クラス転移
クラス転移ものを書いて見たくなりました。
良かったらよんで下さいm(__)m
「なあなあ、なんで急に自習になったんだ?」
「おいおい、お前知らねぇのかよ。A組の事」
「えっ、何? 何かあったのか?」
「ああ、俺は聞いたぞ。何でも授業中に先生と生徒が急にいなくなったんだってよ」
「えっ、マジで!? ちょー怖ぇーんだけど……」
「だからさぁ。先生たち、職員会議してるんだってよ」
「警察もくるらしいから、午後の授業は中止になるだろってみんな言ってるぜ」
俺がいつものように机に突っ伏していると教室のいたるところから同じような会話が耳に入ってきた。
――何だよそれ、俺も詳しく聞きたい。でもな……
俺は所謂ポッチ。こんな時でも話しかける友人はいない。
別に苛められてるわけでもないので、たまに話し掛けられることはあるが、自分から話しかける勇気はない。
俺は話すのが苦手だ。面白い話題を振ることができない。
俺は親の転勤で県外の高校に入学した。
当然、この学校に小、中学校時代の友人など一人もいるはずなく、頑張って友人を作ろうとした。
隣の奴や、前や後ろに、適当な話題を振って話しかけたりもしたが、話しかける度に相手が気を使って必死に話題を考えている姿を目の当たりにすれば、さすがに次に話しかけることに躊躇する。
そうこうしている間に周りは、同じ中学で中のよかっただろう相手と纏まっていたり、気が合う奴と纏まっていたりと、決まった集団がいくつもできていた。
俺だけ取り残された気分だったよ。
次第に一人でいる方が楽になって、気づけばもう2年生。
今更って感じで、このまま卒業までこんな感じて流れて行くのだろうと思う。
結局、この日は担任の先生が戻ってきて、すぐに下校することになった。学校から連絡があるまで自宅待機になるそうだ。
不謹慎と思うだろうが、明日から休みだと思うと嬉しくてしょうがない。
――――
――
二日後――
何事もなかったように授業が再開された。
――早すぎない?
なんと、A組の生徒もちゃんと学校に来ている。
――どういうことか、誰か教えてくれ。
俺はまたも机に突っ伏して聞き耳を立てていた。
「面白れこと聞いたぞ」
「何だよ」
「ああ、A組の奴ら、異世界に行ってきたんだってよ」
「「「ええっ!!」」」
――なんとっ!!
「ケモミミとか、エルフとかいたんだってさ。いいよなぁ」
「おいおい、もっとちゃんと聞かせてくれよ」
「うーん、そうだな。ちょっと待ってなA組の奴を連れてくる」
A組の奴がさっきの奴に引っ張られ俺のいるC組に入ってきた。
そしてすぐにC組の生徒から取り囲まれている。
俺だけ机に突っ伏して聞き耳を立てている。
――おお、ラッキ―だ。割りと俺の席の近くで取り囲まれてくれている。ナイスだよ、A組くん。
「あわわ、ちょっと待てって……押すなよ」
「ほら、早く言えよ」
「分かった。分かったから……」
A組くんの話では昨日にはこの世界に帰ってきたが、事情聴取を受けていたそうだ。それで、向こうの異世界ガンラルなんならには一ヶ月も居たそうだ。
――ガンラル……なんだよ。よく聞こえないぞ。
何でも千年前にガンラルなんたらの世界を平和に導いてくれたのが異世界の勇者で、その勇者を称える百回目の式典にお呼ばれしたそうだ。
これは百年ごとに開催されているものらしく、今回の主催国『ユの国』ってところにお呼ばれしたらしい。
みんな、ユの国の王様からお小遣いを貰って異世界の街を観光してきたそうだ。宿泊先は豪華なお城の個室だったらしい。
――くぅ〜、羨ましい。
そして、なんと驚いたことに魔法という空想の産物が、この異世界には存在していて、王国騎士団のパレ―ドの際、華々しく花火のように打ち上げているのを見せて貰ったのだと言うA組くん。
「――な、すごいだろ!!」
少し興奮している。
魔物もいると聞いていたが、街から出てないA組くんたちは見てないのだとさ。ちょっと残念。
羨望の眼差し向けられたA組くんは、何食わぬ顔でクラスに帰っていった。
――いいなぁ。異世界ガンラル……なんなら。
――――
――
更に一ヶ月間が経ち、学校は平穏を取り戻していた。
そんなある日――
「なあなあ、なんでまた急に自習になったんだ?」
「おいおい、お前知らねぇのかよ。B組のこと……」
「えっ、何? 何があったんだ。ま、まさか……」
「ああ、そのまさかだ。俺は聞いてきたぞ。何でもまた授業中に先生と生徒がいなくなったんだってよ」
「えっ、マジで!? それってまた異世界か?」
「それはまだ、分かっていない……だから、先生たちも、また職員会議してるだってよ」
――な、なんと今度はB組ですか?
結局この日も、担任の先生が戻ってきて、すぐに下校することになった。またもや学校から連絡があるまで自宅待機になるそうだ。
不謹慎と思うだろうが、明日から休みだと思うと嬉しくてしょうがない。
――――
――
その二日後――
またもや、何事もなかったかのように授業が再開された。
――早すぎない?
やっぱりB組の生徒はちゃんと学校に来ていた。
――さあさあ、今度も誰か教えてくれ。
俺はまたも机に突っ伏して聞き耳を立てる。
「おいおい。面白れこと聞いたぞ」
「何だよ」
「ああ、B組の奴らやっぱり異世界に行ってきたんだってよ」
「「「ええっ!!」」」
――なんと!! やはりですか。
「ケモミミとか、エルフとか、いたんだってさ。いいよなぁ」
「おいおい、もっとちゃんと聞かせてくれよ。それってA組と同じ異世界なのか?」
「おお、そうか。それは分からんな。よし、ちょっと待ってなB組の奴連れてくるわ」
――俺も気になる連れてきて。
B組の奴が、またもC組の生徒に引っ張られC組に入ってきて――
「おわっ、ちょっ、引っ張るなよ……」
「ほら、早く聞かせろよ」
C組の生徒から取り囲まれた。
俺は机に突っ伏して聞き耳を立てる。
――ふへへ。またも俺の席の近くで取り囲まれてるナイスだよ。B組くん。
「おわわ、話すから、話すから。ちょっと、待てって……こら、押すな……」
B組くんの話では昨日のうちに、この世界に帰ってきたが、やっぱり事情聴取やらなんやらを受けていたそうだ。
そして向こうの異世界ガンラルなんならには一ヶ月もいたそうだ。
――なんと!! また異世界ガンラル……なんたらに一ヶ月ですか……しかし、なんで肝心な異世界の名前がちゃんと聞き取れないんだ……
何でも千百年前に世界を平和に導いてくれた異世界の勇者を称える11回目の式典にお呼ばれしたそうだ。
――あれ? 1回増えてる。
これは百年ごとに開催されているもので、今回は主催国『ウの国』ってところに呼ばれたらしい。
みんな、ウの国の王様からお小遣いを貰って街の中を観光をしてまわったそうだ。
宿泊先は、またもや豪華な城の個室だったらしい。
――羨ましい……
そして、その異世界には、魔法が存在していて、王国騎士団のパレ―ドの際は、華々しく花火のように打ち上げているのを見せて貰ったのだと言うB組くん。
「これが、こう、ダダーンッ! て感じでな……」
かなり興奮しているB組くんは、擬音が多くて聞いてて吹き出しそうになった。
魔物もいると聞いていたが、街から出してもらえなかったため誰も見ていない、と悔しそうにB組くんが語った。
――魔物ねぇ。
みんなから羨望の眼差しが向けられたB組くんは、どや顔でクラスに帰っていった。
――いいな。異世界ガンラル。
「なあなあ、次はC組、俺たちの番じゃね?」
「ああ、あり得るあり得る」
――なるほど。
「うわぁー。俺なんか緊張してきたぁ」
「よーし、早速準備しとかねぇとな。カメラとかさ……」
「おお。それいいな。あっ、でもスマホ持って行ってた奴らが言っていたが、撮った写真は、帰ってきて見たら真っ黒な画面になってたって言ってたぞ」
「何!! そうなのか……ぐぬぬぬ」
「まあ、行けたらの話だし、気楽にいこうぜ」
「だな」
――――
――
更に一ヶ月間が経ち、学校は平穏を取り戻していた。
「おかしい。そろそろの筈なのだが……」
「ああ、そうなんだよ。俺さ、楽しみにしてカレンダーに印つけてたんだけど……」
――あ、それ俺もだ。今日だよ今日だよ。さあ、さあ、俺たちを召喚するのだ。
「ええ。もしかして勇者式典なくなったのか?」
――え? うそ。やだよ。俺、観光したいよ……
「さあ、どうだろな」
更に一ヶ月間経つと、学校で異世界のことを話す者は、ごく限られた人数となっていた。
「はぁ、異世界行って見たかったな」
――ああ、俺もだよ。お前となら気が合いそうだな。
「おいおい、お前はまだ、そんなこと言ってるのか? もうすぐ修学旅行だぜ」
「ええ、だって俺国内だもん。お前海外に行くんだろ? いいよな」
「ははは。そうだろ、そうだろ」
――……俺も国内だ。はぁ、ぼっちに修学旅行なんて苦行だよ。
更に一ヶ月間が経ち、いよいよ修学旅行の前日になった。
クラスには、いや、学校中で、異世界のことはなかったかのように忘れられていた。
そんな朝のホ―ムル―ム。
「……と言うことです。それとみんな明日から修学旅行ですからね。
海外組と国内組とでは集合場所や、時間が違うので間違えないように! 分かった?」
――はぁ、明日からか……行きたくない。もう、俺は先生の班に入れてくれないかな……
みんな良い奴なのだが、俺に気を使ってるのが分かるんだよ。俺が変に会話に混じるとギクシャクするんだよ……
「「「は―い」」」
「何か質問のある人はいるか?」
誰も口を開かず沈黙が続く。
「はい、無いようですので、朝のホ―ムル―ムは以上です」
「起立!!」
今日の日直の号令にみんなが一斉に立ち上がる。これはいつもの朝の挨拶だった。
俺ものそりと立ち上がる。
「……」
――あれ、礼は?
待てども待てども日直の号令が聞こえてこない。
気になって日直の方に視線を向けてみると――
――あれ、皆があたふた何か言ってるが何も聞こえてこない。あれ?? 先生も何か言ってるが聞こえない……
そう思った時には、教室が真っ白い光に包まれ全ての音が無くなっていた。