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セカンド・ワールド  作者: ここなっと
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懸念の伝達

今回もコナンとは別視点で、アリスが主観の話です

「ちょっといい?」


私はガイアの物品移動を手伝った後に、エルフの少女に話しかける。


「何?」


シャネルが私の言葉に振り返る。


「シャネルはどんな世界から来たの?さすがにコナンみたいなのはいないと思うけど、変わったとこから来た人がいるのか、興味があるから」


「どんな世界、って言われても。魔法があって、ヒューマンが政治を握ってて、私たち亜人はヒエラルキーの最下層にいるような世界よ。数が少ないからね。ヒューマンが少ない世界、というのが私には信じられない」


なるほど。私のいた世界にも同じような国はあった。私のいた地域は私たちヴァンパイアが政治を動かしていたけれど。主に恐慌政治だ。力でヒューマンを縛り付け、まとめ上げる。いつまでもそんな政治が続くとは思えないから、私は転換を進めていたのだ。その途中で兄の襲撃を受けた。


「私も同じね。一部ヴァンパイアやドワーフが支配している地域もあったけど、大多数がヒューマンよ。魔物が少なかったから魔道具の技術なんかはほとんどなかったけれど、その分魔法技術は発展していたのだと思う」


ガイアの言葉を思い出しながら、私は自分のいた世界の説明をする。魔法技術が高いのは、その分魔道具の技術が発展していなかったのが理由だ。魔道具がまともに作成できないから、自分の魔力で補うしかなかった。


「あー、だからそんなに魔力を動かすのがうまいのね。私のところじゃ魔道具の流通量がそこそこあったから。それも優れていた、ってわけじゃないけど」


シャネルが大きく頷く。シャネルの説明する世界は、私の思い描く別世界と大きく差がないように感じる。思い描くような異世界といった感じだ。


「やっぱりそんな感じよね。この世界は少し変わってる」


「それは同意見。ヒューマンが少ない世界なんて考えたことなかった」


シャネルがふう、と息を吐く。だいぶ疲れている感じだ。慣れていない生活、というのもあるだろう。


「私なんか死活問題よ。弱点解除のユニークスキルがなければコナンから血を貰う以外、生きる術がないわ」


シャネルと異なり、私はだいぶ快適な暮らしをさせてもらっているけれど。周囲の悪意が少なく、食べる物にも困ることはない。ユニークスキル様様ね。


「へー、そんなスキルもあるのね。というか、ユニークスキルって攻撃系のものが少ないのかな。私のは遠視っていう、一度ポイントした地点の光景をどこからでも見ることが出来る、っていう微妙なものだし」


私がユニークスキルを暴露すると、シャネルも自分のユニークスキルを暴露してくれた。確かに微妙である。


「ドラコってやつのユニークスキルはとんでもなく攻撃的よ。メタモルフォーゼ、ドラゴンに変身するんだから。それにコナンのリフレクション。攻防一体のとんでもないスキルね」


「あー、ドラゴンに変身するとかとんでもないスキルね。コナンのリフレクションも見たけど、確かにあれもすさまじいスキルよね」


私が知っているユニークスキルを白状すると、シャネルが身を引く。確かに二人のスキルはとてつもなく強力だ。特にコナンのリフレクション。自発的にダメージを与えることは出来ないが、物理攻撃に対する防御能力は絶対である。その上与えるダメージは絶大。相手が強ければ強いほど、威力が上がるという豪華特典付きだ。


「そのうち魔法に対してもリフレクションを始めるんじゃないかなって私は思うわ」


「そうなったら最強じゃない。どんな攻撃も効かないってことでしょ」


私の言葉にシャネルが呆れる。確かに魔法攻撃にまで延長されたら、コナンにダメージを与えるのが困難になる。不意をうったりすれば不可能じゃないが。


「ちなみに、コナンの言っている世界って、本当だと思う?」


私は声を潜め、シャネルに意見を求める。


「魔法がなく、想像もつかない技術で発展をしてきた世界。それでいて、遥かに優れた技術を持っているそうよ。あり得ると思う?」


私の言葉にシャネルがはっとする。


「………確かに突拍子がなさすぎる。そんなこと、到底信じられない」


「でしょ?あまりにも異質すぎて作り話にしか思えない」


シャネルが顔を近づけてくる。


「もしかして、私たちの人数が一人多いことに関係してる?」


シャネルは気付いていたようだ。私たちが31人いるってことに。独自に警戒していたのかもしれない。


「可能性はある。何が目的かはわからないけど。コナンの話はあまりにも突拍子がなさすぎて、作り話にしか思えない。それに、これ」


私は空間収納から、先ほど貰った盾を見せる。リフレクションが付与された盾だ。


「コナンのスキルであるリフレクションが付与された盾。つまり、コナンのスキルは付与魔法で再現できるってこと」


シャネルが顎に手を当て、考え始める。


「………ということは、コナンは私たちに紛れ込んだ31人目ってこと?」


「可能な限り、コナンにこのことは知られないでね。その上で警戒網を引いてほしい。私たちに害意を持っている可能性がある」


わかった、とシャネルが頷き、その場を去る。それを見送った後、私は静かにほほ笑む。


「釣れたわね」

怪しさ満載のコナン、さらに外堀が………

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