、そんなに嫌いか?』

『イヤに決まってるです。怪我も太陽も熱いのも苦手です。お風呂は大嫌いです』


 相手に怪我は負わせられたが、こちらも無傷ではない。

 千切れた腕は治癒させて、反動で自壊した鞭も、再び注いだ魔力で修復できた。

 1番の成果は、血液だな。

 ようやく得られたハッコの血液を舐めとり、勝利に必要な情報を得――るぅ?


『私のお味はどうです? 美味しいです? お強いです?』

『…………そう、みたいだな』


 どうも参ったな。

 こいつは、素直に、勝てそうにないぞ?



 ◆



 室内に衝撃が伝播し、気圧が急激に変動する。

 これまでにない破壊の規模に、ルピスの<シミュレート>に誤差が発生した。


『今だ! 【"闇"よ形を成せ】!!』

「……えっ?」


 瞬間、濃密な闇がルピスの視界を覆った。

 彼女が吸血鬼に生まれ変わって、初めて訪れた暗闇。初めての異常事態。

 それらに対処しようとしたルピスは、その瞬間。背後から襲い掛かる〔透明化〕した吸血鬼達の存在を、完全に見失っていた。


「――後ろに敵だ!! 屈め!!!」


 空から強襲したネオマが、ハルバードで刺客を打ち払う。

 それは吸血鬼にとっては、かすり傷。致命傷には程遠く――。


『ッ!! 【"影"よ体内を暴き――』


 代わりに放たれた吸血鬼の"魔術"は、ネオマを確実に死に至らしめるもので――。


『ヤァッ!!!』


 そしてルピスは、生じた隙を逃がすほど甘い吸血鬼ではなかった。


 気配を頼りに投擲されたレイピアは、術者の心臓を正確に貫く。

 そしてネオマからハルバードを投げ渡されると――ルピスは、豪快に一閃。

 周囲を囲む吸血鬼達の胴体を、根こそぎ薙ぎ払った。



 ◆



――――――――――――――――

 開示:<許可>


 対象:ハッコ [150]

 種族:夜鬼(ナイトゴーント) [Lv:90]*

 職業:野武士 [Lv:60]

 HP: 1634/ 1675

 BP:11601/18475

 血族:エスマーガ血族-第1世代

 主君:エスマーガ

 眷属:フワフラー

 能力:〔吸血〕〔暗視〕〔念動〕〔状態異常無効〕

    〔魔眼:魅了〕〔支配〕

    〔飛行〕〔変化〕〔透明化〕

    〔ダメージ耐性:精神〕〔転移〕

    <侍魂><武の心得>

    <肉体強化><精神強化>

    <甲冑術><騎乗戦術><捨身の闘志>


※吸血鬼化――不可

※血族加入――不可

――――――――――――――――


 これはひどい。驚愕のレベル差114である。

 夜鬼というと、こいつが例の種族か。

 そしてレベル上限は100じゃなかったの……?


「身体能力で勝てないわけだ」

「……なんです? もう諦めてしまうのです?」


 いいや? 同じ舞台で戦うのは土台無理な話だった。というだけだ。

 これからは手段は問わず、勝ち方にもこだわらない。

 邪道で汚い、現代流の戦いをするだけだ。


『ルピス! ネオマ! 距離を取れ!! 絶対に近づくな!!』

『? 次は私に何を見せてくれるんです?』


 希望通りに、その余裕面に教え込んでやる。


『通信波ってのは危険物だ。ただ利用するだけでも最大限の対策を準備しておかないと、簡単に不要な情報を拾ってしまう』


 ネオマが苦しんだように、思念波も通信波と変わらない、厄介な性質を持っていた。


『……ピンク。お前は何を語っている?』

『なにって現代人の基礎知識だよ。ついでにこれも覚えておけ。テストに出るぞ』


 予定通りに[No.2]で得た、周辺の全情報を送っても、良かったのだが……。

 同じ情報だ。どうせだから伝えておこう。色々知りたいようだしな?


『"現実世界"のすべて(・・・)だ』


 記憶領域に圧縮保存された、現代の地球人類が保有する、すべての歴史情報を展開。

 ――[No.6][No.12][No.7]起動。高速治癒。5感の正常化。そして通信経路の構築。

 すべてを思念波に変えて、持ちうる情報(ぼうりょく)を叩きつける。


『――ッ!?!?!??!』

『グぅう!!』


 脳組織が焼ける。出血によって視界が真っ赤に染まる中で、最後の行動を開始。

 対象が受けたダメージは、想定より小さい。〔ダメージ耐性:精神〕の効果か?

 ――〔念動〕を起動。室内の全ての物体に干渉。あらゆる残骸を杭状に形成して射出。

 弾数にして2048発。もう出し惜しみは無しだ!


『喰らってみせろ!!!』

『ォァァア!!!!!!』


 対象のハッコは、獣の反射速度で、ことごとく打ち逸らし回避した。想定通りに予想以上。

 吐いた息が届くほどの近距離に接近。届かない手を伸ばして――〔生命吸収〕起動。


『ナぁッ?!?!』


 心臓から手中へ、生命の脈動が流れ込んでくる。視界がクリアに戻り、わずかに治癒が速まる。

 未知の情報に晒された吸血鬼は、ついに余裕が無くなり、初めて瞳を動かしてソレを見た。

 転移する先の"座標"だ。


『『――――ッ』』


 瞳の角度、瞳孔の形状から、その地点を正確に観測。

 振り向く手間も惜しんで、打ち払った鞭の狙いは――心臓だ。

 間に障害が生まれた。刀で阻まれた。それも、予測通りだった。


『っ!! ――ッ?!』


 そして鞭は、伸びきる直前に〔念動〕によって、軌道が変更される。

 放たれた衝撃波の刃が、ハッコの首を刎ねた。


『『――――』』


 吸血鬼は怪物だ。無論、それだけでは死にはしない。

 しかし、一時的にでも視界を失った者の戦闘能力は、もはや以前と比べるにも値せず。

 転移の正確性も欠けた。幾つかの攻防を交えて、そして――。


「ガッ……」


 テーブルの脚で形作られた木の杭が、吸血鬼の心臓を貫いた。



 ◆



 大太刀が地面に転がり、生じた炎が体を包み込む。


 どうやら〔転移〕は、密着状態では使用できないようだ。

 至近距離で浴びる炎は死ぬほど熱いが、直に発火したわけじゃないのでオレは死にはしないな。

 服は燃えるけども。コラテラルダメージだから、許してカラメールさん。


『……ぴ、……トゥナ。お前は……お前たちは……』


 もう情報を解析しきってしまったらしい。

 情報面でも人外とは、呆れるしかないな。


『――ハッコは、事実を知って、どう思った?』

『…………』


 そう睨まなくても、べつに煽ってるわけじゃないぞ?

 純粋に知りたいだけだ。ODOについての情報なら、全てが知りたい。


『ちなみに、(オレ)は、耐えられなかった。だから、抜け出したいんだよ、()の世界から』

『……??』


 吸血鬼ハッコは無言。なぜか変な顔をしてオレを見た。

 まぁ急にあんな情報を大量に送り付けられて、真実味のある情報だと思うのは狂人だけか。


 見れば、ルピスの戦闘も勝利で終わっていた。ネオマの参入で事なきを得たようだ。

 正直退避してたかな――なんて思っていないよ?

 助けに入ってくれるとオレは信じてた。結構かなり、間違いなく。


『つくづくこの世界の住人は興味深いな。君が見てきた記憶も……少しで良い、教えてくれないか?』


 ダメもとで情報をくれないかなと問いかけてみる。

 はたしてハッコの返答は――いかに?


『……嫌デす。私の記憶は私だけの物でス。誰にも渡しまセン。主にダッテ、*****にだッテ……』


 吸血鬼は、自身の記憶を失いたくないと怒った。

 彼女達にとっては、人生そのものだ。自身を殺す敵なんかと、共有などしたい筈も無いだろう。


『――そうだな。ごめん。そんじゃ、さようならだ』


 最後は吸血鬼らしく、敬意を以て、吸血でトドメを刺そう。

 首筋に牙を突き立てる。ゆっくり確実に、血液を吸い出していく。


『……ふ……ァァ、やハ……ォ前ハ、吸血――――』


 やがて炎は消えて、吸血鬼は灰に変わった。


 喉奥に流れ落ちた血は、ドロドロに濃くて甘く。

 暗くも澄んだ、味わいだった。


 そうして長くて短い勝負の決着がついた。

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